またして母親講座」カテゴリーアーカイブ

第41回 過去問を練習したって、同じ問題は出ない?

    あるお母さんと話をしていて、塾の先生に「過去問を練習したって、同じ問題は出ないから、あまり時間をかけないでください。」と言われたそうです。
    そういえば、時々こういう話を聞くのですが、過去問の勉強の目的が全然違います。過去問を解くことによって、
    (1)学校別の出題傾向になれる。
    (2)出題の意図を見ぬく練習をする。
    (3)正確に解き上げる練習をする。
    (4)じっくり考える訓練をする。
    (1)以外は他の問題でもできる、その通りでしょう。塾にはいろいろな志望校を持つ生徒が集まります。それにいちいち対応できない。だからいろいろな要素を持った問題をやらせるから、過去問の分は心配しなくてもいい(?)という話ならまだ、わかります。ただ、過去問は子どもたちのモチベーションが非常に高くなる。塾の教材やテストで高い点をとるよりも嬉しい。これなら合格しそうだ、と思えるからです。(まあ、逆も確かにありますが。)
    だから過去問をやるのは、実質的な学習効果があります。それに(1)ばっかりは過去問をやらないとできない。土台、同じ問題が出ることを期待して過去問をやるわけではないのです。ただ出題者の顔ぶれはある程度決まっているし、学校がどういう子どもをほしいかという像も決まっている。その中で各校が工夫をこらして作るのが入試問題です。こんなに実践的な教材は、作ろうと思ってもなかなか作れるものではありません。ですから、まずは過去問をやりこなすという勉強をお勧めしているわけです。
    ただ、社会についてはあまり古い問題をやると、データが変わってしまいます。ですから、まあ5年まででいいでしょう。(ただ歴史なんかは、やって損はありません。)
    塾によっては、過去問をする時期をかなり後ろにしているところがあります。これはやはり授業をやる上で、いろいろな子どもたちの第一志望に対応するのは困難であるからです。ただ、逆に言えばそれだけ「出ない問題」をやらされている場合が考えられるので、やはり自宅では過去問をなるべく早めにやった方がいいでしょう。子どもたちはそういう意味では、あまりよく考えないで勉強しているのです。「先生に言われたからやる」という子が圧倒的に多い。でも中学受験の本質は、4年分の先取りですから、どこかを切り捨て、効率化しないとうまくはいかないものです
    首都圏の入試で言えば、スケジュールが短縮化して2月1、2、3日でほぼ入試が終わってしまいます。ということは、滑り止めを除けば、実際に対策すべき学校は1校か、2校なのです。そこに集中していくことの方が勉強はより効率化できます。その中核が過去問の勉強ですから、ぜひがんばってほしいと思います。

第40回 急いで解く?

模擬試験で、試験時間内に全部解き終わらない生徒はたくさんいます。

しかし、空欄はやはりもったいない。だから何とか答えを書きなさい、という話になるのですが、だからといって、あわててやってもろくなことがないというのが現実ではないでしょうか?あわてれば当然ミスがでやすくなります。むしろ自分ができる問題を選んで、その正解率を上げる方がやはり合格への近道ではないかと私は思います。

そんなとき、あるご相談を受けました。教科は国語。やはり模擬試験で空欄が多いので、問題文を斜め読みして、問題のところだけしっかり読んで、解いていくというやり方を試してみたら?ということだったそうです。

これは我々が子どもたちの質問に答えるときに、あまり時間がないとやる方法ですが、決して薦めるものではありません。やはり間違いがおきやすいくなる。大事な部分を読み飛ばしてしまう可能性が高いからです。

国語のテストでは、まず知識をやり、次に問題文が短い、あるいは問題数が少ない方の長文読解から手をつけるというのが常套手段です。しかしこれを上手にやる子もまだまだ多くはない。多分、最初から読んでしまっている生徒が多いのではないでしょうか。むしろこちらの方をしっかりマスターして、実際の長文読解はやはりていねいに読んでいくにこしたことはないと思います。

これから受験まで、私が一番重要視するのは「正解率」です。これはどの教科でも同じ。答えを出した問題の正解率を上げていく、ていねいさを身につけていく、こちらの方に注力してほしいと思います。

せいてはことを仕損じる、急がば回れというではありませんか。

第39回 受験を失敗させる親

中学受験は保護者が受験にかかわる要素が多い分、失敗の原因を作ってしまう可能性が少なくありません。
入試まであとわずかになってきましたから、ちょっと警鐘を鳴らす意味でお話してみたいと思います。

(1)言葉で厳しく、態度が甘い親

「勉強しなさい。」「何度いったらわかるの?」
言葉は怒気を含んでいるものの、実際には「仕方がないわね、もう寝なさい!」となってはいけません。
例えば子どもが計画を立てた勉強が終わらなかったら。
「大変ねえ。がんばってね。お母さんは先に寝るから。」
が正しい態度なのです。次の日が眠かろうと、朝、起きれなかろうと、それは本人が悪い。自分がやろうと思ったことは最後までやらないといけないのです。だから言葉が厳しい必要はありません。言葉が厳しくても、「お母さんは寝ろというに違いない」と思われたら、そこで勝負ありですから。

(2)子どもの障害を取り除こうとする親

人生、いろいろあるのだから、自分で何とかするということができないと先先困ってしまうと思うのです。
しかし、どんどん取り除いてしまう。まるでラッセル車、あるいはブルドーザーのように。子どもは人がやってくれるのなら、当然、自分でやろうとは思いません。
よく自立させようとお考えになっているお母さんとお話をしますが、そういうお母さんに限ってまだ子どもを朝起こしているのです。自分の時間をコントロールしようと思ったら、朝、自分で起きるのが当たり前。学校に遅刻しようが、自分のまいた種。だから自分で起きるまでほっとけばいいのです。子どもの部屋の掃除、お母さんがしていては自立はほど遠いと思ってください。

(3)子どもの受験が自分の受験と同質化している親
誰が受けるのか?当然、子どもでしょう。しかし、まるで自分が受けるかのように心配したり、準備されているお母さんがいるものです。もちろん、それなりに親として準備しなければいけないことはあります。願書や手続きは親がやってあげないといけないでしょう。しかし・・・。本人がやらなければいけないことまで、お母さんがやる必要はありません。これから入試が近づいてくるにつれ、子どもの受験だとしっかり割り切る必要があります。
本人がどこまでやるのか、しっかり見届けてあげるのは大事なこと。しかしあまり手を出しすぎると、本人は「最後はお母さんが入れてくれる」などと思うようになったりするものです。

(4)今の学校や受験状況を知らない親

さすがにお母さんは情報通なのですが、お父さんが疎いという家庭はまだまだ多いかもしれませんね。最近は保護者会や講演会にお父さんが足を運んでくださる方も増えましたが、しかし、そうでない方も多いのが現実かもしれません。
「え、そんな学校に行くのに塾に行くの?」
今の学校はお父さんの時代の水準と大きく違っているはず。ですから、そういう言葉がいかに子どもを傷つけるか、あまりご存知ないとすれば、それは問題外。おじいさんやおばあさんではないのだから、今の状況はある程度知っていてほしいものだと思うのですが。
ただし、お父さんがあまり詳しすぎるというのもちょっと考えもので。お父さんもお母さんも子どもにはっぱをかけていると子どもの逃げ場はなくなります。お父さんが一番果たさなければいけない役割、それはお母さんの話を聞いてあげることなのです。