パパママ先生合格術」カテゴリーアーカイブ

第20回 受験会場にて

■今年も受験がほぼ終わってきました。6年生のみなさんは大変な5日間だったと思いますし、お父さん、お母さんも大変だったろうと思います。今朝、マンモス受験校に出かけてみました。毎年、非常に多くの受験生が集まる学校ですが、今年はさらに多いという感じを受けました。これは他の学校を回っていても同じ感覚で、今年はどこも受験生が増えているのではないでしょうか。

■ 詳しいデーターがそろってから、またお話しようと思いますが、この受験者増にはいくつかの理由があるでしょう。一番大きいのはやはり指導要領の改訂で、首都圏や関西圏ではもう受験の中心は中学受験でしょう。昨年私は今年の受験率を15.5%程度と予想しました。しかし、もしかするともっと上昇したかもしれません。

■あと、もうひとつ感じたのは、受験校の選別が非常にはっきりしてきたということです。有る程度のラインでしっかりきられている感じがしました。これ以下の学校には行かないというラインです。倍率が上がった学校が多い中で、今年も定員割れをする学校がでてくるのは間違いありません。

■それを強気受験と片付けていいのかは、もう少し分析してみなければわかりませんが、強気受験のもうひとつの理由はサンデーショックでしょう。今年は2月1日が日曜日でしたので通常2月1日にやる学校が2月2日に受験日を変更しています。必然、魅力ある学校を挑戦できる年ですから、どうしてもみなさんが強気に動く可能性はあります。

■いろいろな経験をした5日間だったと思いますが、この5日間で子どもたちは、また大きく成長します。私が現役のころ、ここで1年分くらい精神的な成長をする子がたくさんいました。たった4時間で結果がでてしまうわけですから、ある意味大変冷酷です。合格すればとてもうれしいでしょうが、残念な結果だってあります。しかし、そこからまた立ち直って次の日受験しようとする気持ちを盛り上げなければならないのです。でもそこを乗り越えるから、また成長があるのです。

■4月からはみんな中学1年生。これからまたいろいろな道が開けてきます。先日、以前の生徒と飲みに行きました。もう立派な社会人です。落ちたり受かったり、彼もしたそうですが、
「いい経験でした。あれは。」
と言っていました。心の底にいろいろな思いはあるのでしょうが、その経験をプラスに考えられたからこそ、この言葉があるのだと私は思います。6年生のみなさんもぜひこの経験をプラスの材料にしてさらに成長していってほしいと思います。

(平成16年2月5日)

第21回 第一志望以外の学校へ行く子のお母様へ

■前略
このたびの結果についてはさぞかしがっかりされておられるかもしれません。しかし、本当はがっかりされることではないということをお話したくて、ペンをとりました。ぜひ、お読みいただければと思います。

■ お子さんには当然第一志望があったと思います。その学校に入るべく、いろいろな努力を重ねてこられたと思います。しかし、結果は不合格でした。なぜでしょうか。当然、何らかの力が不足していたためです。学力が足りていたとしても、精神力が不足していた場合もあるのです。入試はたかだか4時間という限られた時間の中で行われます。ですから、その時間に自分の力以上を発揮することができた子もいれば、そうでない子も当然あるのです。しかし不合格であった以上、その分何らか力が不足していたわけですから、そこを今後の課題にしていかなければなりません。

■ところがそれに気づかずに何もしないでいると結果はさらに悪くなります。例えば学力が不足しているにもかかわらず、たまたま第一志望に入ってしまうと、入学後、いろいろと苦労するでしょう。もちろんそこで一念発起してがんばればよいのですが、大抵の場合、合格したことで気がゆるんでしまって、遊び癖がついてしまい、なかなか追いつけないことが多いのです。

■一方、落ちてしまったのであれば、何か不足していたわけですから、これから鍛えて足してもらえばいいのです。その意味でこれから行かれる学校は、とてもよい学校だと思います。受験した以上、なんらか惹かれるものはあったと思います。しかしそれ以上に、そういう何か不足している子どもをしっかり鍛えてくれることにかけて、その学校はトップ校よりもよほど実力も実績もあるということを忘れてはいけないのです。トップ校に行ってなんとなく落ちこぼれてしまうよりは、むしろそういう学校で生き生きと生活した方がきっとプラスになります。

■通学することになった学校は、縁があったのです。その学校に行かれることで得られるメリットを目いっぱい享受されると良いでしょう。決して通われる学校を第一志望校と比べて、がっかりしたりしないでください。行かれる学校にはその分魅力があるはずですから、むしろそこに目を向けてください。子どもたちがこれから通うのですから、そのことをもっと大事に考えてください。

■たくさんの子どもたちを見てきて、私がいま一番申し上げたいことは、通われる学校がどこでも、そこでの子どもたちの生活を積極的に応援してあげることが一番大事なことだということです。そうすれば、子どもたちはそこでの生活から自分にとって一番必要なものを吸収しようとする積極性が生まれます。その積極性があれば、いろいろなことに挑戦できますから、また一層成長してくれるでしょう。

■随所に主となれば立つところ皆真なりということばがあります。どんなところであっても心を積極的にしていれば、必ず道が開けるという意味です。逆にどんないい学校に行っても、気持ちが前向きでなければ得られるものは少なくなるのです。ぜひお子さんには「不合格でも成功する子」になってほしいと思います。

(平成16年2月7日)

第19回 単科塾

■最近単科で授業が取れる塾が少なくなりました。単科よりは週3回でセットになっていることが多く、その中の例えば算数だけとるということはできない仕組みになっています。塾側からすると、全部預けてほしい、逆に全部預けてくれないと責任はとれないという論理になっているようです。

■ ところが10年前は単科塾が結構多かったのです。上位校を受けていく層は特に、算数はここ、国語はここ、理科社会はここ、とそれぞれ塾を分けて通っていました。この方式は最近ではあまり流行らなくなってきました。塾が総合化していく戦略だったことに起因すると思われがちですが、実はご父母のニーズがそちらに傾いていったからだと私は思っています。

■当時、学習の主導権は家庭が持っていました。したがって、子供の性格や生活、習い事、あるいは教育方針にしたがっていろいろな選択肢を考えていたのです。ところが、だんだんそれが塾主導に変わっています。でも、この傾向はお父さん、お母さんが自信をもって子供の教育に当たれていない裏返しのような気がしているのです。

■逆に単科塾の変わりに個別指導が対応してくれるようになりました。それぞれの子供のニーズにあわせて授業を設定してくれるのですが、しかし、これも今度はあわせすぎがおきてしまい、受験に間に合わなくなる可能性もでてきます。そういう意味で私は単科塾の組み合わせというのが、家庭が主導権を握る意味ではひとつの選択肢だと思うのです。

■例えば算数と国語は家庭で指導し、理科と社会は単科塾で面倒をみてもらうというスタイルが中学受験にあってもいいのではないかと思うのです。もちろん、親が面倒をみると言う点において当然負担が増えるのですが、子供といっしょに勉強できるのは、多分、中学受験が最後でしょうから、そういう意味で楽しみながら面倒みてあげればよいと私は思うのです。

■ところがそういう視点で塾を探してみると、結構ないことに気がつきます。単科でとれるという塾はあまりありません。しかし、みなさんのニーズがそちらに傾いていけば、塾もまた新しいコースを作っていくでしょう。その意味で、ぜひご両親が自分のニーズをはっきりおっしゃってみるのがよいのではないでしょうか。

(平成16年1月24日)