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親が陥りやすい間違い

今年春の入試で男子は、偏差値50以上の学校に66%の生徒が出願しました。偏差値50が平均であることを考えると全体的に高望み(?)傾向にあるといえるでしょう。男子の場合は学校の数も女子に比べて少ないので、どうしてもこういう傾向はあるのですが、これは2005年入試よりも増えています。

その結果として2月1日の偏差50以上の男子の倍率は4倍近くに達しました。都立高校の倍率が1倍台であることを考えると、その難しさはかなりのものだといわなければならないでしょう。特に偏差値50以60未満の学校の出願数が全体の43.1%というのは実に高い数字で、むしろトップ校よりもこのレベルの競走が厳しいことがわかります。

で、その結果としてこの時期になると、塾の先生から
「基本をしっかり復習してください。」とか「この問題集の問題がどの学校でも出るので、ていねいにやり直しましょう」とか言われるケースがあると思うのです。

そういう問題集を見せてもらうと、いわゆるパターン問題であることが多い、確かに中堅校ではどの学校でもよく見かける問題ではあります。ただ、このレベルの問題ができて合格するのは50前後の学校にとどまり、55以上となるとやはりそれなりにしっかりとした応用力を求められるのです。

もちろん、そういう問題がからっきしできないということであれば、やるしかないのですが、私はある程度わかっていてミスで失点するケースの多い子には、そういう勉強はさせません。何をさせるかは、繰り返しになりますが過去問です。

多分こういうタイプのみなさんが狙っているのはある程度難しい学校になるでしょう。倍率は4倍です。その程度の問題ができるのはある意味当たり前なのです。だからその上を考えないと、少なくとも合格は難しいのです。
(もっと足元を固めてということばも魅力的ですが、それは滑り止めだけは確実に合格しましょう。といわれているようなものなのです。塾の先生はすでに第一志望は難しいので、2番手以降で調整する段階に入っているといってもいいかもしれません。データがそうだからです。データをくつがえずことを言うよりは、データにしたがったことを行った方が無難であることは間違いないでしょう。)

私は応用問題を解きながら、その中に含まれる基本を確認していけばいいと思っているのです。例えば流水算で上流から下る船と下流から上る船が向かい合えば流速は互いに消されてふたつの船はお互いの静水時の速さの和で近づいてくるでしょう。そういうパターン問題を反復練習する学習法もありますが、それだと残りの期間で準備は終わりはしないのです。ところが入試問題では当然、このような基本が中に入っています。それがわからなければ先に進めない、だから当然その問題を考えたり、復習したりする段階でそのことは確認されるし、自分の第一志望の学校に出た問題なら印象も深いでしょう。

親が陥りやすい間違いというのはここです。

第一志望は上の学校を狙っているのに、勉強法は滑り止めを確実にしているに過ぎない、それなら最初から安全を考えた方が良いに決まっています。4倍という倍率はそんなに甘くはありません。やはり考える力、正確に解く力を培っていくしかないのです。繰り返しになりますが、パターンをすべて網羅するなど不可能です。その場、その場で自分の考える力で対処する、そういう力が合格には必要なのです。

例えば8分の1より大きく3分の2より小さい分数の中で分母が60の既約分数はいくつありますか。という問題で1/8=7.5/60という通分はできなければいけないのですが分子が小数になるという分数に違和感があるのは、本当の理解ができていないことになります。強引に通分すると分子は9から39までの間の数ですが、60は素因数分解すると2×2×3×5ですから分子は2でも3でも5でも割り切れない数をさがすということになります。この瞬間、9から39まで書き並べ、どんどん消していくことができるかどうか、そういう力技も当然入試問題を解くのには必要でしょう。この問題も良く出る問題ではありますが、いくつかのステップがあり、似たような問題をパターンで覚えるよりも本質的な理解ができているかの方が重要なのです。

残り時間は4ヶ月になりました。前々からお話している通り、膨大な出題範囲をすべて網羅することはすでに時間的に苦しくなっています。むしろ整理の軸を第一志望の出題傾向に絞って、良く出ている問題をじっくり理解する勉強法を心がけるべきだと思います。

4倍というのは1000人の中で250人しか合格しないのです。250番以内に入るために何をやればいいのか、もう一度親が考えてあげる必要があるのではないでしょうか。

時間

昨日、大倉山で6年生の国語を見ていました。

第一志望の入試問題を解いていたのですが、まあ時間のかかること。たまたま最後彼一人になったので、本人が納得いくまでやらせてみました。
終わった瞬間「ふーっ」と本人が息をはくほど、結構集中してはやっていたのですが、かかった時間は試験時間のほぼ倍。

しかし、採点してみると、結構できているのですね。文章だって読み取れているし、記述も書いている。

この結果について考えさせられました。

当然入試だから、試験時間は決まっています。この子は同じ試験時間で切られてしまえばたぶん半分もとれないでしょう。しかし、じっくり時間があれば十分に文章も理解できるし、答えを書けもするのです。

試験時間が決まっているから、当然、これでは勝負できません。ただ、本人ができるということは明確なので、そのことをしっかり認めてあげることは大事なのです。

「あとはいかに早く終わるかだね」
「はい」
と、でも本人は結構満足そうでした。あと4ヵ月半。どうやって時間内に終わらせるか、また指導の工夫が必要ですが、でも本質は時間内に終わらせることではないという視点を私は持っていたいと思います。

模擬試験(3)

四谷大塚、日能研、SAPIXと3つの塾の偏差値表を並べてみる機会がありました。

右軸に試験日、縦軸に偏差値がとられている例の表ですが、どれも同じように思えるものが微妙に違っています。偏差値の軸も違えば、学校のレベル判定も違うといえば違います。

ですから、ある学校に関していえば5ポイントぐらい上下する場合があるようです。それぞれの塾でそれぞれの考えがあるのだと思いますが、私からするとなんとなく意図を感じるところもあって、ホントかなと思う部分もいくつかあります。

だから、それぞれの塾で模擬試験を受ける場合があるでしょうが、その点を少し割り引いて考えていただくのがよいかと思います。

すなわち、ある学校の合格可能性が50%といっても、ある塾での判定であれば70%ぐらいになる場合もあるし、ある塾では30%ぐらいに見られる場合もあるわけです。つまり合否判定はそれくらい幅があることなので、確実性を見るならばある程度幅を設けたほうがいいのです。例えば偏差50だからといって50のラインで受験校を並べるとすべて落ちる場合もありえます。(もちろん、それでも良いという選び方もあるでしょうが。)

確実な線を狙う場合は最低5、できれば8~10ポイント落とすことが大事です。私は確実校を選ぶときはよく「ガーっと下げる」と表現します。中途半端に下げても近年のような競争率の状況では、安心はできません。

とめるべきところは、しっかりとめて、狙うべきはしっかり狙う、そういうメリハリは併願パターンを決めるには必要なことでしょう。

これから模擬試験の結果で併願パターンを決めていかれる方が多いと思いますが、安全校を選ぶ場合はその点に気をつけてください。