自分の合格を頑なに信じた子

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    多くの子どもたちを見てきましたが、やはり大逆転劇を演じた子は、記憶に残っています。
    幼い男の子。合不合の成績は、合格ラインには遠く及ばない。学校別の模擬試験を見ても、成績は悪い。
    「さすがに、この子は逆転がむずかしいかなあ」
    と私が言うと、担任は
    「保護者の方と相談してみます。」
    という話になりました。
    しばらくして、結果を聞いてみると、
    「そのまま第一志望を続けるそうです。滑り止めは受けないで、行きたい学校だけ受けて、あとは公立にするそうです。」
    ということになり、まあ、それはご家族の意志ですから、それで了解して、算数を見ていました。
    冬期講習のとき。
    担任に
    「あの子、できるようになってないか?」
    と聞くと
    「はい。でもさすがに、スタートが遅かったので、間に合わないかもしれませんね。」
    という話。
    「いや、案外わからんかもしれない。」
    冬期講習が終わったとき。
    担任が
    「確かにできるようになってきています。あと1ヶ月。間に合うかもしれません。」
    「いや、あの子が入ったら、なかなか大したもんだ」
    という話になりました。
    そして本番。
    見事に合格しました。
    偏差値でいえば60ぐらいの学校に45の子が入った、という感じです。
    そんなことが、起こるのか?いや、小学生の受験ではありえる話なのです。
    まず、45という結果は何だったのか?という問題があります。つまりは、勉強していない。知識もできていないし、算数も練習していない。だからできないわけで、ある意味、この数字が彼の潜在的な力を反映していなかっただけなのです。
    そこから、一気に勉強した。勉強というのは、やればある程度はできるようになる。そして、やりながら、頭の使い方ができてくると、自分で知恵をめぐらせることができる。
    ただ、すべての範囲を網羅するために、3ヶ月はいくらなんでも短すぎる。実際、彼は他の学校はすべて落ちているのです。第一志望だけ、合格。
    もう、おわかりになったと思いますが、彼は3ヶ月間、第一志望の勉強しかしなかったのです。そしてその学校は理社の配点は低く、国語は記述だけ。算数ができればかなり有利になる、という学校でした。だから、算数を猛然と伸ばした。一点突破です。ただ、他の3教科は比較的差がつきにくい分、算数が当日できたから、合格ラインを突破できたのでしょう。
    ただ、私は、
    「僕はぜったいにうかる」
    と口に出していたことが、思い出されます。
    最初はできていないから、クラスでも「はあ?」みたいな感じになっていたのですが、でも最後まで彼は頑なに自分の合格を信じていた。そして実際にそこに入るための努力をした。
    3ヶ月でも子どもは十分に変わります。ただし、そこにはエンジンがいる。
    絶対に入る
    という強い意志です。
    人がなんと言おうと、僕は入る、受かる、そう思って努力する子は、やはり短期間でも力を大きくつけることが可能なのです。
    お子さんもそういう強い意志を持てるように導いてあげてください。
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