保護者のための算数教室」カテゴリーアーカイブ

中学受験の算数の導入の仕方を説明します。

旅人算とグラフ(2)

旅人算とグラフの2回目です。円周上を回る旅人算や往復の旅人算について考えていきましょう。


(例題1)
周りの長さが1200mの池の周りをA君とB君が同時に出発します。ふたりが同じ方向に向かうと20分後にA君がB君を追い抜き、反対の方向に行くと4分後に出会うそうです。
A君とB君の分速を求めなさい。


(解説と解答)
同じ方向に行けば、二人の速さの差で広がっていきちょうど1周分の差がついたときにA君がB君を追い越します。
1200÷20=60mが二人の分速の差。

反対の方向に行けば、二人の速さの和で間が縮まっていくので、ちょうど1周分縮まれば二人が出会います。
1200÷4=300mが二人の分速の和。

あとは和差算なので(60+300)÷2=180mがAの分速。300-180=120mがBの分速になります。

(答え)A 180m B 120m


(例題2)
1周1800mの池の周りをA、B、Cの3人が同じ地点から同時に、同じ方向に向かって歩き始めます。Aの分速は100m Cの分速は180mです。

(1)CがAを始めて追い抜くのは出発して何分後ですか。
(2)CはAに追いついてから6分後にBに追いつきました。Bの分速は何mですか。


(解説と解答)
(1)二人の差は180-100=60mですから1800÷20=30分後
(2)CがBに追いついたのは36分後になります。このときCは180×36=6480m動いていますが、Bよりも1周多く動いているのでBが動いた距離は6480-1800=4680m
これを36分で動くのだから4680÷36=130m
(答え)130m


(例題3)
AB間は2400m離れています。今Aから太郎君と次郎君が同時に出発してAB間の往復を繰り返します。
太郎君が最初に次郎君と出会ったのは出発して20分後でした。次の問いに答えなさい。

(1)二人が2回目に出会うのは何分ですか。
(2)太郎君が3往復したとき、二郎君は2往復して同時にAにもどりました。太郎君の分速を求めなさい。


二人の動きをグラフにすると以下のようになります。

(1)二人は1回目に出会うまでに合わせて2400×2=4800m動いでいることがわかります。それにかかる時間が20分です。
次に2回目に出会うときは二人で合わせて2400×4=9600m移動していますから2倍の時間がかかります。したがって20分×2=40分です。

(答え)40分

(2)太郎君が3往復するのに次郎君が2往復ですから、太郎君は次郎君の1.5倍の速さになります。
二人の分速の和は4800÷20=240mですから、240÷(1+1.5)=96mが二郎君の速さになるので、太郎君の速さは
240-96=144mです。

(答え)144m


(例題4)
AからBまで1200mあります。Aから太郎君がBから次郎君が同時に向かい合って出発しました。二人は出発してから15分後に出会い、その後AB間の往復を繰り返しました。次の問いに答えなさい。
(1)二人が2回目に出会うのは出発して何分後ですか。
(2)太郎君が次郎君にAで初めて追いつきました。それぞれの分速を求めなさい。


二人の動きをグラフにすると次のようになります。
今度は向かい合っていますので、最初に出会うのは二人で合わせて1200m動いたときです。

2回目に出会うのは、二人で合わせて1200×3=3600m歩いたときですから、

3600÷1200=3より15×3=45分

(答え)45分

(2)グラフから太郎君が二郎君に追いつくのは二人で合わせて1200×5=6000m動いたときですから、15分×5=75分かかります。このとき太郎君は1200×3=3600m動いているので
3600÷75=48mが太郎君の分速になり、次郎君は1200×2=2400m動いているので2400÷75=32m

(答え)太郎君 48m 次郎君 32m


(例題5)
A君とB君がPから、C君がQから同時に向かい合って出発し3人ともPQ間の往復を繰り返します。
PQ間は2400mでA君の分速は80m、B君の分速は120m、C君の分速は40mです。次の問いに答えなさい。

(1)A君とB君が初めて出会うのはPから何mのところですか。
(2)B君とC君が初めて出会う場所からA君とC君が初めて出会う場所までの間の距離は何mですか。


(1)A君とB君が初めて出会うのは二人で2400×2=4800m移動するときですから、
4800÷(80+120)=24分後 したがってPからは80×24=1920mになります。
(答え)1920m

(2)B君とC君が初めて出会うのは2400÷(120+40)=15分後
A君とC君が初めて出会うのは2400÷(80+40)=20分後
したがってその間にC君は5分移動するので、間の距離は40×5=200m
(答え)200m

速さの問題は条件がいろいろ出てくるので、まずそれを正確に読み取ることが大事です。条件がグラフで出されることもあれば、文章で出されることもありますが、グラフを使うとどういう動きになるのか視覚化できるので、考えるべきポイントを絞りやすくなります。

グラフを上手に使えるように練習してください。

以下のプリントもお役立ていただければと思います。

算数オンライン塾 旅人算とグラフ(2)

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旅人算とグラフ(1)

今回は旅人算とグラフの1回目です。

旅人算とは速さの問題の中で、追いつく場所や出会う場所、あるいはそれにかかる時間を求める問題です。速さはのちに比を使いこなすことによって、簡単に解くことができるようになりますが、旅人算の考え方で入試問題はある程度解きこなせるように作られています。
したがってこの基本はしっかり身に付けて、さらに応用問題に利用していきましょう。

(例題1)1200m離れたAとBがあります。Aから太郎君が、Bから次郎君が向かい合って同時に出発しました。太郎君の分速は120m、次郎君の分速は80mです。二人が出会うのは出発してから何分後で、それはAから何mのところですか。

(解説と解答)
基本です。二人が向かい合うのですから、二人の速さの和で近づいていきます。したがって
1200÷(120+80)=6分後に出会うことになり、それはAから120×6=720mのところになります。

(答え)6分後 720m

(例題2)
太郎君は分速が80m、次郎君は分速が100mです。太郎君が出発して6分後に次郎君が出発して太郎君を追いかけました。次郎君が太郎君に追いつくのは太郎君が出発してから何分後ですか。

(解説と解答)
この場合はまず太郎君が6分進みます。80×6=480m進むので、この差をつめていきます。
1分あたり、次郎君は太郎君より100-80=20m速いので、480÷20=24分後。
ここでミスが出がちです。
問題は太郎君が出発してから、と書いてありますので24+6=30分後になります。

(答え)30分後

(例題3)
太郎君がAからBへ、次郎君がBからAに同時に出発すると二人は12分後には出会います。AからBまで1200mです。太郎君は次郎君よりも分速が20m速いとすると、次郎君はBからAまで何分かかりますか。

(解説と解答)
最初の条件から二人の分速の和がわかります。1200÷12=100mです。
差が20mですから、和差算を使って(100+20)÷2=60mが太郎君の分速、100-60=40mが次郎君の分速になるので1200÷40=30分、次郎君はBからAまでかかります。

(答え)30分

(例題4)
太郎君がAからBへ、次郎君がBからAで同時に出発しました。グラフは二人がそれぞれ出発してからの時間を示しています。

AからBまで3000mのときAからCまでの距離を求めなさい。

(解説と解答)
問題の条件がグラフによって提示されることもあります。これは簡単な例ですが、太郎君がAからBまで15分かかり、次郎君はBからAまで10分かかることがわかります。またCは二人が出会った場所になります。
3000÷15=200m・・・太郎君の分速
3000÷10=300m・・・次郎君の分速
3000÷(200+300)=6分後に二人は出会うので、A~Cまでの距離は200×6=1200mになります。
(答え)1200m

(例題5)
太郎君がAを出発してから10分後に次郎君が自転車で太郎君を追いかけました。
グラフはその時の二人のようすをしめしたものです。

次郎君が太郎君に追いついたのは次郎君が出発してから何分後ですか。

(解説と解答)
この問題はグラフで追い越しを考えています。AからBまでの距離がグラフに表示されています。
2400÷30=80m・・・太郎君の分速
2400÷(25-10)=160m・・・次郎君の分速
次郎君が出発するとき、太郎君は10分移動しているので
80×10=800m先にいますから、800÷(160-80)=10分後に追いつきます。

(答え)10分後

(例題6)
太郎君と次郎君がAを同時に出発してAB間を一往復しました。二人が出会ったのは出発して12分後で、Aから1200mのところでした。AからBまで2400mあるとき、次の問いに答えなさい。ただし太郎君の方が次郎君より速く歩きます。
(1)太郎君の分速を求めなさい。
(2)太郎君がBで折り返したとき、速さを半分にすると二人が出会うのはAから何mのところですか。

(解説と解答)
(1)二人の動きを図にすると下図のようになります。
赤い線が次郎君、青い線が太郎君です。

二人は出会うまでの間に合わせて2400×2=4800m移動しなければなりません。次郎君が移動したのは1200mですから太郎君は4800-1200=3600m移動するので
3600÷12=300mが太郎君の分速です。

(答え)300m

(2)太郎君は分速が300mなのでBに到着するのは2400÷300=8分後です。
次郎君の分速は1200÷12=100mですから、100×8=800m次郎君は動いています。
したがって二人の間の距離は2400-800=1600mです。
太郎君がここで速さを半分にすると300÷2=150mですから、二人の速さの和は
100+150=250mになるので。
1600÷250=6.4分後に二人が出会います。次郎君は8+6.4=14.4分動いているのでその場所はAから100×14.4=1440mになります。
(答え)1440m

旅人算は速さの基本です。入試問題ではさらに条件が複雑になっていきますが、まずは追いつく場合、出会う場合をしっかり区別して解いていきましょう。

以下のプリントもお役立ていただければと思います。

算数オンライン塾 旅人算とグラフ(1)

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容器と水量(1)

今年は水量の変化を出す学校が多い年でした。

容器にいろいろ仕切りを入れたり、また仕切りが動いたり。その動きも回転するもの、上に上がっていくもの、まあ、いろいろあって今後、このテーマの出題は注意が必要でしょう。

いくつか例題から入っていきましょう。


(例題1)
直方体の容器があります。底面のたての長さが12cm、横が20cm、高さが10cmです。
ここに高さが8cmまで水を入れて、ふたをしました。このとき次の問いに答えなさい。

(1)高さが12cmになるようにこの直方体を置きなおしたとき、水の高さは何cmですか。
(2)さらに水を60㎝3加えて、高さが20cmになるように容器を置きなおしました。水の高さは何cmですか。


(解説と解答)
(1)最初に入っていた水の体積は12×20×8=1920cm3です。高さが12cmになるように置いたということは、底面積は20×10=200cm2になったので、
1920÷200=9.6cmになります。
(答え)9.6cm

(2)1920cm3に60㎝3の水を加えたので1920+60=1980cm3の体積になりました。
今度は高さが20cmになるように置いたので、底面積は12×10=120cm2になるので、1980÷120=16.5cmになります。
(答え)16.5cm

直方体の容積は底面積×高さで計算できます。体積が同じであれば、底面積で割ることで高さを求めることができ、また高さで割ることで底面積を求めることができます。


(例題2)
図のように直方体から直方体を切り取った形をした容器があります。図1の矢印のところから毎分一定の量の水をいれていきました。グラフは水を入れ始めてからの時間と水面の高さの変化を表しています。

(1)1分間に何cm3の水を入れましたか。
(2)図のアの長さは何cmですか。


(1)グラフから12cmのところでグラフの傾きが変わっているので、イの長さが12cmであり、
図の斜線部分を入れるのに12分かかったことになります。

したがって10×20×12が斜線部分の体積になるので、1分あたりの量は
10×20×12÷12=200cm3になります。

(答え)200cm3
(2)
上の部分には16-12=4分で水を入れたので、200×4=800cm3が容積になります。
この部分の高さは20-12=8㎝ですから、
800÷(10×8)=10㎝がアの長さになります。

(答え)10cm

グラフは、水を入れていく問題では条件を提示する方法として良く使われます。この場合は上に上がっていくところで、底面積が狭くなりますから、水面が上がる割合は増えていきます。グラフに12cmと書かれているので、これがどこの長さかがわかれば、あとは難しくはないでしょう。


(例題3)
図1のような直方体の容器の中に長方形の仕切りを面ABCDに平行に立て、図のXから一定の割合で水を入れ始めました。
水を入れ始めてからの水面の高さの変化はグラフの通りです。仕切りの厚さは考えないものとして次の問いに答えなさい・

(1)グラフのアの長さを求めなさい。
(2)図1のイの長さを求めなさい。


(解説と解答)
(1)グラフから図のような水の入り方をしています。グラフのアは仕切りの高さになります。

直方体全体の容積は30×20×20=12000cm3で、これが20分で入っているので1分あたり
12000÷20=600cm3の水が入っていることになります。
すると仕切りの上の部分の容積は600×5=3000cm3になるので、底面積が30×20=600cm2ですから3000÷600=5㎝が仕切りの上の高さになるので、仕切りの高さは20-5=15cmになります。

(答え)15cm

(2)仕切りの右の部分の容積は600×10=6000cm3ですから、
6000÷(20×15)=20㎝がイの長さになります。

(答え)20cm

比を習ってしまうと別の解き方がありますが、グラフを読み取って1分間に入れている水の量が計算できればあとはそれほど難しくはないでしょう。


(例題4)
1辺が20cmの立方体の容器の中に、1辺が10㎝の立方体が1つ入っています。
この容器に水を入れていくとき、高さが5㎝になるのに5分かかりました。
では高さが13㎝になるのは水を入れ始めてから何分後ですか。


高さが5cmになるときは底面積は20×20-10×10=300cm2ですから、入る容積は
300×5=1500cm3です。これが5分で入るので1分あたりの容積は1500÷5=300cm3になります。

高さが13㎝になるとき、高さが10㎝までは底面積は300cm2で、それより上は20×20=400cm2になるので、全体の容積は
300×10+400×3=4200cm3になります。
したがって4200÷300=14分後に高さが13cmになります。

(答え)14分後

途中で底面積が変わるので、1分あたりの水の量を計算した後、いれるべき水の総量を計算した方が簡単でしょう。

仕切りを付けたり、水の量を変えたりと条件をいろいろつけやすい問題ですから、ていねいに解いていってください。

以下のプリントもお役立ていただければと思います。


算数オンライン塾 容器と水量(1)

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