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第17回 合格可能偏差値

■ 手元に第2回の四谷大塚合不合偏差値が届いたので、ちょっと考えてみたいと思います。今回は開成、駒場東邦、麻布、武蔵の男子受験校4校と慶應普通部、早稲田実業、早稲田の付属校3校を例示します。

■数字は左から合格率が80%、50%、20%となっています。また80%と50%の差、50%と20%の差を計算しています。

開成 72 67 62 5 5
麻布 64 58 53 6 5
駒場東邦 65 61 57 4 4
武蔵 61 55 49 6 6
慶應普通部 60 56 53 4 3
早稲田 61 56 51 5 5
早稲田実業 59 56 52 3 4

■まず合格可能性の算出方法ですが、昨年のこれらの試験と実際の合格追跡調査の結果を元に算出されています。したがって合格可能性80%偏差というのは5人受けたうち、4人が合格するであろう偏差値です。50%は半分が、20%は5人に1人が合格するであろうと推測される偏差値です。ですから、確実なのは当然80%ですが、この中でも1人は落ちる可能性があり、別に50%でも半分の子が合格する可能性があるということになります。これまでの経験でいっても、やはり80%以上の合格可能性をとると、まず大丈夫という結果になっています。

■で、まず麻布と武蔵の幅が大きいことがわかります。しかし、これは四谷大塚の試験と実際の入学試験の適合性を鑑みる必要があります。麻布も武蔵も記述式の試験をしますので、当然この力を計算に入れないといけないわけですが、実際の模擬試験で記述問題がたくさん出ているわけではないので、その分、幅が広くなると考えるとよいでしょう。特に武蔵は、定員が少ないにもかかわらず、これだけの幅になっていますから、入試傾向と模擬試験の傾向が異なっていることをあらわします。逆に駒場東邦、慶應普通部、早稲田実業などは幅がつまっているわけですが、これには(1)定員(2)入試傾向の要因があります。普通部は170人、早稲田実業は225人ですから、少なければ当然幅がつまります。また駒場東邦は入試傾向が合不合に非常にあっていると考えられるでしょう。

■しかしながら、とはいっても6ポイントがせいぜいであって、10ポイントも違うということは前提にはありません。さてそれぞれの差は平均で見ると5ポイント程度違うわけですが、偏差値の5ポイントは点数では30点程度の違いになります。30点というと大きい差に見えますが、この試験の場合1問平均は5点ですから、6問程度の違いにすぎないのです。誤差とはいいませんが、私は逆転てきない大きな差ではないと思います。

■ということは、こう考えられると良いのではないでしょうか。80%合格偏差から10ポイント下(開成でいえば62)までの生徒は受験をしても合格する可能性はあるので、その学校の試験を受けるということを否定する必要はない。ただ、これ以上、離れてしまうと合格する可能性はあまり大きくはないと判断して、受験校を検討するべきだということです。これも1回ではなく、複数回見ていくことで、さらに信憑性が増すでしょう。

(平成16年11月10日)

第16回 メールマガジン

■田中貴.net通信というメルマガを出しています。一応隔週刊ということになっているのですが、ときどき、かなり不定期になっています。(すいません。)それでも登録していただいている方は500名近くになります。ところが、この前、ついに配信中にトラブルを起こして、途中で配信が切れてしまいました。

■途中で配信が途切れてしまうと、いったいどこまで配信されたのか、わからなくなるということに遅まきながら気がつき、システムを変更しました。ところが新システムにして、また配信が途中で切れるという事態になってしまったのです。その後システムは調整が済んだのですが、今度の失敗も、いったいどこまで配信が済んでいるのかわかりません。

■そこで、「田中貴.net32号について」という題のメールをお送りしました。もし、お手元に届いていない場合は、お知らせをいただきたいという旨のメールです。(本当に不手際で申し訳ありません。この場を借りてお詫びします。)ところが、その後大変うれしいことになりました。

■たくさんの方に返信希望のメールをいただいたのですが(それだけ配信ができていなかったことになるのですが)みなさんから激励のお言葉を送っていただきました。このホームページは私が我田引水的に運営しているところがあり、いったいどこまで役に立っているのか、甚だ心もとない状況だったのですが、配信を楽しみにしていただけるという方がいらっしゃることをはげみに、またがんばっていきたいと思います。

■今般、登録のシステムが変わりまして、メールアドレスだけの登録となっています。登録されますと、自動的に確認のメールが登録されたメールアドレスに届きます。また削除も自動的に行われますので、ご希望の方はこちらからご登録ください。

■今後は、以前掲載していた学校情報なども交えながら、また配信してまいりますので、よろしくお願いします。

(平成16年11月3日)

第15回 新刊メイキング顛末記

■2年半ぶりに新刊を出すことになりました。じっと待っていただいていた講談社のみなさま、本当にありがとうございます。

■再校が終わった気楽さで、この度の新刊メーキング顛末を書いておこうかと思います。最初の企画から考えると、いったい何回企画を練り直したのか、わかりません。前作は私が前の塾をやめたことがきっかけとなり、これまでのことを書いておこうかというのが動機でした。ですから、原稿も一気に書き上げたという感が強かったのです。

■しかし、その後、前の塾の仲間が集まりはじめ、塾ができ、会社ができて、私も再び教育現場にもどってきました。そして今年になって、14教室が参加するに及んで、これはもう一度、塾というものを考え直さなければならないと思ったのです。私は塾というのは、親へのサービス業であるべきではないと思っています。教育というのは、まず家庭が基本。そして家庭がこういう子に育てたいという考えがあって、その子に対する教育の具体的な内容が決まってくると思うのです。

■学校もそのひとつで、うちの子にはこういう環境で勉強してほしいという気持ちが受験につながるはずです。ただ、いったん受験となると、合格してほしいから、家庭だけで受験するのは難しくなり、塾がでてくるのです。ただ、塾というのはその思いをかなえるのが仕事で、お父さんやお母さんの替わりができるわけではありません。中学受験の場合は、特にお父さん、お母さんの役割は大きいのです。

■お父さんやお母さんが受験特有のマイナスは取り除いて、効率的な勉強をしていけば、その過程はとても実りが大きくなります。その応援を塾がすればよいのです。ところがお父さん、お母さんが受験に向かっていろいろ指示をしようとしても、それが子どもに届かないことが多いのです。塾はそういう部分で役に立たなければなりません。

■ある朝、そうだ手帳だ!と思いつきました。そしてそこから、一気にことが始まりました。講談社に原稿を持ち込めたのは、もう8月になっていました。(すいません。この間、ドットネットはほぼ、開店休業でした。)発刊が決まり、スケジュールが出て、編集の方からも良い提案をたくさんいただきました。特に今回は手帳のサンプルをたくさん載せましょうということで、図版も増えました。お母さんのリフィール、子どものリフィール、満載です。

■10月に初校、再校と進みました。手書きのサンプルもたくさん作っていただき、内容を吟味して最終案がまとまりました。何とか今年の受験生のみなさんにも多少なりとも役立てるよう、講談社は11月に間に合わせてくださいました。(相変わらず、わがまま言ってすいません。)ということで、私は先週、再校を出して終了です。この先はすべて出版社で進み、あとは手元に本が届くのを待つばかりです。今回の装丁も前作と同じ方にお願いできて、それもまた楽しみのひとつです。

■中学受験は、親と子どもが同じ目標を持って進む楽しいプロセスです。そしてその過程で、子どもたちが自分で学ぶ力を身につけていけば、この先どういう方向に進んでも力強いと思います。そして、その過程をぜひ多くのお父さん、お母さんに楽しんでいただきたいと思います。そういう受験であれば、きっと子どもの人生にとって実りが多くなると私は思っています。

(平成16年10月28日)