トップ一貫校の教育内容

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    現状、東大、慶應、早稲田という有名大学の現役合格者のおよそ6割が、中高一貫生というデータがあります。ところがこの中高一貫生が受けている教育内容は、大きく分けて2種類あるのです。
    ひとつはそれぞれの教員に任せた指導方法。
    シラバスなどまずない。どちらかといえば自由奔放に見えます。
    私が受けた中等教育もそういうものでした。
    ある歴史の教師は中学1年生に大塚久雄先生の「共同体の基礎理論」をやらせる。ある生物の教師は1年かけてDNAを追いかける。ある国語の教員は1学期をかけて敬語ばかりを扱う、という具合です。
    なぜ、そうなのか?
    つまり、学問というのはそういうものだということを語りたい。ものを学ぶということは、自分で学ぶのだ。だから、あるテーマがあれば、とことん自分で掘り下げていかなければいけない。だから、中1であっても共同体という概念の理解に挑戦すべきだ、とまあ、こういうことになります。
    当然、受け手にある程度の知力が必要だが、それは入学試験で選抜されている。(だからといって、全員ができるわけでもありませんが。)だから、こういうことをやっていい。という話になる。
    こういう学校は御三家をはじめとする上位校に見受けられます。
    かたや、中堅校といわれる大学受験校は、教師に任せるということはしない。シラバス(カリキュラム)を学校で作る。私も何校か、学校のシラバス作りのお手伝いをしたことがありますが、組織として動く。だから、基本的に塾みたいになるのです。中1の2学期までには、これこれの内容を終える、というようなスケジュールが組み込まれる。つまり知力や学力ということよりも、むしろ大学受験をいかに突破するか、ということに重きが置かれます。
    こういう違いをあまり保護者の方が認識されていないかもしれません。
    といって、上位校の内容が、保護者にはまったく評判が良くない。当たり前でしょう。例えば世界史の時間、ローマ史だけで終わってしまう教員に対して、保護者がいい顔をするわけがない。
    「月謝の分教えていただかないと」
    的な非難は当然おこるわけです。
    しかし、トップ校たるもの、まったく動じない。
    「そんな、小手先のような勉強をしたいのなら、予備校や塾へどうぞ」
    と平気で言われる。(まあ、最近そこまでの人物がいるかどうかは、やや心もとない部分がありますが。少なくとも我々のころにはいました。)
    こういう学校の勉強は決してサービスが良くない。例えばテキストを先生が書く。ところが解答はなし。
    だから、生徒が授業を聞いて、しっかりノートをとらない限り、解答は手に入らないのです。
    しかし、こういう環境こそが、知力や学力を育てるのです。
    灘校の橋本先生ではないが、思い切り寄り道をしているようで、生徒が学ぶ力を確実につけている。中等教育から高等教育に向けて、本来はこういう授業を子どもたちに受けてもらいたいと私は思います。
    ただ、こういう教育を受けるためには、難しい入学試験を合格しなければならない。
    ここが一番の問題では、あるのですが。
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