パパママ先生合格術」カテゴリーアーカイブ

第18回 子供のすることだから

■お父さん、お母さんが勉強をみていると、つい小言が多くなります。「お父さんはもっと勉強した」「計画通りやらなきゃ、だめでしょ」そうなんですが…。

■ お父さん、お母さんが中学受験をされた方ももう少なくはないでしょう。今の子供たちよりもずーっと人口が多かった世代ですから、当然、受験も大変でした。しかしながら、お父さん、お母さんが受験の記憶として残っているのは、もっと大きくなってからの受験のことが多く、小学生時代は今の子供たちほど、絶対勉強はしていないでしょう。

■私も中学受験をしましたが、のんびりした時代のことですから、受験塾などというものはなく、家で勉強して、日曜日のテストを受けにいくだけです。6年生になってからも、大してペースがあがるわけでなく、冬休みごろに過去問をやった程度で受験になりました。

■また計画を作って、うまくいく子供はまず、いません。計画を立てるときは、そのつもりですが、子供たちだってやりたいことはたくさんあります。テレビを見、ゲームをやり、漫画もみなきゃならないのです。やりたいことを全部やったら、当然勉強する時間はありません。だから我慢しなければならないのですが、今の子供たちは我慢強くは決してありません。

■我慢するのは、今の子供にはとても難しいでしょう。何せ、いろいろなものが豊富にある時代。塾にいたころ、子供たちの忘れ物はすごく多かったのですが、取りに来ないのです。たまたま記憶にあるので、「これ君のじゃないの?」と尋ねてみると、「あ、塾で忘れたんだ。」という返事。「探したの?」「ううん」「どうして?」「時計、3つあるし。」(あらあら。)

■そういう子供たちのことを考えてみたとき、自分から進んで勉強するということが、これまで以上に難しくなっているのだとお父さん、お母さんは考えておかれるべきだと思います。子供たちが勉強するのは当たり前、ではなかなか結果が得られません。むしろ子供たちがなぜ勉強するのが良いのかをきちんと教えてあげなければいけないのです。

■受験勉強というのは、当然、学校に入るためのものです。したがって公立の学校ではなく、私立や国立を選ぶのか、その理由を子供たちが理解していなければなりません。お兄さんやお姉さんが通っている学校が楽しそうだから、私も行きたいと思ってくれれば、これは楽ですが、みんながみんな、そういう環境にいるわけではないのですから、教えてあげなければならないのです。

■そのためにはお父さん、お母さんが共通の認識に立っていることが重要です。「お父さんが受けろといったのよ」では、うまくいきません。ご両親で子供の将来のことについて、やはりいろいろとお話されることがまずスタートポイントではないでしょうか。新学年が来月から始まりますが、いい機会ですから、ぜひお話されてみてはどうでしょうか。

(平成16年1月16日)

第17回 受験が始まって

■今年の入試がスタートしました。東京や神奈川の本番は2月1日以降ですが、千葉、埼玉は今月から、関西も主軸は今月末です。子供たちがそれぞれに実力を発揮してくれるように、応援してあげてください。

■ 6年生のこの時期の勉強法は3つ、過去問、復習、暗記です。特に過去問は、志望校だけではなく、時間があればいろいろな学校の問題を解いてみるのがいい勉強法です。それもできれば、あまり難しくない学校の問題がよいでしょう。

■入学試験の結果を見ると、子供たちが「やさしかった」といっても、それほど合格点は高くありません。つまりみんな、思うほどできていないということなのです。あとで調べて見ると、結構問題の読み違いをしていたり、ミスをしていたりするものです。ラクラク合格かと思いきや、ぎりぎり通っていたりするものです。

■ですから、この時期、一番鍛えなければならないのは「やさしい問題を間違えない」力です。入学試験は1点違うだけで席次が20人変わってきます。したがって人ができる問題を間違えないということが一番合格に大切な部分なのです。

■復習というのも、できなかった難しい問題をやり直す必要はありません。試験練習をしている最中に、これは難しそうだと手を出さなかった問題まで復習していては時間が不足してしまうでしょう。そうではなくて、むしろ本来はできたはずなのに、間違えてしまった問題をきちんと復習しましょう。計算ミスをしたのか、問題を読み違えたのか、自分が間違った理由をしっかりと知ることが大事です。

■あとは暗記。これは知っていれば点になる部分を最後に強化します。漢字、社会や理科の知識です。といって、細かいものを覚えていっても仕方がありませんので、頻出する知識だけしっかりやっておきましょう。すでに塾で指示されているでしょうから、頻出事項をまとめた問題集なりを繰り返して学習してください。

■それと、もうこのころからは、夜型はいけません。試験はだいたい8時代からスタートします。目が覚めてから、フルな活動に入れるまでに約3時間かかりますから、朝型に切り替えて勉強しましょう。

■いろいろと結果が出てくると思いますが、出た結果は変えられません。尾を引かないように、次に目を向けていってください。ああすれば良かった、こうすれば良かったと考えても、変えられないものを考えても仕方がないのです。次の試験に向かって、前向きに進んでいってください。

(平成16年1月11日)

第16回 いつから受験勉強を始めるか

■各塾で新年度の募集が始まりました。だいたいの塾が4年生から受験をスタートさせるプログラムになっています。だんだん受験準備の時間が長くなる傾向にありますが、いったいいつから始めればよいのでしょうか。

■ 入試に出る内容を学習するのは主には5年の秋からです。もちろん最近の受験カリキュラムは前倒しされていますので、当然、それ以前に勉強することが出題されていますが、しかし、私は受験勉強が本格化するのは5年生の秋からだろうと思います。それまでは子供たちの意識がそれほど高くは無く、またそれ以前にあまりがんばりすぎて、後が続かなくなる可能性もあるからです。

■ただし、それまでの受験準備がまったく無意味なのかというとそうではありません。これまで学校の勉強だけでよかったのが、受験勉強を加えるわけですから、最初からたくさんの勉強を加えるということは子供たちにとっては大変です。ですから受験カリキュラムも前倒しされていて、3年間くらいかけて受験準備をすることになるのです。

■参考になるかどうかわかりませんが、我が家の例をあげてみましょう。ウチには息子と娘がいます。ふたりとも受験塾には幼稚園の年長さんの最後(すなわち小学校1年入学まえの2月)から通い始めました。週1回、2時間のコースで算数と国語を勉強します。当然学校の勉強より早く進みますから、子供たちはまず学校の勉強に苦労しなくなりました。勉強に対しての自信がまずできます。

■3年生まで通うと、4年生の授業と大分だぶることが多くなりますので、4年生になる段階で二人とも飛び級させました。息子の場合は、算数と国語の2教科、娘は4教科とも5年生のクラスに入って勉強しました。4年生の授業に進むよりはかなり大変なことになりました。当然、成績はよくありません。しかし、1年早いんだからという気持ちが先にあるので、成績が悪くても「当然でしょ」と親も子も楽な気持ちで進んでいました。

■1回目の6年生は結局、クラスで真ん中くらい、偏差値50前後でした。しかし2回目の6年生になると、とたんに偏差値は60台に跳ね上がりました。当然のことながら、最初にやるに比べれば、楽なのです。二人とも最後の1年間は、そんなにつらい勉強をすることもなく、だいたいは上位にいて、秋から冬だけ知識などをがんばり、目標の学校に入学しました。

■このやり方がすべての子供たちに向くとは思いません。ただ私が学習塾にいたので、負担になる最後の1年間を6年間に分散させてみたのです。結果としてはうまくいきましたが、それでも飛び級した最初の1年は大変でしたから、どういうやり方をしてもどこかで苦労することはあります。

■1年生から始めなければならないなどということはありません。5年生からでも十分に受験は間に合います。一番大事なことは、あまり無理をせず、子供のペースで進めるように親が考えてあげることではないでしょうか。学習塾が進めるペースがすべての子にとって効率的であるということでは決してないのです。

(平成15年12月21日)