中学受験の勉強は、どうしても親の手がかかります。
宿題の確認、丸つけ、直し、スケジュール管理、塾のプリント整理。気がつくと、子どもよりも親の方が受験勉強を動かしている、ということも少なくありません。
もちろん、最初から子どもが全部ひとりでできるわけではありません。特に小学生ですから、放っておけば予定通りに進まないこともあるし、間違い直しをいい加減にしてしまうこともあるでしょう。
だから、親の関わりは必要です。
ただし、その関わり方は、少しずつ変えていかなければなりません。いつまでも親が先回りして、全部準備して、全部確認して、全部指示を出していると、子どもは「自分で勉強を進める」という感覚を持てなくなります。
本来、受験勉強で身につけたい力は、知識や解き方だけではありません。
今日は何をやるのか。どこまで終わっているのか。何ができて、何がまだできないのか。次に何を直せばよいのか。
そういうことを、自分で少しずつ考えられるようにすることが大事なのです。
たとえば、勉強を始める前に、親が「今日はこれとこれをやりなさい」と全部決めるのではなく、まず子どもに聞いてみる。
「今日は何からやる?」
「昨日できなかったところはどこだった?」
「これは何分ぐらいで終わりそう?」
こうした問いかけを続けていくことで、子どもは少しずつ自分の勉強を自分のものとして考えるようになります。
もちろん、最初はうまくいきません。予定を立てても守れない。時間の見積もりも甘い。やるべきことを忘れる。そういうことは当然あります。
しかし、そこで親がすぐに全部引き取ってしまうと、また元に戻ってしまいます。
大事なのは、失敗させないことではなく、失敗したあとに自分で気づけるようにすることです。
「だから言ったでしょう」と叱るのではなく、「どうすれば次は忘れないかな」と考えさせる。予定が崩れたら、「どこで時間がかかったのかな」と一緒に見直す。そういう積み重ねが、自分で勉強する力につながっていきます。
親がやるべきことは、子どもの代わりに勉強を管理し続けることではありません。
子どもが自分で管理できるように、少しずつ手を離していくことです。
丸つけも、最初は親が見るとしても、やがて子ども自身が答え合わせをして、間違えた問題に印をつける。プリント整理も、最初は一緒にやるとしても、だんだん自分で必要なものを出せるようにする。学習計画も、親が全部作るのではなく、子どもが決める部分を少しずつ増やしていく。
そうやって「自分でできること」を増やしていくことが、受験勉強の中ではとても大切です。
入試本番では、親は隣に座れません。
問題を読んで、時間を考えて、どれから解くかを決め、間違えたと思ったら自分で戻る。すべて子どもが自分で判断しなければなりません。
だから日頃の勉強でも、少しずつ自分で判断する場面を作っておく必要があります。
親が手をかけることは悪いことではありません。しかし、手をかける目的は、ずっと支えるためではなく、やがて子どもが自分で立てるようにするためです。
「ひとりで勉強できるようにする」というのは、急に放り出すことではありません。
親がそばにいながら、少しずつ子どもに任せる。失敗しても、すぐに取り上げず、自分で直す経験をさせる。そういう関わり方を続けることで、子どもは少しずつ変わっていきます。
受験勉強は、親が管理すれば一時的には進むかもしれません。
しかし、最後に力を出すのは子ども自身です。
だからこそ、今のうちから「自分で勉強する力」を育てていくことが大事なのです。
