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第24回 中高一貫校の魅力

■なぜ中学受験をするのか、当然、中高一貫校に魅力があるからだと思います。その魅力は人それぞれで感じ方が違うと思います。たとえば、大学受験が有利だという考え方もあるでしょう。入試があるので、レベルがそろった子どもたちの中で育つのが良いと思う方もあるかもしれません。いろいろ意見はありますが、私が一番感じている中高一貫校の魅力は、いろいろなことを経験させてもらえるということです。

■中学から高校にかけて、子どもたちはいろいろなことを学びます。それとは別に自分の好きなこと、興味のあること、あるいは得意なこともだんだん固まってきます。ですからこの時期にいろいろなことを経験して、自分はこういうことに興味がある、とか、こういうことが得意だということを知ることが大事だと思うのです。そのとき、学校がいろいろな機会を提供してくれると、子どもたちの可能性が広がります。旅行に行くのもしかり、絵や映画を見るのもしかり、何でもやってみて、そこから自分を知ることが、この時期は大事ではないでしょうか。

■実際、多くの子どもたちが、中高の流れの中で自分が何をしたいのかを決めていきます。もちろん、それがあとで変更になることは多々ありますが、その変更のときも、実際には中学校や高校での経験が何らか、関与してくる場合があるでしょう。できれば、こういう時期には成績とは関係なく、いろいろなことをやらせてもらえると大変ありがたいと思うのです。

■そういう意味において、各中学にはいろいろな工夫があります。希望者に海外のコンクールに参加させる学校もあれば、修学旅行やイベントに工夫をこらしている学校もあります。その旅行でも、なかなか気が利いている学校もあるのです。林間学校なのですが、集合は現地の宿舎なのです。先生は、宿舎で待っています。子どもたちは、さてどうやっていくのか、いろいろ調べます。電車やバスを乗りついで、その山の家まで行くわけですが、こういうのはなかなか良い工夫です。(でもかならずお母さんがついて行く生徒がいるそうですが。)

■最近は海外での修学旅行も増えましたが、短期留学で非常に海外や語学に興味を持った子どもたちもいますし、また、理科や歴史の授業を通じて、自分の進みたい方向が決まった子どもたちもいます。大事なことは、いろいろ経験できる学校であるかどうか、そういう雰囲気が学校の中にあるかということです。別に先生が用意しなくても、学校にそういう雰囲気があれば、子どもたち自身でいろいろなチャレンジをするでしょう。

■そういう視点でもう一度志望校を眺めてみてください。意外に、だめな学校があり、おもしろそうな学校があるものです。
(平成14年7月30日)

第23回 志望校の決め方(3)

■子どもたちにとってクラブ活動や課外活動も私立を受験する大きな動機になります。クラブ活動については、やはり事前に調べていたほうがよいでしょう。例えば、野球が好きな子は、当然中学からも野球部に入りたいと思っています。野球部がどういう活動をしているのか、多少調べておいて、子どもたちと話しておくと、子どもたちのモチベーションをあげることにも役に立ちます。

■クラブ活動に関しては、やはり学校で取り組み方が違います。全員にクラブ活動を義務付ける学校もありますし、まったく個人に任せる学校もあります。先の例の野球部でいえば、野球部はあるが、あまり熱心に活動をしていないということになれば、せっかく入っても一生懸命野球ができないということになりかねないので、やはりある程度のところまでは学校やその学校に通っている保護者の方に聞いておくと良いでしょう。

■課外活動にもいろいろあります。これがある意味私学の独自性が出てくるものですから、これも知っておいた方が良いでしょう。例えば修学旅行ですが、普通は3年で行きますが、毎年行く学校もあります。また水泳学校や海外留学を考えている学校もあります。説明会やガイドなどをよく読んでおくことが大切です。ある学校で、夏の海外短期留学に出席した子どもが、その後、大変刺激を受けて英語を勉強し、長期留学に変わったという例も結構あります。こういうきっかけをくれる学校は経済的には大変ですが、家ではなかなか思い切れないことですから、たいへんありがたいことだと思います。

■学校でやっていないクラブ活動に入りたいという場合もあるかもしれません。例えば囲碁をやりたいと考えていましたが、行きたい学校に囲碁クラブがないということもあるでしょう。もちろん、囲碁クラブのある学校を選びなおすという手もありますが、クラブ活動以外の方法で囲碁をやることも可能です。地域のクラブや教室に参加する方法です。例えばサッカーでも、学校のクラブに参加するのではなくJリーグ参加チームのジュニアチームに参加している子どもたちもいます。ですから、そういう方法も検討しておきましょう。

■いずれにしても、6年生になったら、ことあるごとにそういう中学校の生活について親子で話し合うと良いでしょう。これは、結構子どもたちにとっては楽しい話になります。そしてモチベーションを高めることにもなります。

■そのとき、余計なことは言ってはいけません。「いまの、ままじゃ入らないけどね」なんて、一言言いたいお母さん、ここはぐっと我慢しなければいけません。
(平成14年7月21日)

第22回 志望校の決め方(2)

第22回 志望校の決め方(2)

■受験・付属の別や通学時間など、いったんリストアップされた学校の中からこれはという学校があれば、そこで説明会に出かけていくことになります。その中で私が重大だと思うのは、やはり校長先生の話です。これについてちょっと詳しくお話しましょう。

■私学は、特別な教育方針があって学校が成立します。学校法人は寄付行為からスタートしますから、それが教会や修道会などの宗教法人であったり、あるいは企業のオーナーだったりするわけです。したがってなぜ学校を作るのかという指針があって、それで長年運営されてきています。

■しかし時代が経過するにつれ、その目標となる人材育成が変化してくることもあります。したがってその方針は、やはり各学校のトップにかかってきます。私学が存続する意味は、本来、公立と違い、特別な教育方針があるからであり、そこが中途半端であれば、当然、私学の魅力もなくなってしまうのです。

■ですから、説明会では各校のトップが何を考え、どうやって子どもたちを指導していこうとしているのかを、よく聞くことが大切です。その中で最も重要なポイントは、やはり子どもたちの可能性をどう伸ばしていくのかだと私は思うのです。

■これからは学歴よりもその人のもつ力が大事になるでしょう。だからといって、すべての分野で秀でるというわけにはいかないので、やはり好きなもの、得意なものを伸ばしていくことが必要です。中高6年間の間で、子どもたちが自分の可能性に気が付き、それが好きになって伸びていける環境が、私は必要だと思います。

■トップが大学受験の結果ばかりを話している学校はやはり、これからの子どもたちを託す場所としてどうでしょうか?そういう意味で教育方針は、とても大事です。そういう魅力をトップが語れるようになると、偏差値が多少悪くても、良い学校になる可能性が高いと思います。
(平成14年7月14日)