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答えが出たと思ったら

算数の問題を解いていて、最後の最後で間違える子がいます。

途中まではちゃんとできている。問題のポイントにも気づいているし、考え方も合っている。式も正しく立てられて、計算してみたらきれいに割り切れた。

本人はそこで、「できた」と思うわけです。

ところが、実はもうひとつ先がある。

今求めたのは原価で、問題で聞かれているのは定価だった。あるいは、太郎君の速さは出たけれど、聞かれているのはAB間の川の流れの速さだった。

こういう間違いは、考え方がわかっていないから起こるわけではありません。むしろ途中までうまくいっているからこそ起こります。計算がきれいに終わった瞬間に、「これが答えだ」と思ってしまうのです。

しかし、入試では途中まで合っていたからといって、必ず点になるとは限りません。特に答えだけを書く問題では、最後に正しい答えを書かなければ得点にはならない。

ですから、最後の詰めを習慣にしておく必要があります。

私が子どもたちに繰り返し言っているのは、

「答えが出たと思ったら、もう一度問題文を読む」

ということです。

何を聞かれていたのか。単位は合っているか。今出した数字が、本当に答えるべきものなのか。

答えが出たときほど、もう一度問題文に戻る。このひと手間で防げる失点は、かなりあります。

断片的な知識

暗記テキストを進めていると、答えは合っているのに、「では、それは何?」と聞くと止まってしまうことがあります。

言葉は覚えている。しかし、その言葉が何を意味しているのかは、よくわかっていない。つまり、知識が断片的なのです。

受験勉強では覚えなければならないことがたくさんあります。ですから、答えられた問題は○にして、どんどん先へ進みたくなる。しかし、用語を答えられることと、その内容がわかっていることは同じではありません。

特に社会では、こういうことがよく起こります。

例えば「地方交付税交付金」と答える問題には正解できる。しかし、「地方交付税交付金とは何ですか?」と聞かれると説明できない。いくつかの言葉の中から正解を選ぶことはできても、その中身までは理解していない、ということがあるのです。

歴史でも同じです。「大塩平八郎」「二・二六事件」と名前は覚えていても、それがどんな人物なのか、どんな事件なのかを短く説明できなければ、まだ知識はつながっていません。

ですから、ときどき逆から確かめてみると良いでしょう。

「これは何?」と聞いてみるのです。長く説明する必要はありません。二、三文で中身を説明できれば、言葉と内容が結び付いています。

暗記はどうしても先へ進むことが中心になります。しかし、断片的な知識をいくら増やしても、問題の聞かれ方が変わると使えません。

覚えた言葉について、「これは何だろう」と考える。そのひと手間で、ばらばらだった知識が少しずつつながっていきます。

1問1問を大切に

入試までの時間が少なくなってくると、どうしてもたくさんの問題を解きたくなります。しかし、今解いているその一問と、入試までにもう一度出会えるとは限りません。次に同じような問題が出てくるのが、本番かもしれないのです。

入試が終わってから、「これ、前にやった問題と同じだったよ」と言っても、本人は覚えていない、ということがあります。たくさんの問題を解いているのですから、それも無理はありません。ただ、一度やった問題が何も残らないまま通り過ぎてしまうのは、やはりもったいない。

ですから、できた問題も「正解したから終わり」にしないことです。本当にわかって解いたのか。たまたま答えが合っただけではないか。少しでもあやしいところがあれば、もう一度考えてみる。解き方を説明できるか確かめてみる。それだけでも、その一問から得られるものは違ってきます。

残り時間が少なくなると、保護者も「今日は何問やったか」が気になりがちです。しかし、これからは問題数よりも、一問から何を身につけたかの方が大事です。十問を急いで通り過ぎるより、必要な一問をしっかり理解した方が、本番につながることも多いでしょう。

もう一度やった方が良いと思った問題は、そのままにしない。間違えた理由も、正解した理由も確かめておく。今解いている一問が、入試前に練習できる最後の一問かもしれません。

だからこそ、一問一問を大切にしてください。