第3回 「学力低下」 

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 昨年来、いくつかの学校の入試担当の先生とお話をしていると,必ず出る話がありました。「先生、ここのところ、合格点が下がっているんですよ。変ですよねえ。」この疑問、私も最初は変だなあと思っていたのです。 最近は中学受験ブームです。非常に多くの子どもたちが中学受験をしていて、昔に比べれば大変な努力をしています。私も中学受験をした口ですが、今の子ほど勉強をさせられた覚えはまったくありません。ところが今の子どもたちは、週4日、5日の通塾。夜は11時、12時まで勉強しないと課題や宿題が終わらないという生活を送っているのです。なのに、なぜ合格点が下がるのか。
 ところが今年、突然合格点が上がった学校が増えたのです。そこで、早速問題を見せてもらいました。そしてこの問題の原因がわかったように思ったのです。

 今年、合格点が上がった学校の出題は「パターン問題」が多かったのです。いわゆる標準的な問題といえるかもしれませんが、よく塾のテキストや問題集に例題として出てくる問題です。つまり、こういう問題なら今の受験生はできるのです。しかし、もう少しひねると途端にできなくなるというのがどうも現状のようです。

 これは受験カリキュラムや問題を作るほうにも原因があって、なるべく子どもたちにわかりやすくするために、これらの標準問題をまずやらせます。ただ、やらせるときに練習量を多くするあまり、あまり考えずに解法を記憶して解くくせがつくのです。結果として、ちょっとひねられると、途端に間違えるというケースがでてくるのですね。

 特に算数は、自分でじっくりと解き方を考えないとできるようにはなりません。私の授業はよくホワイトボードに問題を書いて解かせますが、その場、その場で真剣に解くということが大事なのです。似たような問題を たくさん解かせたところで、解く力はなかなかつきません。

 こんなに塾に行っているのに、標準的な問題しか解けないということになると、やはり問題処理能力が劣ってきているのではないでしょうか。小学生は体力に限界があるのですから、与える問題の量には十分気をつけてあげてください。

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