第55回 量を解いても、できるようにならない場合

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■ 6年生はこの時期、ずいぶんたくさんの問題を解いているように思うのです。過去問もやるし、塾でも演習のプリントが渡されて、問題を解いている。以前のように新しい事項を勉強するのとは違います。演習形式だから解く問題数は明らかに増えているはずです。

■ でも成績が伸び悩む子がいます。やはり量が足りないのか? いいえ、むしろ質が足りないのでしょう。終わらなければいけない、ばっかりになっていると「本当にわかっているのか?」ということが軽視されてくる。だから言葉は悪いが「ざるで水をすくっている」状態になるのです。

■ 算数などは確かに問題を解くことによって、経験値が上がるでしょう。いろいろな問題に対応することができるようになる。ただ、すべてのパターンを網羅する、ということはできないのです。ある程度、経験値は増えていなければならないが、やはり、その場で問題文を読み取り、しっかり考えて、解法を探し、答えを書くという一連の作業ができないといけないわけです。そのための力を養うのであって、過去のデータベースから似たような問題を思い起こして、あれと同じパターンだといって解くはずはないのです。

■ だから持っているデータを増やすのではない。むしろ、その場の対応を練習しているわけだから、一問一問の解き方にポイントがあるのです。ところが問題の量を増やすと、その焦点がぼけてくるので、対応力がつかない。だから成績が伸びないのです。

■ たくさん勉強しているのに、成績が上がらないとしたら、それはひとつひとつの精度が上がっていないと見るべきでしょう。だから問題数は減らした方が良い。むしろ、本当にわかっているのかを確認することが大事です。3000問解いたところで、合格するとは限らない。逆に300問で充分に力がつくことはありえるのですから。

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