溶解度の問題

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平成22年度、東邦大東邦の問題です。


物質の水への溶け方はその物質の種類によってことなり、水に溶けやすい物質や溶けにくい物質といった違いが生じます。
また、同じ物質でもその溶け方は温度によって変化します。下の表は、ある固体の物質(物質Aとします)が40℃、60℃、80℃のとき、100gの水に対してそれぞれ何g溶けるかを表したものです。また、これと別の固体の物質(物質Bとします)は40℃のとき100gの水に36g溶けます。これについて、次の(1)~(5)の問いに答えなさい。ただし、 物質Aと物質Bが同時に水に溶けている場合でも、たがいの溶け方には影響を与えないものとします。また、答えが小数の場合は、小数第2位を四捨五入して答えなさい。

(1)54gの物質Aを100gの水に加えて、40℃にしたところすべて溶けました。この溶液の温度を40℃に保ったまま25gの水を蒸発させたところ、物質Aの一部が固体となって出てきました。
 このとき、出てきた物質Aの重さは何gですか。

(2)ある量の物質Aを50gの水に加えて、60℃にしたところすべて溶けました。この溶液の温度を40℃に下げると、13gの物質Aが固体となって出てきました。はじめに溶かした物質Aの重さは何gですか。

(3)60gの物質Aを70gの水に加えて60℃にして溶かした溶液と、112gの物質Aを180gの水に加えて80℃にして溶かした溶液を混合しました。混合後の溶液を40℃にしたところ、物質Aの一部が固体となって出てきました。このとき、出てきた物質Aの重さは何gですか。

(4)92gの物質Aと35gの物質Bを150gの水に加えて、40℃にしたところすべて溶けました。この溶液の温度を40℃に保ったまま水だけを蒸発させたところ、固体が出てきました。これには8gの物質Bが含まれていました。この固体に含まれる物質Aの重さは固体全体の重さの何%ですか。

(5)54gの物質Aと18gの物質Bを100gの水に加えて、40℃にしたところすべて溶けました。この溶液の温度を40℃に保ったまま水だけを蒸発させたところ、固体が47g出てきました。このとき、蒸発した水の重さは何gですか。


溶解度の問題は、濃度を習った分だけ、間違いやすくなるというお話を以前しました。

溶解度のポイント

しかし、水と溶質(溶けているもの)を別々に考えていくことで、克服できるのです。今回はこの問題を使って、説明していきましょう。

まず(1)です。

40℃の水100gではAは64gまで溶けます。したがって54gは当然溶けきっています。そこで水を25g蒸発させたので水の重さは75g すなわち最初の75/100=3/4になっています。そうなれば溶けきる重さも3/4になるのでこの段階では
64×3/4=48g
しか、溶けません。したがって
54-48=6gの固体が出てくることになります。
(答え)6g

(2)
60℃で水が50gですから110÷2=55gまで溶けることがわかります。
一方40℃で水が50gであれば、64÷2=32gまで溶けることがわかります。
この段階で13gが出てきたのだから、最初に入っていたのは
32+13=45g
ということになります。
(答え)45g

(3)
最初の溶液(あ)は 60℃ 水70g A 60gです。
もうひとつの溶液(い)は 80℃ 水180g A 112gです。
ということは水は250gあるので、これを40℃にすると
64×250/100=160g
のAが溶けることになります。しかし(あ)と(い)でAは
60+112=172g入っていますから、
172-160=12gのAが溶け残ることになります。
(答え)12g

(4)
Aは92g Bは35gです。
水150gで40℃にするとAは64×150/100=96g溶けますから、全部溶けるでしょう。
Bは40℃で水100gには36g溶けるので、150gの水に対しては
36×150/100=48g 溶けるので、これも全部溶けています。

Bは8g溶け残ったので、35ー8=27g溶けている状態になります。40℃で溶けるBと水の比は同じですから、
27:X=36:100ですからXは75gになります。つまり水は75gしかないのです。

このときAは64×75/100=48gしか溶けません。したがって、92-48=44gがAの溶け残りになります。

溶け残った全体の固体は8+44=52gですから、Aの割合は
44÷52×100=84.61・・・

となるので、答えは84.6%になります。

(答え)84.6%

(5)
Aは54g Bは18gです。
40℃で水100gに溶ける量はAが64g Bが36gです。
つまり水100gに溶けるAとBの重さの比は64:36=16:9になります。
最初に入っていた固体は54+18=72gで、溶け残った固体が47gですから、溶けている固体は
72-47=25g
になります。これを16:9にわければいいので溶けているAは
16g
ということがわかります。

これは16/64=1/4なので水も4分の1しかなかったので、
100×1/4=25g したがって蒸発したのは100-25=75gになります。

(答え)75g

解説が長くなってしまいましたが、常に水と溶質の重さを分けて考えていくと、溶解度はわかりやすくなると思います。

「映像教材、これでわかる水溶液」(田中貴)

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