中学受験で子どもと普通に幸せになる方法」カテゴリーアーカイブ

この問題おもしろいんだ

学校別特訓はそれぞれの志望校の過去問の学習が中心になります。
問題を解いてもらい、私が採点して、さらに質問に答えるという個別指導型の授業なのですが、ある子の算数の採点をしていたら、
「この問題おもしろいんだ」
とポツリともらしたのです。
その問題はなかなか難しい問題なので、その子の力ではなかなか解ききれないだろうと思っていたのですが、半分は正解していました。
「え、違うの。」
「うん、違う。」
「変だなあ、もう1回やってみる」
そう言ってまた、自分の席に帰っていきました。彼の志望校は、現在の彼の成績から考えるとなかなか難しいと思える学校なのです。でも今日の彼を見ていて、私は可能性を強く感じました。

実際に過去問を解いていると「解けないと合格しない」という妙なプレッシャー
を感じます。だから難しい問題にあたると、ネガティブな気持ちになりやすいのです。しかし「この問題、おもしろいんだ」といって何とか解こうとする気持ちは、実際にその子の力を何倍にも引き出します。

模擬試験で見れば、まだまだ可能性が低いでしょう。しかし、この5ヶ月で一気に数字をひっくり返す子どもたちを私はたくさん見てきました。

積極的な気持ちをいかに引き出すか、これは家庭での勉強でも重要なポイントです。難しい問題でも、解ければ必ず自信になるし、力はついていくのですから、数値に惑わされることなくしっかりと狙っていってください。

ちなみにもう1回持ってきたとき、彼は残り半分の問題を見事に解ききっていました。
「すごいね、大したもんだ」
もちろん、彼は非常に満足して次の問題に向かっていました。

2007年度中学入試展望

今年前半に発表された来年の中学入試のトピックの中でいくつか気になる点をお話したいと思います。

(1)法政第一→法政大学
共学化。校舎移転。
早稲田実業の国分寺移転、小学校併設の流れを受けて、最近各大学付属が一貫指導の体系を整えつつあります。小学校、中学校、高校、大学の流れをしっかりとつくり、あわせて校舎の設備の充実を図り、教育内容の差別化を図っていく動きは今後加速していくでしょう。富士見丘(横浜)は「横浜富士見が丘」に改称し、校地を移転することになっています。施設の充実、教育内容の充実などそれぞれの学校の新しい戦略が発表されているようです。

(2)中高一貫校化
武蔵工業大学付属、共立が高校募集を停止し、完全中高一貫校になりました。これはこれまでの動きが加速している流れですが、今後も首都圏を中心に完全中高一貫校が増加し、高校から私立を受ける枠はさらに絞られてくるでしょう。首都圏に関して言えばやはり上位校に関して中学受験が中心になったようです。

(3)公立一貫校の書類審査の廃止
これまで公立一貫校は書類審査に合格しなければ受験ができませんでしたが、書類審査が廃止されることになり、門戸が開かれてくるでしょう。これによって私立、公立一貫校をあわせて受験する受験生が増加する可能性がでてきました。公立一貫の入試問題は、私立の問題と明らかに出題内容が異なりますので準備は大変ですが、それでも公立一貫校を受験する生徒はさらに増加するでしょう。

(4)4教科試験
これまで2教科、2科・4科選択だった学校が4教科のみにしぼってきています。東京女学館、洗足などすでに発表された学校がありますが、今後もこの傾向は続くでしょう。2科・4科選択制の場合、まず2科で成績順にならべて一定の割合を合格させ、その後4教科の生徒で不合格だった生徒を上位から合格させていく方式がとられていましたが、結局合格者は4教科選択の生徒がほとんどとなっている学校が多く、4教科にしても問題がなくなっているためです。したがって受験準備は今後も4教科を中心に行っていく必要があるでしょう。

(5)中学受験生の増加
来年も中学受験生は増加するでしょう。最近はマスコミの中学受験記事がかなり増えてきて、過熱感がかなりあります。その意味では子どもたちのストレスもさらに増大していく可能性があり、時間の上手な使い方や効率の良い学習法がますます必要になってくるでしょう。受験するのはまだ12歳の小学生ですから、体力的な面、精神的な面で高校受験生や大学受験生にかなり劣ります。したがって親や塾がうまくリードしてあげる必要があるでしょう。

低学年での学習

エルフィーキッズの内容を選定するにあたり、私は最初から中学受験を前提に組み立てました。それは、近年4年生ぐらいから入塾してくる子どもたちの基礎学力に非常に幅があったからです。早い子どもでは、小数の計算ぐらいまで割としっかり練習できていて、授業の飲み込みも非常に早い。実際に算数の説明を聞いていて、計算力が早いと指導員が言っている計算の説明がすーっと入ってくるが、そうでないとやはりひっかかってしまいがちなのです。

だから低学年で基礎学力をきちんとつけておくこと、四則計算や漢字、文をきちんと書くことなど、反復練習をすることが重要だと思っていました。しかし、ご家庭でそれができる場合とできない場合があるわけで、キッズに関してはそれを塾でできるようにカリキュラムを組んだわけです。

子どもたちの様子を見ている限り、やはり少しずつでも早くから準備をすれば半年経過するだけでだいぶ違います。最初はじっと座っているのも大変だった子どもがだまって計算に向かっている姿を見ると、こういう時間をしっかり確保することが大事なんだと感じます。

これはご家庭でも毎日30分から1時間確保するだけでだいぶ力が違ってきますから、中学受験する、しないにかかわらず基礎学力をしっかり身につけていくようにしてください。

昨日の文部科学省の調査発表によると
0.7×0.4=0.28の小学5年生の正解率は55%しかないそうです。

低学年から少しずつ準備していけば、大きな負担感もなくできるようになるレベルの話だと思うのですが。