中学受験で子どもと普通に幸せになる方法」カテゴリーアーカイブ

プレッシャー&スランプ(2)

さてスランプの多くは「できていたものができない」という形で現れます。特にでるのが算数ではないでしょうか。たとえば今までは楽々できていた一行問題がとれなくなった、ミスを連発し始めた、計算間違えが多い、などなど。こういう現象が頻繁に現れるようになったら、明らかに子どもたちにはプレッシャーがかかっています。

ある意味だれでもプレッシャーはあるのですが、「結果を心配」しなければある程度克服できていくものなのです。逆にノーテンキに見えている男の子が自分のプレッシャーを隠そうとするあまり、そういう演技になっていることもありますから、お子さんをよく見てください。

さて、いかに解決するか、ただ力はどこにも行っていないのです。子どもたちの中にありますから、そこを引き出す工夫をしましょう。

私は少しやさしめの過去問を用意します。そしてそれをすこしゆっくり時間を与えてやらせます。そして丸をつける。最初は間違うことも多いでしょうが、そこでは単純にやり直しをさせます。

そして「ほら、できるじゃない」ということを確認していきます。「できる」ということを繰り返しいうことで、ある意味暗示をかけてはいるのですが、子どもの顔が明るくなればそれでいいのです。本来、力はどこにもいかない、ただ気持ちが後ろ向きであればでるべき実力も出ません。

昨日お話した通り、結果を心配させない工夫も大事です。
「お父さんもお母さんはどこにいってくれてもうれしい」
ということをしっかり伝えてあげてください。その上で、どうせやるなら一番行きたい学校に入れるようにしようという気持ちにさせてあげることが大事です。

もう一つ大事なことは親が騒ぎすぎないようにすること。
「あら、どうしよう」となってしまうと、子どもたちはお母さんの顔をよく見ていますからさらに「まずい・・・」という気持ちになってしまうでしょう。

ミスなんて誰にもあるものです。だから、気持ちが後ろ向きにならないように注意していかなければなりません。そのためには注意は常に具体的でなければいけません。「計算の書き方」「検算の仕方」「問題文の確認」そういうことを具体的にできるようにすればいいので、「ミスしないで」では何もかわりませんね。まして「プレッシャーかしら」などといってしまえば、「プレッシャーにかかっていない子」までかかってしまうかもしれません。

親はどんとしてる、これがこの時期一番大事なことです。だから
「中学受験で子どもの人生なんか決まらない」
としっかり頭に植え付けてください。

プレッシャー&スランプ(1)

相談メールの中に、そろそろプレッシャーがかかってきた子どもたちの内容が増えてきました。
・模擬試験の成績が悪く、自信をなくした。
・先生から第一志望の変更をいわれた。
・試験のことが気になって勉強に力が入らない

3番目は、気になるなら勉強すればよいと思いがちですが、あとで「勉強しなかったから」という理由をつくるためによることも多いのです。子どもたちは親が思う以上に成長しています。ただし、バランスがよいとは決していえないので、いろいろな状況に陥るのです。

こういう状況になると、お母さんもどうしていいかわからなくなることがあるでしょう。ただ、子どもたちが勉強した力はどこにもいっていません。なくなることはないのです。ただ、気持ちがついてこなければ、その力が出ません。

自信をなくしてしまうと、今までできていた問題すら間違えてしまう、そしてまた自信を失ってしまうという悪循環に陥ってしまいがちです。

なぜ自信を失うかといえば、結果が気になるから。これは誰しも結果が気になります。しかし、「落ちたらどうしよう」となれば不安が大きくなります。「絶対に合格してやる」という気持ちが強ければ、多少点数が悪かろうが、模擬試験の可能性が低かろうが、「やるしかない」になるのです。ところが「落ちたらどうしよう」と心配している子は、想像がふくらんでいってしまいます。「お母さんはどうするだろう、がっかりするよな、友達が入って僕が落ちたら・・・」こういう悪い想像はどんどん広がったりするのです。

で、まずそこの不安を取り除いてあげることが大事。
「中学受験の結果で人生は決まらない」
私がよくお話していることではあります。私も長いこと受験をやってきたので、卒業生はもう30代半ばまできました。本当にそうなのです。失敗したからがんばった子がおり、成功したから後からずるずるになった子がいて、でもそういう子も「いかん」と思えばまたがんばるのです。

「お母さんも、お父さんもあなたがどこにいってもうれしい」
ということをしっかり伝えてください。しかし、そう思っていないとお母さんの表情に必ずでます。

実は、子どもたちはお母さんの顔をよく見ていて、
「ああ、口だけだなあ」と思うことも多いのです。

だからまずはお母さんがしっかりそう思わないといけない。こればかりは信心です。「うちの子なら何とかする」そう思っていただければいいのです。

そうすると、お母さんの表情の気持ちや行動にでて、子どもたちに安心が伝わり、後は「やるしかない」に変わってくるでしょう。

私はよく子どもたちに「合格することだけを考えなさい」と話します。「落ちることは考えなくていい、だって誰も当日までわかるはずがないから。だから絶対合格してやろう、うかってやろうという強い気持ちを持って勉強しなさい」といいます。

強い気持ちを持たせるためには、それしか考えさせないことが大事、心配はいつまでもなくなりません。だから心配はしない。ただ工夫だけはするべきです。「絶対に合格してやるぞ」という強い気持ちを持てる工夫。次回はその方法と具体的な勉強法についてお話したいと思います。

併願パターンの考え方

今日は荻窪で母親講座でした。四谷大塚の日程表を使っていくつかの学校の説明をしたあと、併願パターンの考え方について詳しくお話しましたが、親が考えなければならないのは「どこで止めるか」という点です。

いわゆるすべり止め校には2つの役割があります。

ひとつはまさにすべり止め。万が一他がだめならば、その学校に行くことになりますから、単に合格すればいいというわけではありません。だからしっかりその学校の内容を調べておく必要があります。

もうひとつの役割が「勢いを取り戻すこと」
第一志望が残念でも第二志望があるでしょう。このとき、行く学校があるかどうかは子どもたちの気持ちに余裕をもたらします。ですからなるべく早めに合格をひとつとるということが大事なのです。

今年の日程表を見ていると、やはり1日か2日に滑り止めを持ってくるべきでしょう。3日はほとんどの学校が2次募集、3次募集になりますから、いかんせん募集定員が少なく、ここで滑り止めを作ることは多少なりともリスクが高くなります。1日か2日であれば、まだまだ定員も多いのである程度下げてしまえば、確実に合格をとることができるでしょう。

滑り止めを決めるにあたって、私はよく「がーっ」と下げるというお話をしますが、なかなかお母様方にはむずかしいようです。やはり第一志望や第二志望と比べてしまうからでしょう。

でも滑り止めは第一志望や第二志望と比べてはいけません。公立に行くことと比べてください。そこがなければ子どもたちは公立に進む可能性が高くなります。公立に比べると今はどの私立もしっかりとした教育内容を提供しています。例えば四谷の80偏差値で40でも高校受験の偏差値に換算すると55から60ぐらいになります。これは中学受験が全体の2割弱の受験だからで、平均は当然上に寄っています。したがって40の学校であったとしてもなかなか良い内容の学校があるのです。

単に偏差値表を見てしまうと、偏差値の高い学校が良い学校に見えてきますが、決してそうではありません。偏差値が高くて悪い学校があり、偏差値が低くて良い学校があります。ですから、その辺も踏まえてよく考えてあげてください。

ただ、滑り止めに関しては親が主導してください。子どもたちには滑り止めのことを考えるのはあまり楽しいことではありません。むしろ第一志望、第二志望をしっかり狙っていくことが大事、ただとめるのも大事ですから、そこはお母さんに任せてという感じでよいのではないでしょうか。