■このまえ、久しぶりに理科の授業をやってみたのです。第1回は植物。で、子どもたちにテキストにのっている植物を見たことがあるか、尋ねてみました。結果は惨憺たるもの。でもね、これはやはり今の社会が悪いです。
■「オオバコ、知ってる?」「ヒメジョオン、見たことある?」「ナズナは?」「エノコログサ知ってる?」「ツユクサは知ってるでしょ?」だんだんクラスの雰囲気が悪くなってしまいました。知らない、見たことない、そういえば、私自身も最近、とんと見たことがないのです。
■東京で普通に生きていても、子どものころ見た雑草にお目にかかることはまずありません。たまに造成前にほっておかれている空き地があったり、公園の木の下に生えていることもありますが、しかしあまり目にしなくなりました。
■植物の勉強をするということは、非常に大事な範囲です。しかし、実際に見ないとよくわからない。結局テキストの写真を見て、あるいは図鑑を見て、なるほどこんな植物なのかと思うくらいしかないのです。
■テキストの問題のなかに植物の絵が描いてあって、これは何か答える問題がありました。子どもたちがわかったのはタンポポくらい。シロツメグサなんて、私が子どものころはいっぱいありましたが、今はほとんど見かけません。
■こうなるとやはり山や田舎にでかけていって、植物を見せないことには話にならないなあと実感しました。化学の実験や、力学、電気の計算は教室で教えるのはそれほど難しくはありませんが、こと植物に関しては、うーんとうなったきり。結局、話題は環境破壊の話に代わってしまいました。
■これから春です。いろいろな植物が芽吹くとき。塾やテストもいいですが、たまには郊外や山へ出て、子どもたちにいろいろな植物を見せてあげてください。今の子どもたちが理科で一番嫌いな分野は植物なのです。
(平成17年2月11日)