第32回 自立期に入った子どもたち

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■最近、特に6年生の女の子から「お母さんといっしょに勉強すると疲れる」という話を聞かされます。女の子は比較的おとなしいので、お母さんといっしょに勉強する子も少なくないのですが、実際にはすでに自立する時期に入っていますから、「うるさいなあ」と思っていることはたくさんあるのです。

■しかし、お母さんの方はそれに頓着しないケースが多いようです。お母さんとしてもあと2ヶ月。何とか合格してもらいたいと思うから、叱咤激励されるのでしょうが、しかし、内容はぜひ考えられた方がいいでしょう。

■私のこの時期の指導方法はいたってシンプルです。過去問、課題、復習。課題とは特に知識や弱点の補強ですが、過去問を解いているときは子どもたちは真剣ですから、静かに解いています。そして終わると採点、質問。いろいろな質問がありますが、一度自分で解答を見てから質問に来ますので、自分で勉強する力があがると、だんだん質問の数も減ってきます。

■そしてここがポイントですが、女の子は男の子よりも精神年齢の成長が早いので、自分でいろいろな対策を考えるのです。ですから私の次の指導は具体的に何を勉強すればいいのか、アドバイスすること。テキストの説明だったり、問題集だったり、もう一度確認して自信をつけてもらいます。これも、何回か繰り返していくと、自分で「そうだ、ここをやり直そう」という気持ちになります。「それでいい?」と聞いてくれるので、よほど的外れでない限り、その通りにやってもらいます。

■自分で決めた勉強内容を自分できちんとやりこなす、6年生の女の子にはだいぶこの力がついてきているはずです。男の子の一部にもそういうことができるようになっている子がいると思いますが、割合は完全に女子の方が多いでしょう。そうなると、自分で学習を組み立てることができ、しかも自分が何が不得意かわかっているので、対策は直線的になります。だから、この時期成績がぐんと伸びる子が多いのです。

■成績を伸ばす一番の方法。それは自ら勉強する子に育てることです。そして入試直前には、多くの子どもたちがそうなっているはず。ところがその状況をお母さんが理解していないと、心ない言葉を口にしてしまうことがありますから、要注意です。この時期、子どもの気持ちもよく考えながら、いっしょに勉強してあげてください。

(田中 貴)

(2005年11月27日)

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