月別アーカイブ: 2006年12月

いたちごっこ

中学受験の範囲は年々増えています。

最近の社会の問題を見ていると、現代社会の問題が増えて、いろいろな単語についての知識を求められるようになりました。横文字も増えてPKOなども当たり前に知っていないといけません。

そうなると対策する方としては、カリキュラムを見直します。単純に地理や歴史というわけではなく、国際関係や現代史なども範囲に含まれていくわけです。

結果としていわゆる出題範囲というのは膨大になり、今では小5、小6、中1、中2ぐらいまでの範囲がカバーされなければいけなくなりました。

だからといってそれがすべて必要なのか?といわれればそうではないでしょう。中学入試の問題を分析しているとやはり全体の3割が出題の7割を占めています。したがってその3割を知っていれば、70点はとれる。つまり闇雲にいろいろなことを勉強するよりは、その3割をしっかりと勉強する、そういう勉強法が必要なのです。

この3割はある意味、受験する学校によって違ってきます。例えばあまり地理の細かい知識を出さない学校(~平野、~山地などの地名を答えさせる問題)が増えてきています。したがってどこを受けるのか、どこを志望するかによって対策は自ずと変わってくるでしょう。

あまりいたちごっこに関心を払わず、むしろ第一志望の学校に照準を絞って3割が何かを考えていった方が効率はよくなるはずです。もう一度、出題傾向をしっかり見直してみてください。

共同体の基礎理論

大塚久雄さんの共同体の基礎理論は筑駒の中学1年の世界史で読まされました。その後、慶応の経済に進んだとき、同じものをテキストにした授業を受けて、「まあ、なんとも無理なことをしていたものだ」と思ったものです。

しかし、最近「はた」とひざを打ったのです。

今の中高一貫校は大きく分けて2つの流れがあります。

旧制高校の流れを汲む学校は、このように教員が自分の興味にあわせて専門まで一気に勉強させてしまうクラスが出てくるのです。本来、中学校の世界史は通史をやるべきですが、ローマ史を1年間かけてやってしまったりする。中学校の教科書にはそんなレベルの記述はないから、先生が専門書を元に教材をプリントで渡す。この中間、期末は大変です。土台、中学生に専門のローマ史を教える塾や個別指導なんかあるわけはない。だから自分で勉強する技術を持っていないといけないわけです。参考書を探す、難しい文献もがんばって読む、しかしこれはまさに研究のファーストステップみたいなもので、受験勉強なんかさわりもせず、遺伝子だ、生化学だとやってしまう。

もう一方はきちんと受験カリキュラムを作って大学受験に向けて緻密にカリキュラムを組み立てていく。使っているのは塾用教材。あるいは予備校の教材。繰り返し演習をさせ、テストを組み込み、塾や予備校以上のパーフォーマンスを出していきます。学校についていくだけで結構大変だが、その分、塾や予備校に行く必要はない。最近では代ゼミや東進の衛星授業を高校の教室で見せる学校もあります。

当然、幼い子やいまひとつ学力が十分でなかった子どもたちが確実にできるようになるのは後者の方でしょう。最近大学受験の実績を上げている学校は間違いなくこのタイプの学校なのです。

しかしねえ。問題は大学に入った後なのです。

受験勉強というのは、ある意味楽といえば楽なのです。ここまで情報化やデーターベース化が進んでくれば、それに対する対策も比較的確立してくるわけですから、その通りやればまずはそこそこの成績はとれるようになる。

しかし、自分が何を勉強するか、どういうことに進んでいくのか、ましてや研究ということになるとどうなるか?だれも仮説の検証について個別指導してくれるわけではないわけで、自分で考えて方法論を見つけ出さないといけない。

最近理科離れとか研究職離れとかいう話を聞くたびに、パターン化された勉強をさせすぎているのではないかと思うのです。それで確かに大学には入れるだろう、しかし。その後どうしているのだろうか?

敢えて中学1年に「共同体の基礎理論」を配る先生はなかなか素敵なのではないか。少なくともそういう学風というかスクールカラーは大事にしてもらいたいものだなあと思うのですが。

無理に前倒しする必要はない

中学受験の範囲は学校の学習範囲でいえば小学校5年~中学校2年ぐらいまでの幅があります。受験人口が増えて競争が厳しくなるにつれ、範囲も少しずつ広がってきていて、昔この問題はむずかしかったのになあと思う問題がもはや基本問題になっているような感じがします。

実際、ここ7年ぐらいの間に中学受験のカリキュラムは増加し、そして前倒しされてきました。私が中学受験の指導を始めたころ、カリキュラムは5年生から始まるものでした。それがいまや3年生から2科目、4年生では4科目。2年半もかけてカリキュラムが作られているのです。しかしながら・・・

例えば4年生の社会は、「暖かい地方のくらし」「盆地のくらし」など日本地理の先取りです。しかし地理は5年生の前期にやる内容なので、別に4年でやらなくても後からできるのです。カリキュラムはスパイラルであることが多く、学習したことをまたしばらくしてから学習するという感じになっていますから、あわててやらずとも後から勉強することはできます。

実際に入試で出題される範囲はやはり小学校5年、6年で勉強することがほとんどなのです。しかし分量が多くなっている分、早くからやらないと間に合わないという前提でカリキュラムが作られます。

しかし、3年生や4年生がそこまでやれるのか?といえばそうではないでしょう。だからここでモチベーションを持ってもらう必要があります。子どもに?いいえ、親にです。ここから始めて上位のクラスにいないと、上位の学校には入れませんよといわんばかりに、毎月テストをし、クラスわけをするのです。

先日ある保護者の方とお話をしました。ある大手の塾に3年生から入会し、3年生のときはトップクラス、そこからどんどん下がり始め、今では真ん中を維持するのがやっと。本人に会ってみると「どうしてそんなにオドオドするんだろう」と思うくらい自信がなさそうでした。

彼の力は私はもっとあると思いました。しかし3年生からスタートしてはや4年。お母さんは一生懸命やってこられたでしょう。でも早すぎたのです。だから本人が本来やる気になるべき時期にもう疲れてしまっていることになりました。

別の塾で数クラス落ちた後、2回の組み分け試験でようやくもとのクラスにもどった保護者の方がこんな話をしてくれました。
「でもだからといって、模擬試験の成績は決して良くはないのです。あんなに力を入れてきたのに、あれは何だったんでしょうか」

本来伸ばすべきときに伸ばせばいいのです。私は5年と6年で準備するしかないと思っています。4年生の女の子と話をしていてそれを再確認しました。

「どうして私はこの塾に来たか知ってる?」
「ママに行けって言われたからでしょ?」
「そう。でもママはね、先生の本を読んだからっていってたわ。」

まあ、そんなもんです。