第29回 聞く

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■子どもの教育の中で意外に大事なのが、子どもの話を聞くということです。子どもと話をしていると、往々にして大人が子どもに話すことの方が多くて、子どもがどう思っているのか、何を考えているのか、聞く機会が少ないのではないかと思うのです。

■なぜ、子どもの話を聞いたほうがいいのかというと、教育というのは単に教えていけばいいということではない、むしろ子どもの力を引き出すことに注意が向かなければいけないからです。ともすると教えることが教育と勘違いをしてしまうので、つい大人が話す時間が長く、子どもの話を聞かなくなってしまうのではないでしょうか。

■私は、子どもたちと話をするとき、いろいろと尋ねることにしています。今日は、何があったのか、どうしてこの問題はできなかったのか、聞くことはたくさんあります。子どもに関心があれば、あれはどうしたろう、これはどうしたのかなと思うことがあり、それをまとめて子どもに聞くようにしているのです。

■聞かれて、子どもたちの反応はいろいろです。なかなか話し出さない子もいます。そのときは、話し出すまで、なるべく待っています。あるいは、話を整理していくために、もう少し尋ねることを細かくして、子どもが話しやすいようにします。

■慣れてくれば、今まで口数が少なかった子も、いろいろと話してくれるようになります。元気な子だともう、話すことがいっぱいで、つい時間がたってしまうことも少なくありません。しかし、自分の話を良く聞いてくれる人のいうことは、子どももまたよく聞いてくれるものです。

■お父さん、お母さんはお子さんと話をされるとき、まず聞くことを優先されるとよいでしょう。聞いているうちに、「あれ?」と思うことも出てきます。実は子どもにもなかなか話せなかった問題があったりするので、聞いているうちに発見することができるかもしれません。

■子どももまた一人の人格ですから、抱えている問題はたくさんあります。だからこそ、ぜひ話を聞いてあげてください。ずいぶん成長してきたなあと感じることもあるかもしれませんし、また、知らない面が表になってくることもあるかもしれません。そうすることによって大人が話すことばも次第に子どもに届くようにしていけばいいのではないでしょうか。

(平成17年2月3日)

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