まだまだ母親講座」カテゴリーアーカイブ

第26回 学習ペースを考える

■5年生のカリキュラムがだんだん難しくなってきました。算数では比や速さなど入試に良く出題される分野の学習が始まっています。しかし、なかなか理解できない場合も多いのではないでしょうか。

■最近の入試カリキュラムは以前に比べて一段と早くなっています。比は以前は新6年生になってから学習していましたし、ここまでペースが速くはありませんでした。その結果として、ついていけないというお子さんが5年生の秋ごろから増えてくるのです。

■大事なことは、ここであわててはいけないということです。ボリュームもかなり多く、しかも難しいわけですから、すぐに理解することはそう簡単ではありません。しかし「できない」「ついていけない」というあせりから保護者の方が子どもたちにはっぱをかけるあまり、自信がなくなったり、勉強が嫌いになったりするのがこの時期なのです。

■対応を間違えてしまうと、取り返しがつかなくなります。子どもには一人一人成長のペースがあります。早くわかる子もいれば、じっくりわかる子もいます。しかし、勉強していけば、少しずつでも前に進むのです。子どもは決して同じところにはいません。そしてもうひとつ覚えておいていただきたいのは、ひとつ理解すれば今まで理解できなかったことが飛躍的に理解できるようになるということです。最初、苦労していたことが、いろいろなことをきっかけに「わかる」ということになるのです。それまでの間、あせってはいけません。できることを確実に積み重ねればいいのです。

■応用問題までたどり着かなければ、今はやらなくていいと考えてください。「できない」ことに目を向けるより、「できること」を大事にしてください。例えば基本問題だけしかできなくても、それが確実に、ていねいにできれば6年生の後半で得点力は確実についていくものです。保護者の方があせってしまい、子どものやる気を失わせるのが一番いけないことですから注意が必要です。

(田中 貴)

(2005年10月17日)

第25回 集団型個別指導というか・・・?

■最近、6年生の子供たちに勉強を教えるのは、ほとんど個別指導に近くなってきました。クラスには10人くらいの生徒がいるのですが、彼らのレベルも志望校もいろいろなので、ひとまとめにすることはそれぞれの子供たちにとって効率がよくないのです。

■そこで本人たちにそれぞれ必要なものを、個別に決めて勉強します。わからなければ聞きにきて教えます。私の机の前にオープンスペースで教室が2つあります。壁がありませんので、子供たちが何を勉強しているのかはすぐにわかります。授業中はきわめて静かに勉強が進みます。自分の課題を達成しないと、なかなか休みにならないからです。自分の課題を確実に解決すること、これが受験ではまず必要です。できることを集団の中でやってもあまり意味はない。今、やらなければいけないのは不足していることです。それは子供たちひとりひとりに違いがあるわけですから集中して解決するべきなのです。

■この方式を始めたもうひとつの理由は子供たちの組分けテストのプレッシャーをなくすことでした。人数が多くなくてもレベルが違えば、当然やることが違います。したがって集団方式では必ずクラスを変えなければなりません。しかし、このクラスでは毎週テストがあってその成績は本人と私しか知りません。で、そのテストの結果にしたがって次の学習内容を決めればいいのです。クラスが上がればいいが、クラスが下がるというプレッシャーはやはり毒があるので、気をつけておかなければならないのです。だからといってチェックはされていますから、ほめられたり、注意されたりするのは毎週あるのです。

■この方式を始めてから、まず、子供たちが自分で勉強するという姿勢が身につきました。何をしなければならないか、何を解決しなければならないかということが、ひとつひとつはっきりしたからモチベーションも明確です。そしてそれが受験校に対する姿勢にもつながっています。ただ、他の子供が何をやっているのかは、見させておきたいのでクラスは相変わらず10人程度は入れる教室にいます。となりがいるから迷惑をかけずに自分のことをやるという意識も大事だと思っています。

■デメリットは、私が忙しいことと、たくさんの生徒をみれないこと。まあ、それは仕方がないとすればあとは特に問題はなさそうです。特に秋以降、子供たちの成績がジワジワながら上がってきたことを考えるとこの方式にはメリットが多くあるようです。滞在型を始めたことで、彼らが塾を利用する時間も長くなり、私やスタッフと勉強する時間も増えたので、家庭での負担はだいぶ減少したと思います。このやり方に多少なりとも自信が出てきたので、私はエルフィーキッズにもこの指導方法を応用しようと思っています。締め切った教室の中で先生が主体的に教えるというスタイルは、そろそろ古いのではないかと思うのですがどうでしょうか?

(田中 貴)

(2005年10月10日)

第24回 腹をくくる

「中学受験、合格して失敗する子、不合格でも成功する子」から。抜粋。
「ここまでくると、いてもたってもいられないという感じをお持ちになるかもしれませんね。私には何かできることはないだろうか。この時期、お母さんにしていただきたいことは、二つあります。ひとつは健康管理。もうひとつはどーんと構えていただくことです。お母さんが心配すれば、子供はもっと心配します。お母さんが子供たちに一番近いように、子供たちもお母さんに一番近いのです。お母さんが心配すれば、僕は危ないかもしれないと思うようになります。だから心配してはいけないのです。土台、不安というものは試験の結果が出るまでは、解消しません。でもどうして不安なのでしょうか。落ちたらどうしよう、このことが漠然とのしかかってくるからです。でもこればかりは、子供のために、追い払わなければいけません。だから、「受験ぐらいで子供の人生は決まらない」とまず思ってください。私はいままで、たくさんの子供たちを送り出してきました。でも受験の成功が人生の成功につながるとは限りません。失敗したことがかえって、その子供たちの人生にプラスになったことはたくさんあります。また成功が後々失敗の原因になってしまったことも多々あるのです。ですから今回の受験は温かく、見守ってあげましょう。子供たちは初めて、自分の力で勝負するのです。

そして「私の子供だから何とかする」そう思っていただきたいのです。ぜひお子さんを信じてあげてください。このことに根拠はいりません。自分の子供をただ信じればよいのです。そして結果が出たら、その結果を子供の次の成長に役立てればよいのです。来年の4月になれば、お子さんは必ずどこかの中学に通うようになります。これは義務教育ですから、必ずそうなります。そしてその学校に行くことが、後で振り返ったときに、あの子にはベストだったと思えるようにすればいいのです。そんなふうにお母さんに自信があふれてくると、これはまた子供の自信につながります。かえってよい結果が出てくるでしょう。ですからどーんとかまえて、子供たちが自分の力を思い切りだせるように信じてあげてほしいと思います。」

(田中 貴)

(2005年10月2日)