第14回 考える力

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■子供たちを教えていて、問題に対する取り組み方で大きく2つのタイプがあるようです。ひとつは、非常に熱心に解くタイプで、なかなか答えを見たがらない子。もうひとつはその逆で、すぐあきらめてしまうタイプです。当然、前者のタイプの方が成績は伸びます。ただ、親から見ていると、そんなに時間をかけて、大丈夫?という心配もありますね。

■ 逆にすぐあきらめてしまう子供はなかなか伸びません。これは、問題を解くという過程が考える力をつけるためにとても重要であるからで、考えなければ、力は当然つかないのです。私がそういう子供たちを指導するときには、まず約束します。「できない」「わからない」とは言わないという約束です。最初からそのことばが出てくるようだと、しぶとく考える力がなかなかつきません。ですから、そういう言葉が出そうになる前に「できなくはない。きっとできる。」と言いかえてもらいます。

■「だってくせになっちゃったよ。」なんて子供は言い訳していますが、しかし、じっくり考える子はまず、こういう言葉を口にしません。「そろそろヒントをあげようか。」と水を向けても、「もう少し。もうちょっと。」といって、なかなかこちらの話を聞いてくれません。

■もちろん、時間には限りがあり、他にやることもあるわけですが、私はなるたけ本人が納得いくように考えてもらうことが、たくさん問題を解くよりも大事な過程だと思っています。そしてここが重要なことですが、伸びる子供たちというのは、必ずこの過程を経るといっても過言ではありません。ですから、時間の許す限り、ご家庭でもじっくり問題に取り組むようにしてください。

■算数などは特にそうですが、いろいろなやり方を試していくうちに、できたという達成感を感じると勉強が楽しくなります。例えば場合の数のような問題で、全部書き出してでも答えを出してみると、自信がついてくるから不思議です。お父さん、お母さんは、このタイミングでほめてあげてください。「そんなやり方じゃ、試験には間に合わないわよ」などと決して口にしてはいけません。ここが入り口で、もっと楽な方法はないかと考えてくれれば、それでよいのですから。

(平成15年12月4日)

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