第36回 模擬試験の結果の見方(1)

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現在、模擬試験がいろいろな塾で行われています。その中から四谷大塚の合不合判定テストの見方について、お話をしたいと思います。

合不合判定テストは、長年、追跡調査を実施してきた試験です。つまり、実際の入試の結果はどうであったのかを調査することによって、合不合の判定の内容をアップデートしてきています。

合不合グラフ
合不合では80%偏差値と20%偏差値が出てきます。受験生に送られた成績表で、各判定校についてのグラフがありますが、折れ線グラフで上のラインが80%偏差値、下のラインが20%偏差値です。追跡調査の結果、その学校を受験した生徒を合不合の成績で分布させます。そして偏差値で輪切りにしていった後、受験生のおよそ8割が合格しているラインを80%偏差値、2割が合格しているラインを20%偏差値というのです。

この元になっているのは、以前お話したデータになります。

(参照 またして母親講座 第24回 中学受験の難しさ

もう一度ごらんいただくと、例えば麻布中学の場合は、次のようなデータになっています。

麻布中学合格者分布

黄色と緑が合格者です。ごらんいただけてわかるように、すでに偏差値69のところで合否が分かれ始めています。したがって80%ラインは67、
ト%ラインは62、20%ラインを57で設定しているわけです。

各中学についてこのようなデータを算出したあと、合不合の結果にあわせて分布させ、かつ、合不合の場合は同日に違う学校を並べてかけませんから、重複を排除した形で実入試と同じような分布を実現させています。

毎年受験者の動向は少しずつ違いますから、その微調整も行った上で合格可能性を判定しているわけです。

しかしながら、20%以下でも合格するし、80%以上をとっていても不合格になる場合はあります。これについて、もう少し詳しくお話しましょう。

まずは試験傾向。合不合は1つの試験ですべての学校を判定するという作業を行っていますので、各校の傾向に出題は配慮してあるものの、「ある学校の出題傾向のまま」の試験ではありません。したがって、記述の問題ばかりをいう学校の判定をするのには、無理があります。
同様に応用問題が数少なく出るのと違い、算数などはかなりたくさんの問題を出しますから、明らかに傾向は違うでしょう。

ただ、合不合の算数はなるべく算数の得点分布を広くしようという配慮で出題されています。したがって、易しい計算問題から応用問題まで数多く出題することで、判定の正確さを出そうとしているので、これは目的からすれば妥当な設問といえると思います。

しかしながら、これだけたくさんの問題をスピーディーに解けるか?という話になると、なかなかそう簡単にいくわけではありませんから、この種の問題に対して不慣れな子のデータは下にぶれる可能性があります。

もうひとつは、やはり1回の試験であるということ。これは、どの模擬試験でも、そして入学試験にもいえることですが、一発勝負ですから、そのときうまくいけば、ラインを越えるし、そうでなければ20%以下になってしまうという面がどうしてもあります。

子どもたちの成績は4回総じて同じレベルになることは少なく、アップダウンが激しいのです。いいときもあれば、悪いときもある。しかも合不合は、差がつきやすいように作られていますから、ちょっとしたミスが大きな得点差を生みます。

例えば80%偏差値が64、340点だとして280点しか取れなければ、合格可能性は20%近くになってしまうでしょう。しかしながら、その差の60点は算数の小問で12問、大問レベルで4問から6問ということになります。算数だけでなく、社会や理科でもできる問題が少し変わるだけで、得点は大きく変化するのです。

ですから、「こういう出来であれば、こういう合格可能性になる」というのが最も基本的な考え方でいいでしょう。むしろ、そこから

1 何に失敗したのか
2 それを防ぐにはどうすればいいか

という2つのテーマを考える必要があるのです。

したがってそこから新たな勉強法が生まれます。これについては次回詳しくお話をしましょう。

さて、ではこの合格可能性をどう見るか。
多くのみなさんが複数回受験されると思いますが、上下を平均するのはあまり意味がありません。いいときだとこのくらい。下がでればこのくらい。という考え方でみてください。

そして20%偏差値から下に5~10ポイントの幅で「合格者」が存在することを忘れないでください。先の麻布中学の例で言えば、20%が57ですが、54まで合格者がいます。したがってその幅であるならば、「受験してもいい」ということになるでしょう。

もちろん合格可能性は低いので、その分併願校を考えなければいけませんが、いずれにしてもそのくらいを目安にしていいでしょう。

特にこの時期第一志望を変更することは、あまりいいことではありません。本人が自信がなく、勉強もしないというのなら別ですが、やる気になって勉強しているのであれば、安全は併願校で考える方が良いと思います。

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