2019年麻布中学の問題です。
地球にはたくさんの種類の生物がいます。見た目や生活の仕方などはさまざまですが、どの生物も生きるために栄養をたくわえ、子をつくる点は共通しています。
私たち人を含めた動物は自分自身で栄養を作れません。そのため、自分以外の(あ)を食べています。また、(あ)どうしで栄養をうばいあい、たくわえた栄養はさまざまな生命活動の結果、分解されて最終的に(い)と水などになります。この(い)と水から新たに栄養を作り出す(あ)がいます。それは(う)です。この(う)のはたらきは日光を使っているので、私たち人が得ている栄養のほとんどは、日光の恩恵であるといえます。
問1 文中の(あ)~(う)に入る適当な語をそれぞれ漢字で答えなさい。
生物が子をつくる一連の活動を生殖といいます。この生殖において、子は自身の体をつくるための情報(遺伝情報)を親から必ずもらいます。私たち人を含めた動物の生殖方法は、細かな部分では違いがありますが、次の2つに大きく区別できます。
A:自分自身の体の一部から分かれたものが成長して、新たな子となる。
B:①2つの個体の体の一部からそれぞれ分かれたものが合体し、新たな子となる。
※個体とは、1体の生物のことです。
Aの生殖を行う動物たちは、自分自身の栄養状態や環境条件が整うと、いつでも子をつくることが可能です。そして、親の体の一部からできた子は、親と同じ情報を受け継ぐので、外見や体の性質がすべて親と同じになります。たとえば、動物ではありませんが、私たちのお腹の中(腸内)に寄生している大腸菌という生物は、②20分に一度の割合で1個体から新たな1個体を切り離し、2個体になります。私たちの腸内環境がよいと活発に生殖を行い、あっという間に腸内をうめつくしてしまいます。しかし、短時間に無数に増えたこれらの大腸菌はすべて同じ性質のため、腸内の環境が変化すると全滅してしまう可能性があります。
それに対して、Bの生殖を行う動物たちは、簡単に生殖を行うことができません。なぜなら、1個体の栄養状態が整うだけでは不十分で、自分以外の相手を必要とするからです。相手を探す苦労があっても、Bの生殖を行う動物たちは、他の個体と出会い、お互いの体の一部を複数出し合えば、一度に2個体以上の子を生み出すこともできます。Bの生殖で生まれた子の元に
なるものが受精卵で、これは、2つの親から遺伝情報をもらうため、親と子が完全に同じ性質になることはありません。この③受精卵の大きさや一度に産む数は、動物の種類によってさまざまです。このように多様であるのは、体の成長の速さや生活の仕方などが異なるからです。
このようにしてみると、Aの生殖を行う動物たちの方が、Bの生殖を行う動物たちよりも、圧倒的に子を増やしやすいと思われます。しかし、動物が繁栄していくには、子を増やすことと同様にさまざまな環境の変化に対応して生き残っていくことも必要です。つまり、④Bの生殖を行う動物たちは、Aの生殖を行う動物たちよりも環境の変化への対応が優れているため、繁栄しやすいと考えられます。私たち人からみると非常に効率の悪そうな生活や生殖をしているさまざまな動物たちが、滅ぶことなく繁栄し続けている事実は、私たち人とは異なる自然環境や他の生物との関わりのなかで、それぞれが最良の選択をしているということなのかもしれません。
問2 下線部①で合体するものは何ですか。2つ答えなさい。
問3 問2で答えたものをそれぞれ出す個体どうしの違いが( )別です。( )に入る適当な語を漢字1文字で答えなさい。
問4 植物の生殖方法も、動物の生殖方法AやBと同じように区別できます。チューリップやひまわりを新たに育てるときに、みなさんが土の中にうめるものは何ですか。それぞれ答えなさい。また、それらは生殖方法AとBのいずれによってできたものかも答えなさい。
問5 食中毒の原因となる病原菌が、下線部②と同様の速さで増えていくとします。この病原菌を一度の食事で10万個体まで食べても、健康な人であれば消化において殺菌できるため食中毒にはなりません。お弁当が作られたときに、この病原菌が1個体のみ付着していたとすると、作られてから何時間後までにお弁当を食べれば、食中毒にならないと考えられますか。条件を満たす最大の整数を答えなさい。
問6 下線部③について、動物の産む卵が大きいと、どのような利点がありますか。また、一度に産む卵が多いと、どのような利点がありますか。それぞれ答えなさい。
問7 問6のそれぞれの利点があるにも関わらず、ほとんどの動物は、小さい卵を数千個以上も産むものか、大きな卵を数個のみ産むもののいずれかです。なぜ大きな卵を数千個以上も産む動物があまりみられないのでしょうか。考えられる理由を答えなさい。
問8 下線部④の理由として最も適当なものを、次のア~エから選び、記号で答えなさい。
ア.Bの生殖を行う動物は、つねに大きな卵を産むから。
イ.Bの生殖を行う動物は、親と子で持っている遺伝情報が異なるから。
ウ.Bの生殖を行う動物は、一度にたくさんの子をつくれるから。
エ.Bの生殖を行う動物は、脳が発達しているから。
【解説と解答】
問l 自分以外の生物を食べて生きていきます。分解されて残るのは光合成の材料となる二酸化炭素や水などです。
(答え)あ 生物 い 二酸化炭素 う 植物
問2 卵と精子です。
(答え)卵・精子
問3 合体する固体同士の違いは性別です。
(答え)性
問4 チューリップは球根で生殖方法はA、ひまわりは種子で生殖方法はB。
(答え)
チューリップ うめるもの 球根 生殖方法 A
ひまわり うめるもの 種子 生殖方法 B
問5 20分で1個体を切り離すので、1時間で3回ですから、2×2×2=8倍になります。
8×8×8×8×8=32768ですから、この次は10万を超えます。したがって5時間以内。
(答え)5
問6 卵が大きい場合は、養分を卵に多く貯められます。卵の数が多ければ、生きのびる個体を増やすことができます。
(答え)
卵が大きい 養分を多くたくわえられる。
卵が多い 生きのびてふ化する子が多くなる。
問7 卵が大きく数を増やすと、母親の養分が不足することが考えられます。
(答え)母親の体内の養分が足りなくなるから。
問8 Bの生殖方法では親と子の遺伝情報が違うので、環境の変化に対して全滅する、可能性が少なくなります。
(答え)イ
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