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第45回 冬休みの過ごし方

■まもなく冬期講習です。6年生の場合、多くの方が冬期講習を受講されていると思います。しかも最近はだいぶ長い時間塾にいるので、家で勉強する時間があまりないかもしれません。

■その場合、まず大切なのは健康管理。この時期風邪を引いて、無理をするとかなり長引くことになります。ですから、熱っぽいときはすぐ休むことが大切です。子どもの熱はすぐ上がりますが、下がるのも早いですから、とにかく無理をさせないことです。

■勉強としてまず大事なのが塾の復習です。せっかく長い時間、勉強してきたのですから、そのなかでも大事な問題は復習したいところです。ところが塾の勉強時間に対して家での学習時間はわずかですから、すべて復習するなどということは不可能に近いでしょう。一般的には、算数、理科、社会、国語の順で優先順位をつけると良いと思います。特に算数はできなかった問題をすべて解きなおそうとすると、完全に時間がなくなってしまいます。この時期はもうあまり難しい問題には手を出さず、ミスしたと本人が認識している問題だけに絞り込むと良いでしょう。

■もう少し時間に余裕があれば、ぜひやっておかなければならないのが暗記です。特に歴史の年号や地名、人名、理科で言えば一等星の名前や星座、国語は漢字など覚えておかなければいけないことはたくさんあります。これは塾の往復の時間を使ってもよいでしょうし、隙間の時間をうまく使ってやってください。

■もう少し余裕があれば、過去問をがんばってください。この時期は、2回目、3回目になっているかもしれませんが、確実に点数が取れるという自信をつけてほしいと思います。第二志望、第三志望まではなかなか手が回らないかもしれませんが、入試傾向をつかむという意味では過去問の勉強が一番効果が高くなります。

■塾に行かずに家で勉強する場合は、それ以外にやはり不得意分野の克服があります。私が塾にいたころでいうと、6年生のこの時期でも電気や浮力、水溶液などの問題はなかなかできず、結構苦労したものです。ただ、もうここまで来ていますから、あまり難しい問題を解くのではなく、基本問題を中心に再確認し、「これは難しい」という判断ができればよいのではないかと思います。

■おおみそかや正月、いくら受験前とはいってもイベントはいろいろあるかと思います。そんな中で注意しなければならないのが、初詣。湯島天神などはずいぶん並びますが、あの列に並んでいると風邪をひいてしまったりするものです。気をつけてあげてください。

■新年を迎えれば、あと1ヶ月。朝型へ切り替え、あとは十分に準備したと思えるような環境を整えてあげてください。(本人が十分と思うだけでよいのです。思わせればよいことなのですから、お母さん、くれぐれも気をつけてください。)

(平成14年12月21日)

第44回 父親の役割

■中学受験の場合、お母さんが子どもの面倒をみておられる家庭がほとんどです。小学6年生の父親というのは、やはり仕事が忙しく、なかなか子どもたちの面倒を見られないという方が多いのではないでしょうか。

■最近は、お父さんが算数や理科を教えているご家庭もあるようですが、お父さんには非常に大切な役割があります。それは子どもの教育を長期的な視野でみるという役割です。お母さんは毎日、子どもたちの世話をしているので、子どもとの距離が近いですから、どうしても近視眼的な見方になります。毎日の勉強や行儀などが目につきますから、つい小言も多くなりますし、今やっていることの結果を求める傾向が強くなります。

■ところが、子どもというのはかなり長い時間をかけて成長します。その成長のスピードにも個人差があり、早熟の子もいれば、晩生の子もいます。中学受験の場合、締め切りが6年生の1月、2月ですから、それに間に合うくらいの精神的な成長をしてくれていれば、親は楽です。しかし、最近の子どもたちは過保護の元で育っていますので、どうしても精神的な成長が遅くなる傾向があり、したがってこの締め切りに間に合わない可能性もあるのです。

■最近の子どもたちは、いろいろなことを人にやってもらう機会が多くなりました。したがって自分でやりきる経験が少なくなり、精神的な成長が遅く、幼い子になりやすいのです。こういう子は成長するまでに時間がかかりますから、長期的な視野をもっていないと、良い方向に導いてあげることができません。

■ところが、直前の時期はお母さんもお父さんも「何とか、合格してほしい」と思うあまり、二人で短期的視野にたって「がりがり」やってしまいがちです。こういうとき、子どもが積極的な気持ちでいてくれればまだ救いがあるのですが、本人が晩生であれば、子どもの成長に良い影響を与えません。

■日ごろ、子どもたちの面倒をみてやれないお父さんも、お母さんに対するブレーキの役割はもてます。お母さんが困っていたら、ぜひ、お父さんがお母さんや子どもたちを良い方向にもっていってあげてほしいのです。子どもの成長過程は長いのです。これから勉強すること、これから経験することがたくさんあって、それで一回りも二回りも大きくなっていくのです。

■お父さんは、忙しくてよいのです。早く帰ってきて、子どもの算数を見てあげなくてもかまいせん。でも帰ってきたら、お母さんの愚痴は聞いてあげてほしいのです。それが子どもたちに対する最大の貢献かもしれません。

(平成14年12月14日)

第43回 スランプ

■この時期、成績が一時的に下がる子どもがいます。今までできたものができなかったり、ミスが多くなったり。別に勉強量が下がっているわけでもないのに、うまくいかないのです。

■スランプは突然やってきます。しかも、成績が上向いてきたなと思った矢先に起こることが少なくありません。原因は多分に精神的なものです。今まで、特に合格とか不合格とかに意識がいかなかった子どもたちが、結果を意識し始めるからです。「もし、落ちたらどうしよう」という不安が頭をかすめるのです。こんなとき、どうすれば良いでしょうか。

■まず慌ててはいけません。親としては何か手を打ちたいと思って、家庭教師や個別指導をつけたりするのですが、かえって逆効果になることがあります。まず本人の漠然とした不安を取り除くことから始めましょう。友達が合格して、僕が不合格だったら、はずかしいし、みっともないと思うのが子どもです。もしかすると親もそう思っているところがあるかもしれませんが、そんなことはありえないのです。入学試験は試合です。2年近く準備をしてきて、最後に臨む試合です。勝つこともあれば、負けることもあるでしょう。負けるときは、堂々と負ければよく、それを踏まえて、明日、どうするかを考えられるようになればよいのです。

■何校合格しようが、結局、来年4月から通う学校は1校だけです。縁あって入ったのですから、その学校での生活がその子にとってベストになるように、本人も親も努力をすればよいのです。この心構えができていれば、不安は自然になくなります。そして大事なことですが、親も本当に心の底からそう思えるようになれば、子どもたちの気持ちも平常心に帰っていきます。

■そのコミュニケーションができたところで、あとは具体的な勉強法ですが、やさしめの問題を解く練習をすることです。私がよくやっていたのは、その子の力よりやややさしい学校の入試問題を渡して、解いてきてもらう宿題でした。終わったところで、必ずほめます。「なんだ、できるじゃないか。そうだよね。土台、実力が1日やそこらでどこかにいっちゃうなんて、ありえないんだからね。」これを何回か繰り返すと、子どもたちの顔がだんだん明るくなってきます。「うん、なんか、できるようになった気がする」なんて口にするようになったら、スランプは脱しているはずです。

■人間は感情によって、いろいろ左右されます。したがってどんなときも常に積極的な気持ちを持たせていくことが非常に大事なのです。教育は教えることではありません。教育は引き出すことです。いろいろな可能性を子どもたちは持っています。それが引き出されていくためには、気持ちが常に前向きで、失敗や不安に負けないようにすることが必要なのです。

■子どもを育てながら、親もまた勉強をしています。子どもを積極的にするためには、親もまた積極的な心をもっていなければならないことに気がつくのです。そして、それが実践できたとき、この子にはこんなすばらしいところがあったという発見がたくさんあると思います。それが子育ての本当の楽しさではないでしょうか。

(平成14年12月7日)