浮力の問題

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2011年芝中学の問題です。


薄くて熱に強く伸び縮みしない大きい袋があります。この袋の重さは7gです。
この袋は薄いので、袋の体積=中に入れた気体の体積、と考えることができます。また、空気およびヘリウムのlL(リットル)あたりの重さは温度によって変わり、その値は下の表のようになります。

 空気中にある物体は、周囲の空気から、その物体と同じ体積の空気の重さに等しい浮力を受けることを使って、以下の各問に答えなさい。

 なお、おもりなど袋以外の部分が空気から受ける浮力については、考える必要はありません。

(1)30℃の空気中で、30℃のヘリウム10Lを袋に入れて口をふさぎました。

(ア)このとき、袋の中のヘリウムの重さは何gですか。
(イ)この袋は手をはなすと浮き上がってしまいます。手をはなしても浮き上がらないために必要な、おもりの重さの最小値は何gですか。

(2)(1)の操作に続いて、袋の中のヘリウムとまわりの空気の温度をいっしょに(いつも等しくなるように)上げていき、袋の体積が20Lになるようにしました。
(ア)このときの温度は何℃ですか。
(イ)この袋が手をはなしても浮き上がらないために必要な、おもりの重さの最小値は何gですか。

(3)(2)の操作に続いて、袋の中のヘリウムの温度を(2)の(ア)の温度に保ったまま、まわりの空気の温度だけを30℃にもどしました。この袋が手をはなしても浮き上がらないようにするために必要な、おもりの重さの最小値は何gですか。

(4)袋の中のヘリウムをすべてぬいて、かわりに(2)の(ア)と同じ温度の空気を20L入れました。まわりの空気の温度が30℃のとき、手をはなしても袋が浮き上がらないようにするために必要な、おもりの重さの最小値は何gですか。

(5)(4)の操作に続いて、まわりの空気の温度は30℃のまま、袋の中の空気の温度を下げていくと、袋の体積は小さくなるので、浮力も小さくなります。そして空気の温度がある値になると、おもりがなくても袋は浮き上がらなくなります。
(ア)おもりがなくても袋が浮き上がらなくなるのは、袋の体積が何L以下になったときですか。小数第一位を四捨五入して、整数で答えなさい。

(イ)袋の体積が(5)の(ア)で答えた値になるのは、およそ何℃のときですか。最も近い値を次の中から1つ選んで記号で答えなさい。

 (あ)0℃ (い)30℃ (う)90℃ (え)150℃ (お)210℃


浮力は水に浮く、という概念で出題されることが多いのですが、空気に浮くという考え方もできます。
ヘリウムという気体は、空気よりも軽いので、これを入れると風船が上に上がっていきます。

その原理は、まわりの空気の重さに比べて、容積あたりの重さが軽い分、上向きの力を受けることになって風船が上に上がるのです。

(1)
(ア)30℃ではヘリウムの重さは0.16gですから、10Lでは0.16×10=1.6gになります。
(答え)1.6g

(イ)30℃での空気の重さは1.16gです。
1Lあたり1.16-0.16=1gの上向きの力を受けています。容積が10Lですから
1×10=10g ただし、袋の重さが7gありますから、10-7=3gが浮き上がる力になるので、その分のおもりをぶらさげると、浮き上がらなくなります。

(答え)3g

(2)
(ア)ヘリウムの重さは変わりませんが、温度がかわれば容積が増えます。
1.6÷20=0.08gが、このときの1Lあたりの重さになります。これを表でみると、330℃がそれにあたるので、答えは330℃です。
(答え)330℃

(イ)330℃のときの空気の重さは0.58g
上向きの力は1Lあたり0.58ー0.08=0.5gですから20Lでは0.5×20=10gです。
袋の重さは7gですから10-7=3

(答え)3g

(3)今度はまわりの空気が30℃になりましたので、1Lあたりの重さは1.16gです。
ヘリウムは0.08gですから1.16-0.08=1.08g、1Lあたりの上向きの力を受けます。
体積は20Lですから1.08×20=21.6g
袋の重さが7gですから21.6-7=14.6

(答え)14.6g

(4)ヘリウムの代わりに1Lあたり0.58gの空気を入れました。
まわりの空気は1.16gですから
1.16-0.58=0.58gの上向きの力を受けます。
0.58×20=11.6g
袋の重さが7gですから11.6-7=4.6

(答え)4.6g

(5)
(ア)温度を下げても、袋の中の空気全体の重さは変わりません。つまり、空気は0.58×20=11.6gありました。
袋の重さは7gですから、全体を空気に見立ててしまうと、18.6gの空気の容積と同じということになります。
30℃の1Lの空気の重さは1.16gですから
18.6÷1.16=16.03… ということで答えは16Lになります。

(答え)16L

(イ)16Lで11.6gの重さになるということは、1Lあたりは0.725gになります。
これに一番近いのは表から210℃ですので、これが答えになります。

(答え)210℃

周りの空気と1Lあたりの重さの差が上向きの力になっていくと考えると、計算は簡単になるでしょう。

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