まだまだ母親講座」カテゴリーアーカイブ

第29回 過去問を中心にした学習法

■入試に向けて、そろそろ志望校が絞られてきたのではないかと思います。この時期からは過去問を中心にした学習が必要になります。実際にこの段階で第一志望、第二志望を絞り込んでいった方が入試対策は効率が良くなるのです。

■入試問題にはやはり各学校で傾向があります。例えば算数で言えば、それほど難しくない問題をたくさん出題する学校もあれば、難しい応用問題だけを4題出題する学校もあるのです。ですから、その傾向に即した対策をしていかなければなりません。

■過去問をやっていくと、子どもがどこが不得意なのか、はっきりしてくるでしょう。例えば社会の知識が十分でないとか、理科の天体が得意でないなど、特別に対策を組まなければならないかもしれません。しかしその対策も、あくまで入試傾向に沿う形が一番効率よくなります。例えば水溶液の問題が得意でなくても、あまり計算問題が出ないのであれば、むずかしい問題を追いかけるよりも基本的な知識を充実させたほうが良いということになります。

■ある程度過去問をやったところで、一度その内容を整理し、具体的にどういう対策をするか考えましょう。ただし、あれもこれもというのでは、時間は足りません。したがって優先順位を決めてスケジュール化することが望ましいのです。

■対策をした後、また過去問をやり直し、対策が十分であるかをチェックしていきます。試験前にはどの年度をやっても過去問は8割以上とれる、というようになれば、子どもたちの自信もつき、合格可能性はさらに高くなっているでしょう。

(田中 貴)

(2005年11月6日)

第28回 応用力をつけるには

■最近、ちょっと気になるのは問題の細分化が進み、クラスによっては応用問題を省く塾もあるようです。基本問題もできないのに、応用問題をやっていてもできるはずはない、その通りなのですが、しかし応用問題を解かなければ応用力が身につかないのも事実です。

■応用問題の構造は大きく分けて2種類あります。ひとつは複数の基本事項が組み合わさったもの、もうひとつは独自の考え方が必要なものです。前者は結局は基本事項の複合体ですから、そのひとつひとつは基本問題と大差ないかもしれません。しかし、それを見分ける力は基本問題ばかりを解いていたのでは身につかないでしょう。

■一方、後者は基本問題にはない独自の考え方があるものです。これも知らないとなかなか解けないでしょう。そしてここがポイントですが、これらの考え方は基本問題には出てこないので、応用問題を解かない限り決してできるようにはならないのです。

■最近の塾では、クラスの細分化が進んでいて、あるレベルの子供たちには難しい問題をさせても意味がないので、やらせないという考え方が主流です。わからないでもないですが、しかしそれではこのクラスの子供たちが上へ上っていけるはずはありません。また基本問題はできるのに応用問題ができない子の勉強法としては、これは最悪です。しかし、偏差値の輪切りでクラスが決められてしまうとこういう不合理なことが起こる可能性があります。

■多少大変でも毎週数題は難しい問題にも挑戦する、そのことが子どもたちの可能性を広げます。自分で考える力がついている子どもたちには、応用問題を与えていくことが必要だと思います。そしてその中から、情報を分析する力や図を書く力がついていくのです。最近の指導法はややもするとパターン化して素人でもやれるようにする分、子どもたちの可能性が引き出されていないのではないかと思うのですが。

(田中 貴)

(2005年10月31日)

第27回 長い目も必要

■お子さんをごらんになるのに、長い目も必要です。お父さんとお母さんの役割ていえば、子どもを見る目が長期的か、短期的かという点も大事な要点のひとつです。お母さんは子どもとの距離が近い場合が多く、毎日の行動に目が行き届きます。

■したがって子どもを見る目が短期的になりやすいもの。勉強について言えば早く結果を求める傾向にあります。しかし、繰り返しお話している通り、子どもは子どものペースで成長していきます。親が思うとおり、伸びはしないのです。

■「こんなに勉強させているのに、どうして結果がでないのだろう」とか「勉強しなさいと言い続けるのにだんだん、疲れてきた」とかそんなお話を聞くのはお母さんの方が圧倒的に多くなります。一方、お父さんは「そんなに勉強しなくてもいいだろう」「俺が子どものときは、そんなにやらなかった。でも大学には入ったから」とかそんな発言でお母さんの激昂を誘うようです。

■当然のことながら、両方の見方が必要です。日ごろから、きちんと勉強させるくせをつけることは大事なことですし、一方で結果をあせることなく、子どもが伸びるときにしっかり伸ばすというタイミングを図る目も大事なポイントではないでしょうか。だから、お父さん、お母さんにはそれぞれの役割があって、お互いいろいろな話をして、子どもの良いところを引き出していく必要があるのです。

■最近の中学入試はまた過熱気味で、その倍率などを考えるとお父さんもつい、短期的な視野に立ちがちですが、しかしここはぐっとこらえて、長い目で子どもたちを見てあげてください。そして何より大事なことは、短期的に見ているお母さんを上手に抑えてあげることだと思います。そのために一番良い方法はやはり、夫婦がよく話し合うということではないでしょうか?

(田中 貴)

(2005年10月24日)