2013年受験に向けて」カテゴリーアーカイブ

受験人口が減少すると学校は良くなる?

今年の一都三県(東京、神奈川、千葉、埼玉)の2月1日の私立中学受験者数は3万7568人となったそうです。前年比は3%減。総人口ではこの学年が前年比1%減ぐらいですから、中学受験を選ばなかった家庭が増えたということです。

バブルが崩壊した、とか、いろいろ報道されていますが、過去こういう波は何回かありました。実際に子どもの数は減少しているのだから、中学受験もその影響を受けないはずはない。しかし、例えば「ゆとり教育」が始まったりして、神風が吹いたように中学受験人口が増えたりしたのです。

私はようやく普通の状態に戻ったかな、という印象を持っていますが、実際に募集定員が埋まらない学校も2割程度あるそうで、そういう学校は大変でしょう。しかし、考えてみると、今の上位校も最初から上位校であったわけではないのです。振り返ってみれば、「難しくなったなあ」と思う学校が多いのですが、当然、それだけ学校は努力してきたし、いろいろな改革を続けてきています。

学校が塾に営業に来たところで、募集はうまくいきません。学校自体が子どもたち、お父さん、お母さん、にとって魅力的になっていないと、募集はうまくいかない。だから、学校はいろいろな工夫をするし、特徴を考えるし、特別なカリキュラムやシステムを組むことになるのです。それが1回でうまくはいかない。当然、何年もいろいろな改革をして、それがまず学内で定着し、結果が出て、受験生の家庭に伝わっていく。その繰り返しの中から、これまでの学校は良くなってきたのです。

私は以前、「偏差値が高くて悪い学校がある、偏差値が低くても良い学校がある」というお話をしていました。

この「良い、悪い」は実は「子どもに合う、合わない」だと思うのです。学校に合うというのは、まずスクールカラーがなじむこと。そして、その学校が持つシステムや教科の特質の中で、その子の持つ潜在的な力が伸びる、ということではないかと思います。

ある学校で、特別な留学制度をやっていて、その子はそのシステムを使ってカナダに留学した。そして現地でサイエンスフェアという自分の研究を発表する機会をもらって、最高賞をとった。その経験からそのまま、アメリカで学び、研究者になった。この子は日本の大学を受験しているわけではないので、その意味では大学受験の実績とは関係ありません。しかし、この学校にいたからこそ、留学の機会もあったし、そこで自分の研究を発表する機会も得られた。もちろんその学校に行ったすべての子がそうであるわけではなく、その子がそのシステムを利用して、自分の力を伸ばしたわけですが、でも、そういう機会を活かした、ということは、その子にとって明らかにこの学校は良い学校だった、と言えるわけでしょう。

学校はどうしてもアピールを大学受験の実績に求める傾向がありますが、私は、もっと学校が取り組むべきことがたくさんあるように思います。まして今は国際的な時代になっているのだから、例えばアメリカの大学に進学するのなら、ここ、というような特徴があってもいいのではないか、ぐらいに思うのです。

その意味において、これからしばらくは学校が良くなる時期に入るかもしれませんね。



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一人の先生が4教科教える塾

こういう塾が減ってきただろうと思います。

だいたいは、各教科で先生が変わるのが普通でしょうか。しかし、小学校と中学校の違いを考えてみると、実は小学生にとっては一人の先生が4教科教える方が本当は良いのです。

小学校は、担任の先生が音楽など特殊な教科を除いて、全部教えるでしょう。中学校では、各教科の先生が専門になる。

これは教科の専門性が中学になると格段に上がるからです。しかし、その分中学生が自分で教科のバランスを考えないといけない。しかし、小学生ではそのバランスを自分でとることが難しい。したがって一人の先生が教科バランスを考えられるようにしているのです。

中学受験はその両面があります。つまり、教科の専門性で言えば、それは中学校2年のレベルまではあるので、小学校は超えるから必然、各教科の専門の先生が必要になる。しかし、子どもたちの精神年齢は小学校のままですので、本当は教科バランスを指導する側がとった方が良い。

よく、各教科の専門の先生の塾では、算数の先生は算数のことしかいわない(当たり前ですが。)、国語の先生は国語だけ。したがって受け取った子どもとお父さん、お母さんがその受け取った情報をもとにいろいろ考えなければいけなくなる。

しかし、一人の先生が4教科教える場合は、その先生が「いまのうちは、算数をがんばろうか。」みたいな話をしてくれるので、子どもたちに与えられる情報がシンプルになる分、勉強しやすくなるのです。逆に、1人の先生が4教科教える塾は先生の負担が当然大変になります。一人で算数も国語も理科も社会も教える、ということは、これはなかなか準備もいるし、大変でしょう。ただ、その子のことをあらゆる面から観察し、考えられる分、進学指導はかなり綿密なものになることは間違いないでしょう。

私は一人の先生が4教科教える塾の方が子どもたちにとっては良い、と思っていますが、やはり4教科教えられる先生を並べるのは経済的にとても大変であるので、したがって、そういう塾はきわめて少ない、ということになるのです。

もし、今通っておられる塾がそういう塾であるならば、それはなかなか幸運なことだ、と思います。

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塾によって学校の偏差値が違うのはなぜ?

ある塾の模擬試験を受けて、偏差値が出ました。

第一志望校の合格可能性偏差値をみると、例えば合格可能性80%偏差値が64だとします。これが別の塾のを見ると60になっていたり、また66になっていたりするのです。

60だとほっとしたり、逆に66だと、え?と思ったりするかもしれませんが、偏差値は当然、試験によって異なります。偏差値とは、平均からの離れ方をいうので、平均点が偏差値50。そして標準偏差を計算して、その標準偏差1つ分平均から上にくるポイントが偏差値60、下に1つくるところが偏差値40。平均点は試験によって異なりますので、平均からの離れ具合を示すことで試験間の比較をするのが、偏差値です。ちなみに偏差値70以上というのは統計上、全体の2.275%しかいないのです。

だから、偏差値は試験を受けた集団によって異なります。同じ学校の偏差値が低ければ、その試験を受験した層が一般的には高いことになる。ただ、偏差値はその試験を受けて「判断」するものですから、偏差値表に一般性があるわけではありません。

つまりAという塾の試験を受けて出た偏差値はAの偏差値表で見るべきであって、Bの塾やCの塾の偏差値表は関係ない。

しかも合格可能性については、合格可能性の判定でもお話しましたが、昨年の同時期の試験の結果偏差値と受験生の合格実績を比較しています。

つまり、子どもたちが今年受けた試験について、「問題が昨年と同じレベル」であり、「集団も昨年と同じ分布をなしている」という前提において、計算されているわけです。

これは塾側としては便宜上そうするしかないわけで、したがって偏差値表はその試験のみに適用されるわけですが、学校選びの手段として横に受験日、たてに偏差値を配置したこの偏差値表は大変便利なので、つい独り歩きを始める。

そうすると塾の偏差値表を比べてしまって、「あら?」と思ってしまったりするわけです。

逆に自分の志望する学校を受験するであろう集団がその試験を受けなければ、偏差値も合格可能性もぶれることになります。

したがって模擬試験というのは、

「自分が受ける第一志望の受験生がなるべく多く受ける」試験を受験して

「その試験の偏差値から、その試験の偏差値表のデータ」を参考にする

というものであって、それ以外の使い方はあまり考えてなくてよいのです。

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