第34回 楽しくなければ、できるようにならない

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■ 何事もそうかもしれませんが、楽しいと感じてくれないと、努力は続かないものではないかと思うのです。

■ スポーツ選手の話を聞いていると、もとより練習はハードだし、しんどいことが多い。でもその競技をやることは楽しいと思っているし、緊張感のある試合が好きだという選手が結局は伸びていくように思うのです。

■ では、勉強は楽しいか、と言われると、そうとも言えるし、そうではないとも言える。例えば問題ができた、ということはうれしいし、わかることは楽しいことだとは思います。ただ、それまでに当然、しんどい努力が必要になる。計算問題もしなきゃいけないし、知識も覚えなきゃいけない。そういう練習のもとで、試合であるところの試験で良い成績を取るということ自体を「楽しい」と感じることができるか?というと、「うーん、微妙かもしれない」と思うのです。

■ しかし、その過程や結果をお父さん、お母さんから褒められる、あるいは先生から褒められる、ということになると、どうか? 自分がやったことを認めてくれる人がいる、支えてくれる人がいる、ということになってくると、そのこと自体も楽しくなってくる可能性はあると思うのです。

■ 私が子どもは「褒めて育てる」べきだと思うのは、このためです。もちろん、受験という目標はあるが、その学校に入ることに対する価値を子どもがどれほど考えているか、感じているかは個人差があると思います。ただ、どんな子でも褒められてうれしい。特にお父さん、お母さんに褒められるのはとてもうれしいと思うのです。だから、がんばる、というところが子どもにはあります。「あなたのためでしょ?」と言われてピンときている子どもはそう多くはないのです。でもお母さんに
「こんな問題できて、すごいわねえ。」
と言われたら、そりゃあ、うれしいだろう、頑張ろうと思うだろう、と思います。

■ つまり「褒められる」から「楽しい」、という経験をするわけで、そうなると勉強自体も楽しくなってくるというところがある。それが逆に「できない」→「叱られる」→「勉強したくなくなる」→「できない」というスパイラルに入ってくれば、それはできるようにはならない。このスパイラルから抜け出すためには「わかるようにする」というのはもちろんだが、「叱られる」を「褒められる」に変えることが必要なのです。

■ ところが、子どもを褒めるというのは、案外難しい。特にお母さんには難しいようです。なぜか。子どもとの距離があまりに近いから、「えらいわねえ」という言葉をお母さん自身が「白々しい」と思う傾向にあるからでしょう。しかし、やはり褒めないと子どもが楽しいと思わず、楽しいと思わなければ伸びない、とすれば、お母さんに工夫が必要でしょう。「白々しい」と思ってもいいから、褒める言葉を続けることです。言い馴れてくれば、だんだん「白々しく」感じなくなるでしょう。

■ 子どもたちにも「まず実行!」と、よく言いますが、お母さんにも『まず実行』をお願いしたいところです。



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