第110回 根性論よりもリラックス

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    今の子供たちは、総じてハングリーということは、あまりない。
    そういう彼等が、本番で力を出すためには、あまり無理な根性論や精神論はなじまない。
    絶対受かるぞ、と掛け声をかけても、かえって妙な緊張感にさいなまれてしまう可能性があります。
    プロのアスリート達が、試合前に良く
    「ゲームを楽しんできたい」
    といったコメントを出していますね。
    これは、妙なプレッシャーから自分を解放する、ひとつのおまじないのようなものです。
    つまり、気持ちをリラックスさせている。
    彼らは
    「自分らしいゲームをしたい」
    という言葉もよく使います。
    自分が納得できるゲームができれば、結果は自然についてくるだろう。
    自分の力を思いきり、その場で出すためには、リラックスしている部分がどうしても必要になります。
    受験は知的な活動であるから、その場で知略というか、いろいろな考えをめぐらせないといけない。ここで、作題者は何を答えてほしいのか、どこに問題を解く鍵があるのか、限られた時間の中で、フルに脳を活動させていくわけだから、そこにいたるまでの過程はある程度、リラックスできた方がいい。
    良く入試当日に、子どもたちに
    「朝、何を食べた?」
    と聞きます。
    本人は「がんばってこい」とか「ていねいにやるんだぞ」とか言われると思っているが、「何を食べたか?」と聞かれると、考える。
    考えるということは、そこでひとつの活動が始まって、
    「トースト」とか「ごはん」とか、そういうことばが出てくるわけです。
    「うまかったか?」
    「はい!」となれば、すでにリラックスはできている。
    試験当日、いかにリラックスして、入っていくか。
    子どもたちが「試験を楽しめる」状況にできるか。
    大人も知恵が必要でしょう。
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