■先日、質問があったので、話題にしたいと思います。中学受験でも高校受験でも学校ごとに合格可能性の偏差値が出てきます。ところが学校によっては中学受験では48くらいなのに、高校受験だと60になってしまうことがあります。この数字を見て、高校受験の方が難しいのね?という結論は間違いです。なぜでしょうか。
■問題は受験率にあります。受験に熱心な地域だと2月1日は学級閉鎖状態になる学校もありますが、首都圏における中学受験率は昨年で14%でした。つまり小学校6年生100人のうち中学を受験した生徒が14人いたことになります。今年は指導要領の改訂で17%前後まで跳ね上がるという人もいますが、それでもまだ20%に達していません。
■一方、高校受験率は97%近くに達します。したがって高校受験の偏差値と中学受験の偏差値では母集団がもともと違うことがわかります。偏差値は平均で50を示しますが、高校受験と中学受験で母集団が違う以上、平均も異なるはずです。
■おおざっぱな見積もり方をしても中学受験の偏差50が高校受験の60前後になろうかと思います。ここで10ポイントの開きがあることを前提にして考えれば、中学受験で45だった学校は高校受験では55が妥当な評価ということになりますので、数字だけ見れば高校受験の方が難しく見えるのです。もちろん70の学校が80になるわけではありませんが、平均付近ではそのくらいの差があると考えてよいでしょう。
■実際には高校で浪人する生徒は首都圏ではあまり多くありませんので、ほぼ学年を吸収している現実を考えれば、定員にも大きな開きがあります。中学受験生の数と定員もほぼ一致していますので、高校募集定員のほぼ20%程度と考えてよいでしょう。
■ただ、中学受験で募集をしてしまった6年一貫校の場合、高校での募集をしない学校が多くなりました。したがって、数からいえば高校受験生の方が圧倒的に多いものの、上位層での動きは明らかに中学受験中心と考えてよいと思います。現状の公立中学の内容を考えると、今年はそれに拍車がかかったとみるべきでしょう。したがって難しさからいえば、中学受験の方に軍配が上がるだろうと思います。
(平成16年2月6日)