2012年受験に向けて」カテゴリーアーカイブ

模擬試験に一喜一憂しないで

秋にはいろいろな塾で模擬試験が行われます。
実際に子どもたちの成績を見ていると、安定しているよりアップダウンが激しい生徒のほうが多いのです。悪い、良い、悪い、良いと交互になる場合もあれば、右肩上がりになったり、右肩下がりになったりしますが、安定した数字を出せる子どもはかえって少数派でしょう。
アップダウンが激しい場合、その子の実力をどう判断するべきでしょうか。
ある試験では良い点数がとれるかもしれない、ある試験では悪い点数になるかもしれないということがはっきりしているだけであって、真ん中でとったからといってそれが確実な実力というわけではないのです。

しかも1種類の試験ですべての学校の入試判定をすること自体に多少無理があるので、ある程度参考という気持ちをもってみてください。
ただ、答案だけはしっかり復習することです。

なぜミスをするか、なぜ問題を読み飛ばしたのか、そういうことは答案を見るとすぐわかります。計算をどこに書いたのかたずねるだけで、実はいい加減に計算をしていることがわかる場合もあります。
ミスはつきものです。成績の良い子もミスをします。それでも成績がよいのは試験中にそのミスを見つける技術を持っているから、そしてそれを修正する力があるからに過ぎません。
それは模擬試験を通じて体得できることなので、試験のたびに復習し、そのうえで次に注意する点を決めてまた、試験を受ける。そうやって得点力を上げていってください。
合格可能性や偏差値に一喜一憂しないで、具体的に何を変えるかを考えてください。

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子どもに合う塾をどう選ぶか

 塾を選ぶ場合、普通は大手の塾を選ぶのが一般的です。人数が多い塾は毎月クラス分けテストをしています(最近の塾はだいたい多いところで25名前後、大きい塾でも15名でクラスを編成するところが多くなっています)。このクラス分けテストは、毎月の履修状況を把握したうえで必要なレベルの授業をするために行われるのですが、同時にできる子どもたちを選抜していく仕組みでもあります。上位に残れば難関校への合格可能性が高まりますから、多くのご家庭がこの上位クラスをめざして毎月がんばることになります。

とはいえ、上位クラスに入れば安心というわけではありません。

 全員の志望校を絞り込んでいるわけではないので、「どこでも対応できるようにする」というカリキュラムになっています。当然4年生、5年生では入試に必要な基礎力を学ぶことになるでしょうが、次第に応用、発展のレベルに入っていくと、受ける学校によっては「あまり必要ない」範囲の勉強まですることになります。その量に惑わされて、力がなかなかつかない場合があるのです。

毎月のテストで、クラスが分けられたり、席が決まったりということになると子どもたちのなかでもある序列が生まれていきます。偏差値もそうですが、ひとつの序列に過ぎないものが、まだ幼い子どもたちのなかでは「絶対的な価値」に見えてしまうことになる可能性があるのです(保護者の方でもそう思っておられる方が少なくないようにも思えますが)。

 試験の結果ですから、毎月変わる可能性があり、担任がしっかり決まらないというデメリットもあります。そんな序列はたいした問題ではないと思えればよいのですが、やはり上位にいてほしいと思うのが親心ですからそれなりに親子でがんばってしまう。そして、「ずいぶんがんばったけど、もう疲れてしまった」ということになる可能性があるのです。

 一方小さい地元の塾は、先生がていねいに子どもたちの面倒を見てくれるでしょうが、まず刺激が少ない。その塾で一番になったところでまだまだ上はいるわけですが、安心してしまうことがあるわけです。学校情報などはだいぶネットワークでとれるようになってきましたが、やはり出てくる資料集などは大手と比べればまだまだというところも多いでしょう。
どういう子がどういう塾に合うのか、親が考えていかなければいけません。

 そこで、まずは公開テストを受けてみることをお勧めします。
最近はいろいろな塾が公開テストをやっていますから、その中から選んで受験してみるとよいでしょう。組分けテストにはデメリットもありますが、公開テストはそのときの子どもの力を測るうえで非常に役立ちます。

 その結果として、偏差値60以上をとれるのであれば、どこの塾に行っても間違いない、なかなか力のあるお子さんですから、大手であろうと近くの中小塾であろうと大丈夫です。60未満の場合、子どもが人と競うことが好きであれば、大手にいってみると良いでしょう。刺激を受けて自分がひとつでも上のクラスに行ってやろうと思う気持ちを持つ子であれば、そういう環境がプラスになります。

 しかし、あまりそういうことに関心がなかったり、やる気が表に出てこない子どもたちはむしろ少人数でていねいにみてもらうところが良いでしょう。また成績がまだ十分でない子どもたちも、小さい塾へいったほうが良いだろうと思います。むしろじっくり力をつけて、6年生の最後に抜きん出てくれればそれが一番効率の良い受験法だといえるのです。

 受験をスタートさせるのは3年生、4年生いろいろ議論がありますが、私は4年生で十分だと思います。

 4年生はどの塾でも本格的な受験勉強にはいる学年でしょう。しかし内容を見てみるとこの学年で履修する範囲は直接入試に出るものは少なく、やはり5・6年生の基礎を作る内容ということができるでしょう。したがってテスト向け細かい知識を覚えることよりは、むしろじっくり考えたり、ていねいに読んだりする力を鍛錬することが重要なのです。

 たとえば国語に関しては、細かい漢字や文法を覚えるよりなるべく長文をじっくり読むようにしたいし、算数は分数や小数の計算をしっかり鍛錬することのほうが重要だと思うのです。単にカリキュラムにしたがってその内容ができるようになるというよりも、もっと学習の礎になるような力をマスターすることが望ましいのです。

 4年生で週2回ぐらい、5年生から週3回くらいと塾へ通う回数を少しずつ増やしながら、自分で勉強するペースもしっかり作っていくことが大事です。

 逆に低学年のうちはしっかり基礎学力をつけていきましょう。特に大事なのは計算力。これは早め早めに勉強していって、4年生ぐらいになったら分数や小数の計算も楽にできるようにしておきたいと思います。

 この基礎学力がしっかりしていないと点数が取れないので、クラス分けのあるところでの勉強は苦痛になります。「まだ早い」とは考えず、少しずつ準備を進めていくのが良いのではないでしょうか。

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僅差の勝負

競争率が上がるということは、それだけ僅差の勝負になります。近年の入試でいえば、併願校を考えるにあたって、安全圏を考える保護者の方が少なくなかったので、中堅校の競争率が上がりました。いままでの入試ではその学校をあまり受けなかったような上位層が受験することになったのです。特に2月2日以降の学校ではこの現象が顕著でした。その結果、合格ラインにはこれまでだったら上位で悠々合格できた子どもたちが並びました。結果ほんのわずかの差で合否が分かれたのです。

 つまり、1問の計算間違い、ちょっとした問題の読み違いをしてしまったために、合格ラインに届かなかった子供たちが少なくないのです。これまで上位校でしか見られなかった現象が、中堅校へと広がってきているのです。したがって、中学受験の対策としてこの僅差の勝負をどう制すかという課題が出てきます。

 私が受験準備の中で一番重要なのは「ていねいさ」だとお話しているのは、このためです。いかにミスを少なくするか、ということを特に受験前には考えていかなければなりません。1点で10人、20人すぐ変わってしまうのです。そして当たり前ですが合格ライン付近には多くの受験生が集中しています。ここを突破するために、ていねいな勉強は不可欠なのです。

 合格ラインに1点不足するだけで補欠になってしまいます。補欠になれば、合格が回ってくる場合もそうでない場合もあるわけですから、あまり精神的に良いものではありません。

 さて、具体的な方法として、いくつかあげてみましょう。

1)問題文の条件に下線を引く。
  ただ下線を引くだけでは不十分で、解答を書く前にその条件を確認する作業が必要です。時速なのか、分速なのか。リットルなのかデシリットルなのか、条件を確認しましょう。

2)計算、式を残す
  途中でこちょこちょっと書いていくと、答えが合わなくなったときに、また最初からやり直しになります。しかし、過程を書いていれば、確認して進めますから、途中まで間違いを発見できます。これがなかなか難しい。特に男の子はそうです。ですから、毎日解いている段階から、式や計算を残すということはくせにしておくべきでしょう。

3)字をていねいに書く
  自分の字を見間違えて、ミスをするということもありますし、0と書いたつもりが、採点者には6と見えて間違う場合もあります。入試は答案が戻ってきません。したがって「これは0です。」と主張することはできません。誰がみても0だという字を書かなければならないのです。子どもたちの答案を見ていますと、まだまだこの時期は汚い答案が多いもの。模擬試験を受けるのですから、そういうところから練習する気持ちが必要でしょう。