僅差の勝負をどう制すか(2)

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今回は算数について考えてみましょう。

私が中学受験の範囲を中学2年までといっているのは、小学校の算数では二次方程式、二次関数はでない。関係式でいえば、すべて一次方程式ですむからです。特殊算、速さ、体積、面積、いろいろな形で出題はされるものの、結局は一次の範囲で解いているのです。

例えばつるかめ算。
つるとかめがあわせて10匹います。足の数があわせて32本であるとき、かめは何匹いますか。

算数で考えると、すべてつるとすれば2×10=20本の足になるはずです。ところが足は32本ある。だから12本の違いですね。
つるをやめてかめにする度に足は4-2=2本ずつ増えていきますから12÷2=6でかめは6匹いることになります。

で、これを面積図を書いたりするわけですが、数学で考えれば
x+y=10 4x+2y=32 という連立方程式を解くことになります。でyを消去する段階で2x+2y=20という式がでてくる
わけですが、これは先ほどの解答でいえば、全部つるにした場合の式と同じです。つまり考えている過程は方程式を解く過程と
ほぼ同じになる。

これを比で解くと
かめを【1】とすればつるは10-【1】になるから
【4】+2×(10-【1】)=32ということになって【2】+20=32より【1】=6と出すわけです。これも考え方は同じ。

だから方程式を教えようというのではないのです。つまりは多くの範囲が一次方程式、一次関数におきかわるのだから、逆に比で
大方の問題は解けるということなのです。(これは多くの塾でやっていることでしょう。)

さて問題は、その比で解くということが、僅差の勝負では「正確さ」をも必要とすることになります。つまり、ひとつひとつの式の
流れを正確に進める力が必要になるということですね。

ということは、式を書ける子でなければいけないのです。

計算問題でこんな問題があったとしましょうか。

(□ー3)÷14=4

簡単な問題ですが、これを逆にたどるということは 4×14+3=59という式が立てられるということになります。これをひとつの論理として考え、逆にトレースするためには式を書くということが重要な武器なのです。ところが今の子供たちはまず式を書かない。塾の答案用紙でも答えだけを書かせるところが圧倒的に多い。(これは採点のしやすさでそうなっているのですが)そうなると、なお一層、式を書かなくなる。しかし、それでは複雑な問題を逆にトレースしていくことは難しくなるのです。

これも大事な基礎学力のひとつだと私は思います。つまり僅差の勝負を制するためには、ひとつひとつていねいに解く、また計算などの本当の基礎が確実に備わっている必要があるのです。

ところが計算問題は子供たちにとってはいやな勉強のひとつでしょう。だからやりたがらない。ここに学力低下の一つの原因があります。陰山先生の百マス計算はその点でいえば、問題点を看破しているといっていいでしょう。つまらない計算問題をいかに楽しくやるか、ここで基礎学力をきちんと身に付けさせないと、基礎ができていないところに家をたててもだめなのといっしょになるのです。

では、どうやってつまらない計算問題をやらせていくのか、ここで大きな問題にぶつかります。(続く)

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