体力が続かないケース

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そのお母さんは大変困った様子でした。

小学校5年の女の子。しかし、5年生の半分は入院してしまい、後半も塾へは通えず。家で勉強していても、すぐ疲れてしまう。やはり中学受験はあきらめるべきなのか?

「どの塾に伺っても、コースはセットなのでウチの子は通えません。何か良い方法はないでしょうか?」

と相談に来られました。その当時、私がやっていた塾は単科だったので、

「では、出られそうな日だけ来られてみてはどうでしょうか?」

というので6年生から通塾が始まりました。しかし、やはり体力が続かない。来れるのはせいぜい週1日か2日。平日はまず絶望的で、学校に行ったらもうそれでその子のエネルギーはほぼ使い果たしてしまう、という感じです。

しかし、それでも少しずつ課題をやってもらっていました。塾で具合が悪くなる時もたまにあり、そうなると隣の部屋で休憩。さらに悪ければお母さんが迎えに来る、という塩梅ですが、しかし、なぜか本人は暗くない。私は多少、期待していました。

というのは、本人の体力が続かないのはやはり集中力がある、ことの裏返しであったからです。学校でつい元気を出してしまう、というのはそこに集中する力があるからで、これが多少なりとも持つようになれば、それはそれなりにまとまるのではないか。

さらに言えば、本人ができる範囲で勝負をすればいい。体を壊してまでするほど中学受験に価値はありません。だから、常にマイペースを保ってもらいました。

ハードになる6年生の夏休みも半分は、お休み。しかし、なぜか過去問だけは本人ががんばる。採点してみると、結構できている年もあって、これは何とかなるかもしれないな、とそんな気持ちでいました。

秋になって、驚いたことはやはり今まで充分にペースを落としていたので、身体が多少回復して体力が出てきたこと。そして本人はやはり集中力があったので、「これは覚える」と言ったことは、その通りできるようになっていったのもプラスでした。

結果として第一志望に合格できました。

子どもによって体力が続かない、というのはよくあることです。それを無理させては絶対にいけない、と私は思っています。

子どもにはいろいろな強みがある。弱いところばかりを心配しては勝負にならない。しかし強みを発揮できるようにすれば、道は開ける可能性があるのです。

山の登り方は人それぞれで良いのです。これでなければいけない、ということはありません。むしろその子に合う勉強法をうまく見つけてあげることの方が、成功する可能性が高くなると私は思っています。

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