■各塾で新年度の募集が始まりました。だいたいの塾が4年生から受験をスタートさせるプログラムになっています。だんだん受験準備の時間が長くなる傾向にありますが、いったいいつから始めればよいのでしょうか。
■ 入試に出る内容を学習するのは主には5年の秋からです。もちろん最近の受験カリキュラムは前倒しされていますので、当然、それ以前に勉強することが出題されていますが、しかし、私は受験勉強が本格化するのは5年生の秋からだろうと思います。それまでは子供たちの意識がそれほど高くは無く、またそれ以前にあまりがんばりすぎて、後が続かなくなる可能性もあるからです。
■ただし、それまでの受験準備がまったく無意味なのかというとそうではありません。これまで学校の勉強だけでよかったのが、受験勉強を加えるわけですから、最初からたくさんの勉強を加えるということは子供たちにとっては大変です。ですから受験カリキュラムも前倒しされていて、3年間くらいかけて受験準備をすることになるのです。
■参考になるかどうかわかりませんが、我が家の例をあげてみましょう。ウチには息子と娘がいます。ふたりとも受験塾には幼稚園の年長さんの最後(すなわち小学校1年入学まえの2月)から通い始めました。週1回、2時間のコースで算数と国語を勉強します。当然学校の勉強より早く進みますから、子供たちはまず学校の勉強に苦労しなくなりました。勉強に対しての自信がまずできます。
■3年生まで通うと、4年生の授業と大分だぶることが多くなりますので、4年生になる段階で二人とも飛び級させました。息子の場合は、算数と国語の2教科、娘は4教科とも5年生のクラスに入って勉強しました。4年生の授業に進むよりはかなり大変なことになりました。当然、成績はよくありません。しかし、1年早いんだからという気持ちが先にあるので、成績が悪くても「当然でしょ」と親も子も楽な気持ちで進んでいました。
■1回目の6年生は結局、クラスで真ん中くらい、偏差値50前後でした。しかし2回目の6年生になると、とたんに偏差値は60台に跳ね上がりました。当然のことながら、最初にやるに比べれば、楽なのです。二人とも最後の1年間は、そんなにつらい勉強をすることもなく、だいたいは上位にいて、秋から冬だけ知識などをがんばり、目標の学校に入学しました。
■このやり方がすべての子供たちに向くとは思いません。ただ私が学習塾にいたので、負担になる最後の1年間を6年間に分散させてみたのです。結果としてはうまくいきましたが、それでも飛び級した最初の1年は大変でしたから、どういうやり方をしてもどこかで苦労することはあります。
■1年生から始めなければならないなどということはありません。5年生からでも十分に受験は間に合います。一番大事なことは、あまり無理をせず、子供のペースで進めるように親が考えてあげることではないでしょうか。学習塾が進めるペースがすべての子にとって効率的であるということでは決してないのです。
(平成15年12月21日)