■なぜ中学受験をするのか、当然、中高一貫校に魅力があるからだと思います。その魅力は人それぞれで感じ方が違うと思います。たとえば、大学受験が有利だという考え方もあるでしょう。入試があるので、レベルがそろった子どもたちの中で育つのが良いと思う方もあるかもしれません。いろいろ意見はありますが、私が一番感じている中高一貫校の魅力は、いろいろなことを経験させてもらえるということです。
■中学から高校にかけて、子どもたちはいろいろなことを学びます。それとは別に自分の好きなこと、興味のあること、あるいは得意なこともだんだん固まってきます。ですからこの時期にいろいろなことを経験して、自分はこういうことに興味がある、とか、こういうことが得意だということを知ることが大事だと思うのです。そのとき、学校がいろいろな機会を提供してくれると、子どもたちの可能性が広がります。旅行に行くのもしかり、絵や映画を見るのもしかり、何でもやってみて、そこから自分を知ることが、この時期は大事ではないでしょうか。
■実際、多くの子どもたちが、中高の流れの中で自分が何をしたいのかを決めていきます。もちろん、それがあとで変更になることは多々ありますが、その変更のときも、実際には中学校や高校での経験が何らか、関与してくる場合があるでしょう。できれば、こういう時期には成績とは関係なく、いろいろなことをやらせてもらえると大変ありがたいと思うのです。
■そういう意味において、各中学にはいろいろな工夫があります。希望者に海外のコンクールに参加させる学校もあれば、修学旅行やイベントに工夫をこらしている学校もあります。その旅行でも、なかなか気が利いている学校もあるのです。林間学校なのですが、集合は現地の宿舎なのです。先生は、宿舎で待っています。子どもたちは、さてどうやっていくのか、いろいろ調べます。電車やバスを乗りついで、その山の家まで行くわけですが、こういうのはなかなか良い工夫です。(でもかならずお母さんがついて行く生徒がいるそうですが。)
■最近は海外での修学旅行も増えましたが、短期留学で非常に海外や語学に興味を持った子どもたちもいますし、また、理科や歴史の授業を通じて、自分の進みたい方向が決まった子どもたちもいます。大事なことは、いろいろ経験できる学校であるかどうか、そういう雰囲気が学校の中にあるかということです。別に先生が用意しなくても、学校にそういう雰囲気があれば、子どもたち自身でいろいろなチャレンジをするでしょう。
■そういう視点でもう一度志望校を眺めてみてください。意外に、だめな学校があり、おもしろそうな学校があるものです。
(平成14年7月30日)