第12回 自分で勉強できるように

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■6年生になると、もう自分で勉強を進めている子どもたちも少なくないでしょう。言われなくても机に向かう、計画をしっかり実行する、そういう子どもたちも入試が近づくにつれて増えてきます。問題は、その学習内容が充実しているか、効率よく進んでいるかという点です。

■そのためにはいいアドバイスが必要です。私がお父さんやお母さんの役割が大きいのはこの部分だと思っているのです。子どもたちは成長するにつれて、自分でいろいろなことができるようになります。しかし、その内容が充実したレベルであるかどうかはわかりません。それに、本人が勝手に思い込んでしまっている部分もあるもの。例えば本当は算数の力を伸ばさなければならないのに、社会が好きなので、社会ばっかりやってしまう。そういうバランスは、本人にはわからないケースも多いのです。

■いい例かどうかわかりませんが、例えば最近のプロゴルファーはスイングコーチがついている選手が増えてきました。かといってスイングコーチがその選手よりうまいか?といえばそうではないのです。その選手をずーっと見続けているから、「そこはおかしくなっている」「スイングが早くなっている」などのアドバイスができるのです。

■テニスプレーヤーの杉山愛選手のコーチはお母さんです。しかしお母さんはプロの選手ではありません。ただ「私はあなたのプレーをずーっと見続けてきたから、悪いと思うことはわかるわよ」ということでコーチになったそうです。お父さんやお母さんはずーっと、子どもたちの勉強を見てきているわけですから、たとえ算数の解き方を教えられなくても子どもたちが自分の力を発揮できるようにコーチングしてあげることはできるのです。

■つまり私がお父さん、お母さんがいっしょに勉強を楽しみながらやってくださいとお話しているのは、やがて自分で勉強できるように、いいコーチングをしてほしいからなのです。すでに子どもたちにはその力が備わっています。ただそれは引き出していかないと、機会を与えていかないと表に出てこないのです。中学受験はその意味では絶好の機会なので、ぜひ楽しみながら子どもたちの可能性を思い切り引き出してあげてください。

(田中 貴)

(2005年6月18日)

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