子どもたちの様子を見ていると、「勉強しないが受験はやめない子」が案外多いものです。
成績もあまり良くないが、かといって勉強するわけでもない。計画を立ててもなかなか実行せず、宿題を忘れることも多々ある。
「そんなつもりは合格しないから、受験はやめなさい」とお父さん、お母さんが迫ると
「絶対にやめない」という。かといって、次の日から心を入れ替えてということにはなかなかならない。
この子たちは、なぜこうなったのかといえば、実は、勉強する習慣が身についていないといえるのです。受験勉強は何かをがまんしないと、なかなか続けられないもの。テレビにしても、友だちと遊びに行くのも、何かがまんして勉強する時間を確保しないといけない。しかし、それができないから、勉強しない。でも本人は受験するつもりはもちろんあるのです。幼さの典型ともいえるでしょう。
本来、小学校1年生くらいから、家で30分でも1時間でも毎日勉強する習慣を早くからつけることが鍵なのです。漢字でも、計算でも、通信教育でもいい。とにかく、1時間は勉強するのは当たり前なんだという習慣が小さいときからついていると、そんなに苦労することはないのです。塾に行くという話しではありません。塾はたしかにきっかけにはなるでしょうが、塾に行きっぱなしであれば、何もならないのです。まだ小さいうちであれば、ぜひこのことに気をつけてください。
しかし、もう5年生、6年生になると「勉強しない」習慣がついているわけで、それを変えるのはなかなか容易ではない。だから、塾の回数が増えるのでしょうが、塾で勉強するといっても、やはりモチベーションがなければ効果は上がりません。
ですから、まずモチベーションをあげること。目的意識をはっきりする。つまり志望校を決めるということが大事です。次にやればできるということを教えること、問題を解くのは案外面白いと発見すること、そういうことを体験させることが大事です。組み分け試験や週例テストでむしろ自信を失っている子どもたちの方が多いわけですから、これも簡単ではない。だから、点数よりも一問一問、ひとつひとつの過程をほめて、自信をつけさせるしかありません。
「あら、字がきれいになった」
「計算がていねいになった」
そんなことを繰り返しているうちに、少しずつ意欲や自信がついてくれば、子どもたちも変わります。土台、6年生の後半になればほとんどの子ががんばるようになります。なぜか、試験が近づいているからです。まわりの子が勉強すれば、自分もがんばらないといけない、そう思うのです。
ただ、もっと早くそうなれば、結果は違ってくるわけですから、最初の数週間、やはりじっくり勉強を手伝ってあげる必要はあるのです。
忙しいお父さん、お母さんにはこれがなかなか大変。仕事をもたれていると、難しいでしょう。だから小さいころからくせつけをする必要があると思うのですが、今からでも遅くはない。仕事から帰ってきての数十分でも、子どもたちの様子をごらんになってみてください。決して叱るのではなく、なるべくほめてあげること。叱るのは5回に1回ぐらいに抑えないと子どもたちのモチベーションは上がってきませんから、要注意です。