第1回 機を活かす

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先日、ある雑誌の取材を受けて、つい話し込んでしまいました。
「やはり働いているお母さんが増えているんですよね。」
「そうです。今は半分を超えたかもしれませんね。」
「でも、中学受験率が上昇しているということは、働いているお母さんも中学受験に挑戦している方が多いということですね。」
「そうなりますね。」
「やはり専業主婦に比べると働いているお母さんのお子さんは受験にとってハンディがあるのでしょうか。」
「うーん、それは難しい問題かな。」
「というと、」
「確かに家にいないから子どもを管理することは難しいかもしれないし、小さいうちに基礎学力を作るのは家庭という面はあるでしょう。しかし、一方で子どもが自立しやすいという面は明らかにあるわけだし。」
「やはりワーキングマザーなりの受験術というのはあるのでしょうか。」
「受験術というのではないが、工夫の仕方はたくさんあるでしょうねえ。」
「その辺をいくつかお聞かせいただければ」

という話で取材はどんどん進んでいったのですが、まあ、紙面構成もありまたテーマもありで、その辺の話はあまり出てきませんでした。

そこで。

この機会にいったんまとめてみようかと思い立ち、従来の母親講座の亜流編としてお読みいただければと思います。別にカテゴリーを立てましたので、それだけ読んでいただけるようになっています。

さて

働いているお母さんがまず気をつけなければいけないことは、
「見ていないことをハンディと思わない」
ということです。専業主婦に比べて子どもと共有する時間は確かに少ないでしょう。しかしその絶対時間の長さがすべてではない。子どもは当然親といる時間がすべてではなく、友達、先生、他の大人の人といろいろな人と時間を共有することによって成長していきます。親が見ていない以上、子どもは自分でいろいろな時間の過ごし方をします。例えばうちのようなキッズであれば、シーダーをはじめいろいろな先生が話をするだろうし、違う学校の友達ができているでしょう。習い事もそうかもしれないし、あるいは学童でも違う経験をしているでしょう。

問題はその機をどう生かすかです。最近よく「活機」というお話をするのですが、子どもの成長はこの機を活かすということに尽きるように思うのです。子供たちがいろいろ経験する機会を活かして、子どもの成長に結びつける、そういう意味では経験は宝でもあります。専業主婦であれば与えられない機もあるもの。それぞれの子供たちが持つ機を活かせばよいと思うことです。

そしてそのためには、まずお母さん自身が積極的な気持ちを持ち、子供たちの教育に参加することです。ハンディとは思わず、自分は機を別に与えられている、だから積極的な気持ちを持ってその機を活かすんだという意思をもたれるとよいでしょう。では機を活かすにはどうすればよいか、大事なステップは「ほめる」ということでしょう。

例えば他の先生といろいろなお話をして帰ってきた、こういう話をした、ああいう話をした、子どもからすれば聞いてほしいでしょうから、まず聞いてあげてください。そしてその上で「他の先生ともそんなにお話ができてえらかったわね」とほめてあげれば、その子にとってその機は大変活かされたでしょう。まずお母さんに聞いてもらえている、そしてほめてもらえている、そういうことで他の人と話をすることも大事なことだとわかるのですから。

子どもが経験したことを活かす。そのために聞いてほめる、聞いて注意することもあるかもしれませんが、でも聞いてあげること自体がまずほめることにつながっています。さらにほめてあげれば、子どもの気持ちは積極的なものになるでしょう。

いっしょにいる時間は少ないかもしれませんが、話はぜひ聞いてあげてください。子供たちは成長する機会をたくさん持っているのです。

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