はたまた母親講座」カテゴリーアーカイブ

第27回 学校説明会

■秋を迎え、これから各校で学校説明会が行われます。先日net通信で説明会の整理をしてみましたが、同じ日程、時間にかなりの数の学校が重なります。予定をしっかりたてておかないと、つい行きそびれるということがあるかもしれません。

■学校説明会は近年、非常に多様化してきました。校長先生や入試担当教諭による説明以外に、ビデオや各クラブ活動の紹介など、いろいろあります。予備校なみに、くわしい進学カリキュラムと実績の説明を延々やるところもあります。

■ただ、まず聞いておかなければならないことは、学校のトップの話です。それが理事長になるのか、校長先生になるのかは、学校によって違うでしょうが、やはり学校の責任者がどういう目標をおいて、学校運営をしているのかは、よく聞いておかなければなりません。

■私学というのは、本来、公立と違ってある教育目標があってできた学校です。宗教法人から作られた学校や企業から作られた学校などがありますが、その教育理念がしっかりとして、はじめて私学としての存在意義というか、差別化ができているのだと思うのです。親としては、まずその考え方に共感できるかとうか、子供を預けてよいか、しっかりと吟味することだと思います。

■よく大学の合格実績の話をするのですが、優秀な子供たちが集まった学校は特に何をしなくても、進学実績は良く、またある年、実績が悪くても、次の年は浪人が合格するので、実績が戻りますから、その増減に気を使う必要も本当はありません。

■むしろどういう理念にもとづいて生まれたどういう教育環境で子供たちの未来が開かれるのか、そこに親としては関心を持つべきだと思います。お母さんだけでなく、お父さんもなるたけ説明会に足を運んでおきたいところです。
(平成14年8月21日)

第26回 模擬試験の順位

■これから模擬試験が行われていきます。偏差値、順位などがデーターとしてでてくるのですが、この順位に惑わされてしまうことがあります。

■これは教えた実感でしかないのですが、例えば1番の生徒と1000番の生徒の差は、途方もない差ではないように思うのです。とくに6年生の後半になれば、範囲の勉強はほぼ終了していますので、知らないことの差は少なくなってくる分、なおさらだと思います。

■ところが、数字で見てしまうと、途方もない差に感じてしまいます。親も子どもも、この順位に惑わされてしまって、自信をなくしてしまったり、やる気がなくなったりするものです。

■試験は点数の差で並べますから、1点違えば、差ができますし、同じ点数に子どもたちが並べば、たとえ1点違っても50番、100番すぐ違ってきます。ということは、相対的位置である偏差値についても、当然すぐひっくりかえってしまうことがたくさんあるのです。

■そういう意味で、数字以上に合格、不合格がわかるのは実際に子どもたちを教えてみての実感でした。数字が良くても、「落ちる可能性が高い」子がいましたし、偏差値では合格しないかもしれない範囲の子でも、「この子は合格するな」と思える要素があると、存外、合格していきました。

■数字は結果でしかなくて、将来をはかるための絶対的な要素ではないのです。むしろその結果からいかに積極的に向かう姿勢を持ってもらうかがプロの指導者のvalueだと思うのです。「合格は無理ですね」というのは、誰でもいえる言葉ですから。
(平成14年8月11日)

第25回 疑問

■先日、東洋経済の取材を受けて、いろいろお話をしました。その中で、今後、受験はどうなっていくのだろうか? 塾はどうなっていくのだろかというお尋ねを受けて、お話はしたのですが、そのあと、私なりに再考してみたことを書いてみたいと思います。

■少子化が進み、明らかに受験戦争は往時ほど厳しくはなくなりました。しかし、完全になくなるのかといえば、やはりなくなりはしないだろうとは思うのです。日本が移民を受け入れず、労働的には閉鎖社会である以上、学歴を中心としたヒエラルキー(階層社会)は、まだ存在し、親としてはなるべく高いところに子供たちをいれてあげようとする気持ちになるからこそ、これだけ塾ははやっているのでしょう。

■しかし一方で、国際化した社会の中では、学歴や試験の力だけでは活躍できないことははっきりしました。そういう意味では人物を育て上げなければならないのですが、それが今、公立にないといって、では私立にはあるのか?という疑問が出てきます。

■よく思うのが、受験校の入試説明会を聞きに行くと、必ず合格実績の話になります。何々大学に何名というのは、塾と同じですが、そういう子供たちがどのようにして、それを志望したのかを説明してくれるところは一校もありません。カリキュラムやテストのシステムについての説明はあっても、どうして志望を決めたのか、その学校ならではの環境の中で何が決め手になったのか、そんな話は誰もしてくれないのです。

■子供たちは、これから自分の好きなこと、やりたいことを伸ばしていかなければなりません。その意味で、自分が何が好きか、何をやりたいのかを知ることが中高時代は大切なのですが、それを考えさせてくれる(自分で考えなければならないのですが)環境はどこにあるのだろうかとふと思うのです。多くの受験校が成績をあげることばかりを重視し、その動機付けにあまり力が入っていないとすれば、これは本末転倒な話です。

■逆に受験勉強にとらわれず、子供たちの好きなこと、得意なことをまっすぐ伸ばしてあげられる塾があったら、次の流れはこちらなのかもしれないとふと思うのですが。
(平成14年8月5日)