■夏休みは1ヵ月半後からスタートします。その前に夏の準備はスタートしておかなければなりません。どんな準備をすればいいでしょうか?
■まず第一志望を決めておくのがいいでしょう。実際に過去問の勉強を始めていく機会ですから、どこを狙うのかしぼれていた方が良いに決まっています。ただ、まだ十分に絞れていない場合は、いくつかの学校をやることになると思います。勉強を効率化するという意味では、夏休みに過去問を練習する学校を絞ったほうが良いので第一志望は早めに決められるなら決めていきましょう。
■次に子どもたちの現状の分析をしてみましょう。これまでの試験の結果はでてきていると思います。その中で教科的なバラツキ、教科の中での得意、不得意を調べます。子どもたちは4教科とも同じ偏差値になることは、めったにありません。何かが得意であれば、何かが不得意なのです。しかし今の段階ではどの科目も、合格レベルに達していないでしょう。その状況を正確に把握します。
■次に第一志望のレベルや出題傾向について調べてみましょう。第一志望が決まれば勉強が効率的になるというのはこの点です。今の現状から考えて、ゴールが第一志望校ですからその合格レベルまでどうやって伸ばしていくかを具体的に考えていけばいいのです。
■過去5年~10年に出題された問題を見てみると、大きく傾向が変わっていないことに気づかれると思います。多くの学校では「入試傾向が変わった」とあまり言われたくありません。傾向が変わりやすい学校は受けにくいという印象を与えるからです。ですからどの学校でもだいたい入試傾向というのが決まっています。その傾向と現状から考えて、優先すべき科目と優先する内容を決めていきます。
■ただここで大事なことは、現状ではすべての科目で合格レベルに達していないのだからまず1科目でもいいから合格レベルに近づけようと考えることです。もちろんそればかりではバランスが悪いのですが、あれもこれもと考えてしまうとなかなか成果が出にくく、子どもたちのモチベーションもお母さんの気持ちもなかなか上昇していかないでしょう。
■例えば算数が好きで得意でもあるならば、まず算数を伸ばしてみるということを考えていけばいいでしょう。国語が得意なら過去問をがんばってみて6割ぐらいとれるようになるか、試してみてください。
■もし1科目でも達成できれば、後は残りの科目をどう達成すればいいか、考えればいいのです。子どもたちの状況はひとりひとりが違うので、全員が同じことをやって効率がよいかといえば、そうではありません。
■塾の夏期講習は18~20日間と長くなっています。しかもその間にも合宿があったり、学校の修学旅行があったりして家での学習時間を意外に確保できないものです。塾にお任せすればいいと考えるのは、私はあまり賛成しません。個別的な塾ならそれもできるでしょうが、みんなが同じことをやれば当然できる子は暇で、出来ない子は時間ばかりがかかるということがおこるのです。
■時間を効率的に使うためにも、まず塾の先生と相談して夏の勉強方法をぜひ考えてください。ただ、塾に通っていれば大丈夫というものではありません。
(田中貴.net通信52号より)