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第18回 帰国子女

■帰国子女への取り組みは、私自身、比較的早かったと思います。当時、虎の門にあった帰国子女財団でお話を伺ったり、海外の方に教材をお送りしたりしたものです。帰国した方々のお話を伺った後、受験の準備を始めたり、出発前に教材や海外での勉強のアドバイスをしたりしていました。

■最近は、現地にも日本の塾がありますから、それほど不便がないと思いますが、それでも日本人学校にするか、現地校にするかなどいろいろと悩みが多いでしょう。財団や塾でも相談室をもっていますから、心配なときはどんどん相談してください。
■ 帰国子女の入試も、最近は変わってきました。昔は帰国子女枠など存在しませんでしたし、帰国子女は受験するのが大変でした。ところが英語ができる彼らは、大学受験でもなかなか力を発揮し、またその学校の雰囲気を変えてくれることを期待して、だんだん各校で受験枠が拡大していきました。確かに英語ができるという意味では、帰国子女は高校受験の方が有利だと思いますが、中学受験でも英語を評価する学校も増えてきているので、決してあきらめないことです。

■帰国子女の受験対策として、枠以外の学校も受験するとなれば1年前には帰国しておいて、国内で準備したいところです。しかし、それができない場合もあるでしょう。そのときは、現地の塾で準備をすることになりますが、そういう地域に住んでいらっしゃならない場合もあるでしょう。そういうときに便利なのがインターネットです。

■今は、教材もしっかりありますし、時差はあるもののメールやインターネットを使っていろいろな情報を集めることができます。そういう意味では、本当に便利な時代になりました。学校一覧を作っていて思ったのですが、今は、ホームページをもっていない学校は、ほとんどありません。したがって、情報は簡単に手にいれることができます。学校に対してメールで問い合わせをすることももちろん可能です。学校でも非常にていねいに対応してくれますから、遠慮せずにお尋ねください。

■そういう意味ではこれから逆もありえるのだなと思っています。今の子どもたちは、別に日本の学校だけではなく、世界の学校の情報を集めて、自分の学校を選んでいけるのです。大学や大学院ではもう始まっています。多くの日本の学生が世界の大学で学んでいます。そういう意味で、親ももう少し広く視野を持っていた方がよさそうです。
(平成14年6月15日)

第17回 能力差

■これまで子どもたちを教えてきて、確かに能力の差というのは、あります。電流などを教えてみると、すぐわかる子どももいれば、なかなか納得しない子どももいます。最初の段階では、この差は明らかに成績になって出てくるでしょう。

■一方で、最初はものわかりがわるくても、何度も勉強しなおして、自分の力にしてくる子どももいます。最後に力を伸ばしてくる子どもたちもまた、決して少なくはありません。すぐわかる子どもに比べれば、時間はかかるかもしれないが、一度わかったら、それまで苦労している分、忘れないので、なかなか力が落ちないのです。
■ 確かに子どもには能力差があります。しかし、入試までの時間の中では、その能力差が努力によって十分に補えると私は思っています。実際に差を埋めた子どもたちはたくさんいました。では、彼らの成功の秘訣は何だったのでしょうか。

■基本的にはあきらめないということだったと思います。自分で行きたい学校があり、その目標に向かって努力する姿勢があれば、多少能力が不足していても、勉強はカバーできるものなのです。私は、そういう意味で能力よりも、やる気の問題の方が大事だとお話してきました。そのやる気はすでに子どもたちの中にはあるのです。ただそれが表にでなければ、うまくいきません。

■そこで大切なのは、自信なのです。ですから、子どもと接するときにマイナスなことば、消極的なことばは厳に慎んだ方が良いのです。親はむしろ、子どもを積極的にさせることばを多くしていくべきです。「こんなことでは合格しない」ではなく、「こうすれば合格する」ということばを使ってください。

■子どもの能力は底知れないものがあります。あるきっかけで、俄然やる気になり、本当にあっという間に力をつけていった子どもたちを私はたくさん見てきました。そのときの子どもたちは、本当に乗っていました。けれども、乗せた人がやはりいるのです。それをぜひお母さんが担ってほしいと思います。
(平成14年6月8日)

第16回 夏休みの勉強法(2)

■夏休みの勉強のコツをいくつか、あげてみたいと思います。

■早起きをする
これは昔から言われていることですが、やはり早起きして、なるべく午前中に多くの勉強をしてしまうことです。暑い季節ですから、クーラーをかけても、やはり子どもの体力は消耗します。ですから、睡眠をとって、十分休養をとった後、勉強するのが効果があります。夏は、大人が遅くまで起きているので、つい、子どもたちも夜更かしをしがちですから、注意が必要です。

■計画をたて、予備日を作る。

夏休みは、40日間ありますが、意外に短いものです。あれもやろう、これもやろうと思っていたのが、終わってみればあまりできなかったというのが、多くのお母さんたちの実感ではないでしょうか。ですから、まずやることを絞り、それをきちんと割り振る計画が必要です。できれば、子どもといっしょに考えてあげてください。子どもたちに作らせると、本当にすばらしい計画にはなりますが、まず実行は不可能です。コツは予備日をつくることでしょう。予備日までに計画が終わっていれば、その日は完全な休みにして遊びに行きましょう。これがごぼうびになって、結構子どもたちはがんばってくれます。

■計画は大書して、家族のみんなが見れるように張り出す

計画は、大書して家族のみんなが見れるところに張り出してください。そして、勉強が終わったら、赤いペンで消していってください。これが意外に効果があります。どんどん勉強が終わって、実際に、力がついたなと子どもが実感できるので、その後の自信につながります。

■暗記物はゲーム化して

6年生は、やはり覚えることが多いはずです。暗記物は、試験では大切ですから、夏休みから取り組みましょう。ただ、どうせやるなら、おもしろくやってください。お母さんが出題者、子どもが回答者、そんなクイズ番組を毎日、30分くらいやってみたらとうでしょうか。正解の時は、「ピンポン!」なんていってあげると、楽しくなってきます。成績がよかったら、ごほうびも悪くはないでしょう。

■でも受験の天王山は夏ではありません。秋ですから、くれぐれも飛ばしすぎには気をつけてください。夏がんばりすぎて、秋がだらだらしてしまう子どもがたまにいるものです。受験に向けて右肩上がりが、理想的です。
(平成14年5月31日)