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成績の悪い頭の良い子の話

算数を教えていて、なかなか頭の回転の速い子がいます。
図形の複雑な問題を出しても、ねばり強く考えて、最後正解を導き出したり。着想もなかなかおもしろくて、なるほどねえ、確かにこういうとき方もあるなあと思うような考え方をする子なのですが。

しかし、こういう子が成績が良いかというとそうではない。また、非常に波があります。

偏差値68ぐらいとった日があるかと思えば、偏差値が40台になることもざら。いったいこういう子の力はどのくらいあるのだろうか?とお母さんは不安になることだと思うのです。

しかし、これが子どものすることであって、私はごくごく普通の話だと思います。これが入試直前になるにつれ、整理もついて、問題演習も積んできて、それこそ力がまとまってくるわけなのです。最初から整理がついている子はまれです。

だから日ごろの点数に一喜一憂する意味がないと思っているのですが、塾の組み分けがあるとそうはいかなくなります。良いクラスには良い先生がいて、ということになれば、組み分けで良い点数をとることが必要になってくる。で、その結果として社会ばかりが得意な子が出てきたりするわけですね。

頭の良い子は、面倒なことはしたがりません。だから、知識を覚えるなんてことは、本当に必要だと思わない限り、なかなかしないのです。だから、そういう子が中堅クラスにいたりする。本当は良い先生は中堅どころにいて、しっかり持ち上げると本当に良い塾になります。一番いいクラスは、それこそ「俺に解けない問題はない」といっているような若い男の先生がよく、中堅にはベテランがいて、「君は、まだまだできそうだよ」とささやいている。クラス分けがあるのなら、こんな配置の塾を探してみてはどうでしょうか?

私は元来クラス分けのテストは反対で、子供に余分なストレスを与えることの方が多いと思うのです。

たとえば、営業部が販売成績で机の位置が決まっていたら、、、。あまりそういう会社にいたくはないですよね?お父さん。

じっくり考える

こんな子どもがいました。

塾で習ってくるやり方ではなく、自分の解き方を押し通すのです。せっかく習ったのに、いや、こうやれば解ける、とうんうんうなりながら問題を解く。親から見ると、なんと不合理なことをやっているのだろう、と思われるかもしれません。
何度も注意しますが、頑固。これで間に合わなくても、これは仕方がないと最後、さじを投げてしまったそうですが、6年生の後半からぐんぐん成績が伸びて、無事、第一志望に合格したそうです。

最近の塾はたくさんの問題を与え、それで訓練をしているように見えますが、実際は考える力がついているわけではない。むしろ、疲弊していくことの方が多いのです。

特に算数はいろいろ出題のバリエーションがあり、すべてのパターンを網羅するなど不可能。特に上位校では、これまで見たこともない問題が出されますから、その場その場で対応する力が必要になります。

だから、自分のやり方でも先生から習ったやり方でも、納得しながら、理解しながら、じっくり進める方法が力がつくのです。塾は便宜上、カリキュラムを作り、テストをやり、とあるペースを作りますが、そのペースに合わない子どもだっています。そして、その子たちが合格しないとは限らない。むしろ自分のペースを作るからこそ、納得もいくし、学力もつくという場合が少なくないのです。早くあきらめるタイプの子よりは、こういう子どもたちの方が伸びるもの。

あまり、塾のペースに惑わされない方がよいでしょう。

ただ、問題は塾がこれまでの成績を土台に、学校別特訓に振り分けるケース。ある成績をとっていないと、志望校別のクラスに入れない場合が出てきています。これは本末転倒な話だと私は思います。たとえ半年であっても、伸びる子はかなり伸びる、その可能性を最初から捨てさせるというのは、どうも納得がいかない。この辺りは親がしっかり情報を持っていないと、子どもの可能性を閉ざしてしまうことになりますから、要注意です。

幼さをどうするか

最近の子どもたちはやはり昔に比べれば幼くなりました。
ひとつには兄弟姉妹が少ない。一人っ子が全体の半分を超えているのではないかと思われます。その結果として、大人がしてあげることが多くなった。その分子どもたちが自分で問題を解決できる経験が少なくなったといえます。また、いろいろなことをしてもらえると期待する子どもたちは昔に比べれば明らかに多い。これはわがままにつながるでしょう。子どもたちがこわいと思う大人も少なくなりました。自分のやりたいことをやるという方向に流れてきているのです。

しかし、受験というのはやりたいことをやったままできるほど生易しいものではありません。当然、塾にも行き、家でも勉強するとなると、やりたいことはがまんしなければならない。このがまんするということに慣れていない子どもたちが増えている分、受験勉強をさせるということの難しさが出てくるわけです。

お父さん、お母さんとしては何とか合格させてやりたいと思う反面、勉強をさせることの大変さを感じて、塾に出す傾向が多いのでしょう。塾もまた、少子化ですから通塾回数を増やして売り上げを上げたいので、週3日、週4日と膨れ上がります。かつ、個別指導、家庭教師と教育費はうなぎのぼりになっているのではないでしょうか。

しかしながら、効果は?というとそれほどでもないのがほとんどでしょう。なぜか。

「自分で勉強しなければ、力はつかない」が真理だからです。

たとえ塾に行っても、自分で勉強しない子どもたちは少なくありません。小学校2年生からずーっと個別指導に預けて、いよいよ受験学年を迎えて塾に入れてみると、まったくついていけない。実際には子どもが自分から勉強することがほとんどなかったからなのですが、あれだけの費用が全部無駄になってしまったということもありえる話なのです。

幼さに対する対応策、大きく分けては2つあります。ひとつは動機付け。なぜ中学を受験するのか?という問題を真剣に話し合う必要があるのです。特に志望校は大事で、その学校に入ることが子どもにとって魅力的でなければ、子どもは公立の中学校でかまわないのですから、勉強しないでしょう。

もうひとつが自立する習慣。自分でやることが当たり前であるかどうか?という問題。たとえば朝、一人で起きているのか。学校のしたくは自分でできているのか、そういう身の回りのことが自分で出来ない子が自分で勉強できるわけがないのです。

どんなに塾に行っても、話しを聞いていない、問題を解いていないということになれば、できるはずがありません。自分が勉強しようする意思、できるようになりたいと思う願望、そういうものをもっていなければ塾の回数を増やしても結果はでないでしょう。むしろ、宿題ばかりに追われて、本当に『勉強が嫌い』になったり『自信をなくしてしまう』子どもたちが増えているのです。

4年生ぐらいから塾に行かせるよりは、むしろ4年生で自分で宿題をやったり、計算練習をしたり、本を読んだりという習慣ができることの方が大事です。身の回りも自分でできる、こういう生活習慣をつけていくことが大事なのです。

これは笑い話ではありません。

「中学になっても、まだ自分でおきないんです。ですから、朝起こして、荷物を入れてやって、服を出してやってって、もう朝から大変なんです。」

とあるお母さんが話していました。それもうれしそうに。