中学受験を始めようと思って、まず学力テストを受けさせてみたところ偏差値30だったとします。親はこれをどう考えればよいでしょうか。
中学受験なんかとても無理だと考えがちかもしれません。ただ、テストの内容を見てみると、その状況はだいぶ違ってきます。
例えば未習部分が多くてできなければ、それはそれで追いつくしかないわけですが、可能性がないのかといえばそうではないでしょう。そして事実、多くの場合はこれにあてはまる子が多いのです。
習っていないところが出たテストで、できなかったらそれは仕方がない話です。しかし偏差値30という数字の方がショックでしょう。ただ一般的に言えば、中学受験率が20%とすれば平均点はこの集団の平均でしかない、全体の平均よりはかなり上のところにあるわけですから、偏差値にあまりショックを受ける必要もないのです。
そして実際に受験勉強を始めてみて、未修部分が理解できてくれば、必然偏差値は上がってくるでしょう。
問題は実際に何がわかっていて、何がわかっていないかをしっかり判別して、学習を進めていくこと。ところがある一定のカリキュラムが進行している塾では、これまで学習していることが前提になるので、たとえ入塾できたとしてもなかなか未習部分を解決できないかもしれません。その分いくらやってもなかなかできるようにならないと思われるかもしれませんが、実は未習部分が響いている場合が少なくないのです。
この場合どうやって解決すればいいでしょうか?
やり方は2つ。ひとつは、現状の成績をあまり気にせず、カリキュラムの最後までいったん走りきってしまうこと。だいたいどの塾でも6年生の夏休み前に、カリキュラムが終了します。そこから復習。ここから成績を上げればいいと割り切ってしまうことです。ただ、全体の分量が増えていて、なかなか間に合わない状況になってきました。
そこでもうひとつはいったんカリキュラムを逸脱してしまうこと。できることを積み重ねるという意味ではこちらの方がやりやすくはなります。ただ、計画をきちんと立てて進めていかないと、最後まで終わりきらないということになるでしょう。その意味でカリキュラムが明確になっているテキストを使うと目安がたちやすいかもしれません。塾や個別指導の先生と相談して、まずは追いつくために重点的に必要な学習をピックアップして、それを集中して学習します。カリキュラムにいつおいつくのが目標なのかも決めていきましょう。できれば6年の春休みまでにはおいついておきたいですね。そうすれば、復習が大変になることもないでしょう。
偏差値30からの中学受験というのは、当然可能なことなのです。実際にここから50、60の学校に合格していった子どもたちは私どもにもたくさんいます。だから、最初の偏差値にびっくりすることなく、また目標を下げることなく、しっかりと狙うべき学校を狙ってください。