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第44回 合格答案の作り方 【算数編】

    過去問や類題を解く時期になりました。ただ、漠然と解くのではなく、やはり本番の入試を意識して、時間を計りながら練習するのが良いでしょう。

    合格答案にするのにも何点か、コツがあります。

(1)まず全体を見回す 何問出ているのか、一番最後がどこかを確認する。

    入試問題集は本になっているため、わかりやすくなっていますが、本番の入試は問題の間が空いているので、計算はしやすい代わりに、最後がわかりにくくなっています。したがって一番最後がどこか忘れてしまいやすいのです。模擬試験で、「まだ一問あった!」とぎりぎりになって見つけてしまうとショックが大きい。ですから、最初に何問あるか、確認します。

(2)時間の目安とやる順番を考える。

    試験時間が50分で4問ならば、1問およそ10分。9問ならば1問およそ5分です。そしてここが大事ですが、とにかく時間がかからずやりやすい問題から始めていくことです。入試は模擬試験と違って、最後の方が難しいとは限りません。最初の方に難しい問題が配置されていて、それで時間がなくなってしまう場合も少なくないのです。計算問題から始めるという子もいますが、計算問題も問題によっては時間がかかってしまいがち。私は計算問題は2問目ぐらいがいいと思っています。まず一問、簡単そうな問題を見つけてやると、落ち着きます。最初に見回すときに、これはできそうだというような問題に丸をつけておくのも良い方法でしょう。早く出来る問題があれば、先ほどの目安に比べて貯金ができます。貯金ができれば、あとの問題を落ち着いて考えることができるのです。ただし、飛ばしてやっていますから、解答欄は必ず確認してください。違う欄に書いてしまえば、それだけでもう点数はなくなってしまうから要注意です。

(3)条件に下線を引く。

    原価を求めるのか。速さは何なのか。確認するために、条件と思われるところには線を引きましょう。「同時に出発した」「向かい合って」「同時に着いた」などの表現も大事な条件です。ここにヒントがあります。同じ時間かかれば、速さの比が距離の比と同じになり、同じ距離を動けば、時間の比の逆比が速さの比になります。また速さの問題はダイヤグラムに書き直すのも便利な方法。これらを正確にやるためには、条件を正確に読み取ることが大事ですから、下線を引いて確認していくことです。

(4)式を書く。

    子どもたちの問題用紙を見ていると、いろいろ計算や図が書いてありますが、これが汚い(ごちゃごちゃしている)子はそれだけでも、算数が得意ではないことがわかります。入試問題は、頭の中で解けるものではなく、また計算も式を全部書ききってからの方が計算の工夫をしやすいもの。ていねいな字で計算や式を書いている子が「算数ができる子」なのです。家で練習するときは、白紙に式をきちんと書いていく練習をするといいでしょう。本番と同じ問題用紙が手にはいるのなら、それで練習してください。図を書くのもなるべく丁寧に。定規が使えない学校もあるでしょうから、ていねいに書く練習をしておくことが大事です。

(5)計算はその場で見直す

    検算はその場でが原則です。あとからやり直すと、時間が無駄になるだけ。確実に見直ししながら進む練習もしておきましょう。

(6)答えが出たら問題を確認する

    答えが出たと思ったときが、一番ミスをしやすいのです。ちょっとした割り算がきれいに割り切れたりすると、もうそれが答えだと思いがち。答えが出たと思ったら、もう一度問題を見て、何を出すか確認することが大事です。

(7)自分ができる問題だけ答えればいい

    妙な計算をする子がいます。前半で1問か2問落としたから、難しい問題をとらないと受からない、その結果としてやらなくてもいい問題に手を出して、見直しを忘れてしまう。「自分ができる問題だけ答えればいい」と考えればいいのです。自分が出来る問題を探していきましょう。
    入試のときにやればいいんだ、というわけにはいきません。日ごろから練習するから、正答率が上がるのです。これからの時間でできるようになりますから、しっかり練習してほしいと思います。

第43回 正解率を上げる

    受験まであとわずかになってきました。
    この時期、ぜひ気にしていただきたいことがあります。それは正解率です。
    例えば正解率7割の生徒A君と正解率9割のB君がいたとしましょう。
    多くの入試で合格点は7割前後です。(もっと低い学校もありますが。)
    A君は正解率が7割ですから、全部の問題に手をつけなければ70点はとれません。
    しかしB君は8割の問題に手をつければ、目標の70点に到達します。ということはB君は2割すてることができる。
    こうなるとA君とB君では明らかにB君の方が合格しやすくなるのです。
    子どもたちの答案を見ていると、もったいない点の落とし方が目立ちます。最初の計算から間違えていたり、考え方はあっていたのに最後の引き算で間違えたり。
    本来はもっと点数がとれるはずなのに、実際の点数はかなり低くなっているお子さんが多いのではないでしょうか。
    ですから、これからはあまり難しい問題を追うのではなく、できる問題を確実に解く練習をするといいのです。
    問題文を読むとき、条件がいくつあるか、確認する。
    計算はその場で見直す
    答えが出たと思ったら、その場でもう一度問題を見直す。
    以上3点を守るだけで、だいぶミスは減るのです。しかし、実際にそういう注意をしていても試験では、それをやっていない子がとても多いのです。

    これから試験までの間に「手をつけた問題は間違えない」子になると、大方合格します。

    ですから、過去問や類題をやるときも、常に正解率を上げる工夫をしてほしいと思います。

第42回 受験は勝負事

    いよいよ入試が近づいてきました。同じ志望校をめざしてがんばっている子どもたちも試験が終われば、合格者と不合格者に分かれます。そういう意味では、やはり受験は勝負事だと私は思います。そのときの試験で、いい点がとれるかどうか、ということにかかっているわけで、受験準備はそのためにすべきことなのです。
    したがって、無駄なこと、無理なことをやっていても仕方がない。中学受験はやらなければいけない分量が多いので、どこを効率化して合格させることができるかという点に絞って考えていかなければなりません。その意味では学校の教育方法とはだいぶ違ってくるでしょう。
    今の受験産業は、どちらかといえば保護者の負担が軽くなるようにできています。保護者が家庭であまり面倒を見なくても済むように、家で勉強をたくさんしなくても済むように、ということで通塾機会も増えているわけです。しかし、それが本当の意味で効率化につながっているのかというと、私はそうではないと思っています。
    中学受験のメリットの一番は、保護者が受験にかかわりながら、受験のデメリットを減らすことにあります。小学校6年生といっても、まだまだ自分だけで判断できる範囲は小さいので、その分保護者がかかわることで子どもたちを守ってあげられるのです。例えば偏差値や順位というのは、単にその試験の結果に過ぎません。子どもの価値(?)を表すものではまったくないのですが、しかし数字は一人歩きします。子どもたちの中には、偏差値さえとればえらいんだ、みたいな考え方をする子もいるほどです。しかし、それでは子ども自身が方向性を見失ってしまう。偏差値がとれないからといって、だめな子ではない。これから成長する過程にあるわけだから、一回の試験の結果よりもこれから、どうするか?ということが重要です。だから保護者のフォローが必要になるわけですね。
    だから私は保護者の負担が軽くなるということは、子どもたちの負担が大きくなるばかりだと危惧しているのです。
    塾は、どうやったらこの子が、合格するか?ということを考えていくのが筋だと思うのです。土台、小学生が中2までの先取りをするわけですから、すべてをやろうとすることにすでに問題があります。先日、ある6年生が分数の計算を今、学校でやっているんだといっていましたが、中学受験の現場とは大きくかけ離れているのが現状なのです。だから、どの部分を削って、どの部分を強化するのか、塾や保護者が考えていって、子どもに無理をさせない方法をとらないと中学受験のメリットを享受できないと思います。
    最近はインターネットや動画の環境がよくなっているし、子どもたちもパソコンに慣れてきているので、こういう点での効率化も考えられるでしょう。あるいは学校別対策に集中するのもひとつの方法です。対策すべき学校は結局2~3校なのですから、すべてを網羅するという考え方はあまり得策ではありません。
    とにかく、がんばるんだでは意味がないのです。勝負事だから、どうやって勝つか、その戦略がないといけない。ただ、子どもたちに戦略を立てられる力はまだ、ありません。だから保護者が考えないといけないのです。塾は利用するものであって、塾にまかせきりにしていいものではありません。
    中学受験は親の意思だとお話しましたが、だからこそ、親はしっかり受験に関わって、子どもたちのフォローをしてあげてほしいと思います。