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第16回 スランプ

この時期になると、今までできていたことができなかったり、成績が下
がってしまうことがあります。

いわゆるスランプ。

原因はいろいろですが、多くの場合は心理的原因。

 その代表的なものはプレッシャー。ここまでのんびりしていた子供たちが
、いざ試験1ヶ月前になって、「落ちたらどうしよう」と思い始めるのです。
 だから試験でついあわててしまったり、いままでちゃんとやっていた検算
をやらなかったり、つまらない読み間違いをしてしまうのです。

 だから学力はどこかに消えたわけではなく、子供たちにはちゃんと備わっ
ています。

 問題はその力を発揮させる方法。

 まず心理的なプレッシャーを取り除くことが大事です。

 子どもたちは落ちるのがこわいのです。最近は受験する子どもたちが増え
ました。友達が合格したのに、自分が落ちたら、そういうことを考えれば考
えるほど、焦りが生まれるのです。お兄ちゃんやお姉ちゃんが合格している
と、これもまたプレッシャーの原因になるでしょう。

 ですから落ちることを心配させないようにするのです。つまり合格するこ
とだけを考えさせるのです。合格したらどんなクラブに入る、そういうプラ
スイメージをしっかり持たせる必要があります。

 次にやるべきことはほめることです。私はこの時期になると、「でもでき
るようになったよねえ」と必ず言うようにしています。そんな一言が子ども
たちにとっては大きな力になることが多いのです。ここまできたら、本人の
力が思い切り出るように仕向けていかなければなりません。だからこそ、ほ
める、多少図に乗ってもいいからほめることです。

 もしプレッシャーがかかって、ミスが増えたら?やさしい問題をゆっくり
やらせましょう。できるはずです。(繰り返しになりますが、力はどこにも
行かないのです。)そしてほめてください。「ほら、できるじゃない」この
ことばが子どもたちを救います。

 お父さん、お母さんがあわててはいけません。

第15回 「腹をすえる」

 いよいよ入試が近づいてきました。ここまでくるとお母さんとしても「何とか合格させたい」と思っておられると思います。しかし一番良いのは「どーん」とかまえることです。腹をすえるといってもいいかもしれません。
 お母さんが心配すれば、子供はもっと心配します。お母さんが子供たちに一番近いように、子供たちもお母さんに一番近いのです。お母さんが心配すれば、僕は危ないと思うかもしれません。だから心配してはいけない、しかし不安ではあるでしょう。なぜなら結果が出ていないからです。

 ですが、結果は出てみなければわからない、そのときどうしようと思うか ら不安になります。逆に言えばそのときこうしようと決めていれば不安はなくなります。まずは、「中学受験で子供の人生は決まらない」とそう思ってください。これは何回もお話していることですが、受験の成功が人生の成功につながるわけではありません。そして今、ただひとつわかっていることに目を向けてください。それはどの子もこの4月には中学1年生になるということです。これは義務教育ですから、必ずどこかの中学に通うことになります。ですから行く学校がどこになろうと、その子のベストにしようと考えればよいのです。

 私はたくさんの子供たちを送り出してきましたが、どんな学校に行ってもそこでしっかり努力し、がんばった子供たちは立派に成長しています。逆にその学校に行くことを恥じたり、気持ちが引いていると大事な中学時代が台無しになってしまうでしょう。

 「随所に主となれば立つ処皆真也」ということばがありますが、どこに行っても心が積極的になることが大事であって、そうなれば子供たちは必ず成長してくれるでしょう。入った学校がベストになるように努力すればいい、そう思えばお母さんの気持ちは落ち着いてきます。その自信が子供たちに伝わると、今度は子供たちの自信を創ります。きっと良い結果を導いてくれると思います。ですからぜひ「腹をすえて」ください。そして少し離れたところから、子供たちの奮闘振りをしっかり見届けて欲しいと思います。

第14回 「カリキュラム」 

 5年生の算数、理科を用賀で教え始めました。むずかしいことをやっています。ホント。こんなことが11歳の子供たちにわかるかどうか、という話になるとはっきり言えば、「まだまだだろうな」という感はいなめないのです。しかし、だからといって何もやらないわけにはいかない、これまた15ヵ月後には入試がくるわけですから。私は子どもたちを教えながらいつも「何かに自信を持たせる」ように考えています。「今日は、これができるようになった」「この問題がわかるようになった」そのひとつひとつが子供たちの力になり、自信になるようにしていくのです。

  「すごいねえ。何で出来たの?」「よくわかったねえ。たいしたもんだ。」ひとつひとつのできばえが子どもたちの中で力になってくれば、積極的にもなるし、勉強も楽しくなります。理解できなければ、ほめてもらえなければ、勉強は決して楽しくないし、逆にいえばそこまで辛抱して何かをやり遂げる忍耐力は今の子供たちにはないので、そういう教え方をするのです。

 そうなるとカリキュラムというのは何なのか?という問題をやはり考えてしまうのです。本来で言えば、子どもたちの状況に合わせてカリキュラムがあるべきなのです。ところが一定の割合で進むために、あるペースが作られる。そのペースについてこれなければ、上位校合格は難しいですよ、といわれてがんばりはするけれど、その実、「こんなの無理だよね」と思っておられるお父さん、お母さんは少なくないのではないでしょうか。「無理だ」と思ったら「無理を通す」のはやめましょう。別に塾のテストの成績で合格させてくれるわけではないのだから。

 カリキュラムとはそんなものだと思ってください。今、私が教えている5年生の一人は算数は4年生からもう一度やり直し、理科は現状のカリキュラムにあわせてやっています。それでもできるようになれば、それなりに進歩や自信が生まれています。でも、やれると思うから前へ進むのです。5年生の今から疲れてしまうのは、どうも考えものではないでしょうか。