■子どもたちが算数の問題を解いているのを見ていると、やはり粘り方には個人差がだいぶあるようです。ちょっと難しい問題になると「あ、これはできない、無理、無理」とほうりなげてしまう子もいれば、何とかできないかと一生懸命考えている子もいます。おもしろい子になると、何とか数字をあてはめて、答えを出そうとしている子もいます。「だいたい、12の倍数が答えは多いんだよ」(うん、それは真理かも。)
■あてはめても答えを出そうとする子は、「無理、無理」とあきらめてしまう子に比べれば絶対にできるようになります。算数という科目は、何問解いたかということよりは、どのくらい真剣に考えたかということで、力が伸びる科目ですから、いかに日ごろからあきらめずに考えるかが大事なポイントなのです。
■算数の指導でいえば、あまり解説をしない方が子どもたちの力はつきます。ただ、時間には限りがあるので、1問に1時間も2時間もかけられるわけではありませんから、ある程度の時間で私も解説をしていますが、本当を言えば「教えたくないなあ」とよく思います。
■「先生なのに、教えないなんて職場放棄だ!」とみなさんは思うかもしれませんね。でも、教えてもらうということは、自分で考える時間が少なくなってしまうことでもあるのです。もう少し粘って考えたら、自分の力で解けるかもしれない、と私は常々思います。だって自分の力で解けたら、私の解説を聞くより、よく「わかる」からです。
■受験がせまるにつれて、たくさんの問題を解かなければならなくなりますから、一問一問にあまり時間がかけられないかもしれません。でもかけられる限り、しっかり時間を使って、ぜひ粘って考えてください。こんなやり方はどうだ、これならどうだというように試行錯誤を繰り返しながら解いていく、その過程でみなさんの考える力は養われているのです。
■実際に「無理だ」と放り投げてしまうと、そこで成長はストップします。「いや、何か解ける方法があるはずだ」と真剣にやると、たとえ答えが出なくても考える力はつくのです。それに真剣に考えると、ちょっとヒントをもらうだけで「あ、もういいです。後は自分でやります」という気持ちになるもの。そうすると、実はかなり力がついてくることになるのです。少なくも、今よりもうちょっと粘って考えてみてください。
(平成17年6月13日)