第7回 公立中高一貫校

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■来年4月から都立の中高一貫校がスタートします。まずは台東地区中高一貫6年生校。母体となるのは白鴎高校です。2006年には目黒、文京、墨田、千代田、2008年には国際と武蔵野、2010年には中野、練馬、八王子、三鷹でスタートします。

■都立の地すべり状態に不満な石原東京都知事が行う都の教育改革の一貫で、昨年の都立学校群の廃止に続く、都立の復興策です。今回発表された台東一貫校の教育内容は、2学期制、45分7時間授業、英語によるプレゼンテーション、地域交流、習熟度別授業、少人数授業などこれまでの私立が培ってきたノウハウがちりばめられています。

■当然最初ですから、入試が必要になります。その入試問題のモデル問題が発表されました。4問発表されたのですが、そのどれもがこれまでの中学入試問題からはかけ離れています。記述式ではあるものの、例えば時計を使わずに昼と夜の長さを比べる方法を書けなどというものです。週刊誌で、今年の中学受験生に解いてもらったところ、けっこうさんざんな結果だったようです。

■こういうモデル問題で、これまでの私立中学の入試問題と同じような問題は出るはずはありません。当然、そこでの差別化を考えるだろうし、やはり塾に行かないとという気持ちにさせてもいけないのでしょうが、特別な問題を出そうとすれば、それに対応するのがまた塾ですから、私立も都立も受ける子どもたちにとっては負担が増すばかり。むしろ良い子を集めたければ、同じような問題を私立と違う日にしっかりやるべきなのだとは思います。

■ただ、都立の一貫校参入は良いことだと思います。私学関係者には民業圧迫という考え方が根強いものの、都立の中高一貫校は都立高校中心に編成されますから、ある意味都立高校改革の一環なのです。このまま都立の教育水準と私立の教育水準に大きな差が開くことは、決してプラスではありません。私立と都立がある意味、その教育内容を争ってこそ、水準が高まっていくだろうと思います。

■とはいってもまだまだ課題は山積みです。中高一貫校は都立高校を中心に編成されます。中学生の教育経験者がいるわけではありません。白鴎では今後、中学生対応のための教諭を採用していきますが、評価がでてくるのは少なくとも6年後、それまでに試行錯誤が続くことでしょう。

■せっかく新しい学校を作っていくのだから、いろいろな出口を想定してもらいたいと思います。今の学校は国内の大学ばかりを考えていますが、国際中学などは直接アメリカやヨーロッパの大学を目指すコースなどがあってもいいのではないかと思います。そういう差別化がしっかりできると、中高一貫校にもバリエーションが増え、それが私立の内容向上にもつながっていくのではないでしょうか。

(平成16年3月7日)

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