第19回 単科塾

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■最近単科で授業が取れる塾が少なくなりました。単科よりは週3回でセットになっていることが多く、その中の例えば算数だけとるということはできない仕組みになっています。塾側からすると、全部預けてほしい、逆に全部預けてくれないと責任はとれないという論理になっているようです。

■ ところが10年前は単科塾が結構多かったのです。上位校を受けていく層は特に、算数はここ、国語はここ、理科社会はここ、とそれぞれ塾を分けて通っていました。この方式は最近ではあまり流行らなくなってきました。塾が総合化していく戦略だったことに起因すると思われがちですが、実はご父母のニーズがそちらに傾いていったからだと私は思っています。

■当時、学習の主導権は家庭が持っていました。したがって、子供の性格や生活、習い事、あるいは教育方針にしたがっていろいろな選択肢を考えていたのです。ところが、だんだんそれが塾主導に変わっています。でも、この傾向はお父さん、お母さんが自信をもって子供の教育に当たれていない裏返しのような気がしているのです。

■逆に単科塾の変わりに個別指導が対応してくれるようになりました。それぞれの子供のニーズにあわせて授業を設定してくれるのですが、しかし、これも今度はあわせすぎがおきてしまい、受験に間に合わなくなる可能性もでてきます。そういう意味で私は単科塾の組み合わせというのが、家庭が主導権を握る意味ではひとつの選択肢だと思うのです。

■例えば算数と国語は家庭で指導し、理科と社会は単科塾で面倒をみてもらうというスタイルが中学受験にあってもいいのではないかと思うのです。もちろん、親が面倒をみると言う点において当然負担が増えるのですが、子供といっしょに勉強できるのは、多分、中学受験が最後でしょうから、そういう意味で楽しみながら面倒みてあげればよいと私は思うのです。

■ところがそういう視点で塾を探してみると、結構ないことに気がつきます。単科でとれるという塾はあまりありません。しかし、みなさんのニーズがそちらに傾いていけば、塾もまた新しいコースを作っていくでしょう。その意味で、ぜひご両親が自分のニーズをはっきりおっしゃってみるのがよいのではないでしょうか。

(平成16年1月24日)

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