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第13回 「情報に惑わされない」 

 芝の説明会の参加者が1400名に達したそうです。学校側の予想を大きく上回ったので2部制で実施されたそうですが、来年、再来年と中学受験者数が増えており、また最近のマスコミの反応を見ていますと、まさに火に油を注いでいる感があります。確かに過熱感ばかりが目を引きますが、しかし冷静に受験準備は進めてください。

 この時期特に6年生の保護者のみなさんにはいろいろな情報が集まってきます。その情報はもちろん正しいものもあるでしょうが、デマもたくさんあるものです。特によくあるのがコネの話。「あの学校はコネがないと入れないわよ」などという話は私もよく耳にしますが、そういうことで決まる学校はありません。中学入試の場合は完全に点数で決まるので、たとえ学校関係者であったとしてもなかなか優遇してもらえないのです。ですから中学受験はある意味大変わかりやすいともいえるでしょう。

 以前ある中学校が第二次試験の問題に作文を課したことがあります。いわゆる学校関係者ならびにOB関係から私のところに作文の題が5題ぐらい届きました。「これが出るそうです」しかし、その5題はいずれもあたっていませんでした。ですから手にした情報はしっかり確認してください。例えば出願にあたっても、頼りにするのは学校が正式に発表する「入試実施要綱」がすべてです。そこに書いてある通りにすればよいのだと思っていただければと思います。

第12回 「模擬試験」

 これから模擬試験が行われていきます。偏差値、順位などがデーターとしてでてくるのですが、この順位に惑わされてしまうことがあります。

 これは教えた実感でしかないのですが、例えば1番の生徒と1000番の生徒の差は、途方もない差ではないように思うのです。とくに6年生の後半になれば、範囲の勉強はほぼ終了していますので、知らないことの差は少なくなってくる分、なおさらだと思います。 ところが、数字で見てしまうと、その差を取り返せないのではないかと思えてしまうものです。しかしそれで自信をなくしてしまったり、やる気がなくなったりするのには気をつけなければなりません。 試験は点数の差で並べますから、1点違えば、差ができますし、同じ点数に子どもたちが並べば、たとえ1点違っても50番、100番すぐ違ってきます。ということは、そんなに大きな差は開いていないのにも関わらず数字上は大きな差として出てくるのです。私からするとこういう数字以上に合格、不合格がわかるのは実際に子どもたちを教えてみての実感でした。

 数字が良くても、「落ちる可能性が高い」子がいましたし、偏差値では合格しないかもしれない範囲の子でも、「この子は合格するな」と思える要素があると、存外、合格していきます。 数字は結果でしかなくて、将来をはかるための絶対的な要素ではないのです。むしろその結果からいかに積極的に向かう姿勢を持ってもらうかが大事なポイントだと思います。

第11回 「積極性」 

どんな子にもほめるべきところがあります。私は少なくとも小学生のうちは絶対に「ほめて育てる」べきだと思っています。なぜかといえば、小学生はまだ常識がありません。できると思ったらできる、やりたいと思えばその気持ちが積極的な態度に表れるのです。逆に消極的になればこれは病的と思うくらいに、引っ込み思案になってしまう場合もあるでしょう。

 大きくなれば自分でバランスがとれるようになってきますが、小学生の場合はまだまだそう上手なバランスにはなりません。だから、多少おっちょこちょいでも、向こう見ずでも良いから「ほめて」育てることをお薦めしています。人間誰しもほめられればうれしい、自分に自信ができれば当然積極的になります。その積極性が絶対的なものになれば、「窮して困(くる)しまず、憂いて意(こころ)衰えず」ということになりますが、やはりどうしても心配は心配、心乱すことがあるわけです。それを支えるのが積極的な気持ち、心持ちです。私は受験期の子どもたちには「みじんも「落ちる」ということは考えず、志望校に入ったら何をしよう、どのクラブに入ろう、楽しいことばかりを思っていなさい」と言います。もちろん、そればかり思って、勉強しないのは論外ですが、しかし心配しながら勉強するのはもっとも良くないのです。その心配を取り除く方法が「ほめる」ことなのです。

 最後は「うちの子だから何とかする」とそう思ってください。これは根拠などいりません。信心だと思えばよいのです。そうしっかり思っていれば、お母さんの心配も表には出なくなり、子どもたちの自信を支えるでしょう。ふと心配になったときは、「うちの子にはこんないいところがある、だから大丈夫」とそう思ってください。そういう気持ちを選ぶことも親として大事な積極性と思います。